「在宅勤務」や「リモート・ワーク」など、最近では職場ではなく外出先や自宅で仕事をする人も増えてきました。それでも大半の企業では、仕事のほとんどが同じオフィスの中で行われているのが実態です。長時間滞在するからこそ、環境や人間関係でオフィスに求められる要素は様々です。今回は「社員がオフィスに求めているもの」と題して、特に注目度の高い項目を見ていきましょう。
“社員さんは、営業部など外回りなどの時間を除いては1日のほとんどの時間を会社内で過ごす事になります。電話対応や企画立案、時には各セクション同士の会議など、その仕事内容は実に多種多様です。そんな集中と緊張感が漂うオフィス内において、特に重要視されるのが、実は「リフレッシュ空間」であることが多いのです。
普段いるオフィスとは違う、喫煙ができたりコーヒーが飲めたりするリフレッシュスペース。こうした場所で仕事の合間の息抜きをすることは、適度な緊張とリラックスを生むことができます。また、こうした空間は単純に息抜きとして利用するだけでなく、各セクションの枠組みを超えた勉強会の開催や、会議レベルではない気軽な会話を中心とした企画立案などにも活用できるので、オフィス内のコミュニケーションの足がかりにもつながるといったメリットが生まれやすいのです。
また最近では、若い世代を中心にタバコを吸わない層が非常に増えてきています。今まで多くの社員さんは、喫煙と称した休憩を適度に取っていたかもしれません。しかし禁煙派の方は、こうした大義名分を作って堂々と仕事中に休む時間を取るのが難しいと感じる人もいます。分煙、あるいは完全禁煙のリフレッシュスペースを別途用意することで、そうした彼らの受け皿を作ることも今後のオフィス作りには重要かもしれません。”
“オフィス内の快適さというのは、清潔感や照明、あるいは単純な広さといった様々な環境で左右されてきます。その中で特に注目していきたいのが、オフィス内の「温度」「湿度」という2つの要素です。これは男性はもちろんですが、女性から大きな反響を集める要素と言えるかもしれません。
こんな光景を見たことはないでしょうか。夏の暑いさかり、節電を意識しつつもオフィスは冷房がガンガン効いている状態です。外回りから帰ってきた営業担当はその空調の効いたオフィスに戻りホッと安堵した顔をしていますが、一方で女性社員は足先の冷えが厳しく、真夏にもかかわらずブランケットなどをかけています。
そして季節も変わり、今度は真冬のオフィスを覗いてみましょう。毎日一桁の気温に合わせて、同じようにオフィス内ではしっかりと暖房が効いています。すると、今度は多くの社員がマスクをしているのです。もちろん彼らは全員風邪を引いているからそうしているわけではありません。季節的に乾燥しがちな冬、エアコンによってさらにその乾燥が進んでいるので、湿気を求めるかのようにマスクをしているというわけです。
このように、季節ごとに空調が極端というのをオフィスの不満な点として上位に挙げる女性社員は少なくありません。ちなみに、人が快適さを感じる気温は25度、そして湿度は45%〜60%と言われています。もちろんこうした体感は個人でも差が出るので一概には言い切れませんが、適度な温度調整や換気といった活動は、快適なオフィスづくりには思った以上の効果に繋がると言えるでしょう。”
“社員さんがオフィスに求めるものとして、男女ともに候補に挙げられるのが「個々のプライベートスペースがしっかり確保されている」という点です。あるオフィスのフロアを例に取って考えてみましょう。昨今ではパソコンを使った作業というのはごくごく当たり前な環境であり、どのデスクにもデスクトップパソコンが設置されています。しかし仕事に必要不可欠なパソコンがデスクの大部分を占拠しており、手帳や資料といったその他の物を置く空間があまり用意されていません。そしてオフィス全体としても、両隣や後ろの席との距離が非常に近いせいで、下手に動き回ることができないでいます。
やや極端に書いてしまいましたが、こうしたぎゅうぎゅう詰めになっているオフィス空間で、クリエイティブな仕事をするのはなかなか難しいでしょう。1人1人に用意された席はもちろんのこと、フロア内を歩く通路や更衣室といったプライベートスペースを確保するというのは、それだけで社員さんのストレスを軽減するという効果もあるのです。
また、この話と付随して考えていきたいのが、自由なオフィス空間として話題に挙げられることの多い「フリーアドレス」という考え方です。フリーアドレスとは文字通り、従来のように社員1人1人が決められたデスクを持つという考え方ではなく、その日その日で違うデスクを使えるという発想に基づいています。
フリーアドレスのメリットは、毎日違う場所に座ることで新鮮な気持ちで仕事ができるほか、毎回違う社員さんが横にいることで会社内のコミュニケーション機会が増えるという点にあります。しかしその一方で、仕事上資料を多く抱えることの多い職種のオフィスには導入が難しいでしょう。また、プライベートスペースを自分の働きやすいようにカスタマイズしたいという社員さんにとっても、かえってストレスになる危険性があります。ですので、フリーアドレスを導入するのは個々の会社環境に合わせて検討する必要があります。”
フリーランスで働く人は、自宅内やコワーキングスペースなど非常に高い自由度で働く環境をカスタマイズすることができます。だからこそ、彼らは使用する資機材や空間作りに非常に気を配るわけですが、空間の重要性は当然企業に勤める社員さんにも言えるわけです。そして、オフィス内環境を改善する方法というのは、今回ご紹介したように様々なアプローチが存在します。これらの方法を参考に、ぜひ一度現在のオフィスが本当に社員さんにとって働きやすい環境なのかをご検討してみてはいかがでしょうか。