オフィスデザインやオフィス環境の改善は、社員のモチベーションの促進や、部署を超えたコミュニケーションの活性化、そして何よりも労働者の健康管理に大きな影響を与えます。社員たちが健康でエネルギッシュに働き、そして会社にイノベーションをもたらすために、オフィスデザインが与える影響は大きいといえるでしょう。日本のオフィスデザインも海外の会社を参考に変えられていくことが多くなっています。そこで海外の最先端のオフィスデザインを参考に、自分たちの働き方を考えるきっかけにしていきましょう。
今や知らない人はいないと言われるSNSであるFacebook。日本でのブームは多少の落ち着きを見せましたが、アメリカではその勢いはまだまだ衰えることを知らずに、全人口の半数以上が利用者になったと言われています。
そんな時代の最先端を行く情報企業だけに、オフィスデザインもかなり先鋭化されたものになっています。日本のIT企業というとまだまだ机を並べてという印象が強いですが、Facebookの社内は緑が溢れ、ターンテーブルなどのDJ機器が置いてあるスペースもあります。もちろん個人の作業スペースやデスクも非常に広く取られており、同時にコミュニケーションを図れる場所も多いなど、個人と集団の力の両方を引き出すようなデザインを心がけています。
さらに会議室は全方位がホワイトボードで書き込めるようになっており、会議に参加している人間の全員が自分の思ったことをすぐに書き込めるようになっています。日本の会議スタイルというと前に立った人間がホワイトボードに書いたことを見ながら、一人に注目が集まることが多いですが、各地の主義主張を求められるアメリカでは、全員が常に平等に注目を浴びながら参加できる会議が重要であり、そこから新しい発想が生まれているのでしょう。
全世界で民泊事業を展開するAirbnb。東京オリンピックの開催に伴い海外からの観光客が一気に増加している日本でも今注目を浴びている会社です。そのAirbnbのアメリカにある本社は吹き抜けが中央にあり、非常に天井が高くなっているのが最大の特徴です。そのコンセプトは学校となっており、図書室や会議室に加えてランチルームなど、学校のキャンパスにいるかのような雰囲気を味わえるものになっています。個人のデスクという場所にこだわらずに、その日の気分で自由に社内の好きな場所で仕事ができるようになっているのも、この会社ならではです。社内には色々なテーマを設けた部屋が無数にあり、そこを好きに予約して一人、もしくはチームでミーティングや作業ができるので、毎日の仕事がそれぞれ新しい刺激に富んで、飽きることなく業務に望めるのです。もちろん社内のインテリアも大変に凝っており、廊下の随所にソファーを配置し、好きな時に座れたり、壁一面に絵画がかけられた美術室のような部屋、家庭科室のようなキッチン、リビングルームのような落ち着ける空間などがあります。日本の企業ではなかなかない、イマジネイティブかつ、社員のメンタルをリフレッシュできるオフィスデザインになっています。
ロサンゼルスにある The Great Companyはビデオ制作などを請け負うクリエイターが多く所属している会社です。この会社ではハイテク系、新しさを感じさせるものよりも、倉庫を改造して作り上げたどこか懐かしさを感じさせるデザインを取り入れています。アメリカの古き良き時代を感じさせる、まるで西部劇のような空間は、オフィスと言うよりも撮影スタジオと見間違える人も多いのではないでしょうか。レンガ張りの壁には大きな星条旗が掲げられている部屋もあります。クリエイターの感性を刺激するような小物も多数配置されており、仕事中にリラックスしながらも、アイデアに困ったときにその発想元となるように会社側でも取り組んでいるのでしょう。
仕事に必要な備品にも気を配っているので、デスクなどのオフィス用品も木製のものが多くなっています。またオフィスの中は間接照明をふんだんに用いて明るすぎず、ムードや雰囲気作りにこだわっています。社員それぞれの意見を取り入れつつもコンセプトを統一することで、会社のブランドイメージの創出にも貢献しているオフィスデザインの一例になっています。オフィス空間が仕事の終わった後には、そのままレストランやバーになってしまいそうですね。
アメリカ企業を中心に最先端のオフィスデザインをご紹介しました。日本のITサービスの発想はアメリカに大きく遅れを取っているとも言われますが、その発想力の差は、オフィスデザインにも現れているのかもしれません。日本人の誇るスキルというと技術力ですから、高い技術力を持って作られたオフィスデザインで、海外を逆にあっと言わせてみたいものですね。