新生活がスタートする4月。会社では新入社員の入社でにわかに活気付きますが、この時期には新人にも先輩社員にもちょっとした複雑な問題が発生します。それが「社員の名前を覚えられない」というもの。新入社員は数十人、あるいは数百人という先輩方と知り合うことになりますし、かたや先輩社員も、新しく入社した可愛い後輩の顔と名前が一致しないということが少なくありません。そこで今回は、両者の立場から社員の名前を覚える上で活用したい方法をご紹介します。
“新入社員にとって新たなスタートとなる4月。会社に入社した途端、一気に人間関係が増えてしまいます。しかも、これまで友達関係がほとんどだったのに、急に先輩や上司といった上下関係が始まってしまうわけです。こんな中、なかなか1度に先輩たちの顔と名前を覚えることは難しいでしょう。そんな時、非常に心強い武器となるのが「座席表」です。
フリーアドレスはともかく、大抵の企業では各フロア、各部署毎に座席表が用意されています。そこには各デスクに座っている社員さんのフルネームが記載されているほか、中にはその方の役職まで明記されていることもよくあるのです。まずは、この座席表を手持ちのノートなどに忍ばせておくようにしましょう。その座席表を頼りに、まず自分が配属された部署を中心とした先輩社員の座席と名前をチェックする癖をつけておくのがおすすめです。
そこに加え、座席表やノート、メモなどを活用してその日会って話した先輩についてのメモを残しておくというのもおすすめです。「◯◯部署の〜さんは野球の話が好き」といった特徴を明記しておけば、次の会話の糸口にもつながります。翌日以降その人に会った際には「〜さんおはようございます!」と挨拶を交わすことで、より記憶が定着しやすいでしょう。”
“新人としてオリエンテーションを受け、そして本格的に部署に配属されていくにつれ、仕事上で頻繁に話すようになる先輩社員も出てくることでしょう。そこで次におすすめするのは、そうした先輩のうちの1人(あるいは複数)と仲良くなっておくということです。理想として、気軽に質問などができる間柄を構築しておけると良いでしょう。こうした先輩が1人でもいると、社内における様々なシチュエーションで非常に助けられます。
例えば会社内で少しずつコミュニケーションの機会が増えていった場合、どうしても名前を覚えていない先輩とも話すことがあります。その時、懇意にしている先輩を通じて名前を教えてもらうことができるのです。もちろん恥を忍んで先輩本人に名前を聞くということもできますが、シチュエーション上尋ねるチャンスがない場合もあります。
それ以外にも、ちょっとした会議や交流会でその先輩と一緒に行動するのに合わせて、こっそり他の社員の名前を聞くといった機会を作ることができます。時にはその先輩にまつわるエピソードなどを聞くこともあるのです。こうした何気ない場面で、先輩社員の名前に接するチャンスを増やすことは、社員の名前を覚えるのに非常に重要と言えます。”
“先輩社員にとっても、新人の名前を覚えるというのは実は難しい作業であることが少なくありません。それは新人の人数が多いというのもあれば、仕事が忙しくなかなか新人に関心を向けられないといった事情などその背景は様々です。そういう時、あえて社員1人1人に名前を覚えるという行動を強いるのではなく、会社側でちょっとした工夫ができる場合があります。それが、社員全員が名札をつけて仕事をする期間を設ける、という方法です。
4月の入社タイミングから3ヶ月であったり、新入社員が本格的に部署に配属されてからの2週間など、その始める時期や期間は会社それぞれで構いません。その期間は、自分の名前(ふりがな付き)をつけた名札を見えやすい位置につけるようにします。名札には名前以外にも、所属部署や役職を明記しても良いでしょう。そうすることで、新入社員にとっては先輩社員の名前を覚える機会にできるし、先輩社員にとっても新人の名前を覚えるのと同時に、いちいち彼らに名乗る手間を省くことができます。
この名札ですが、仕事中だけでなく新人を招いた歓迎会や飲み会の場でもつけておくと良いでしょう。お酒の入るフランクな場所というのは、相手の名前を覚えるのにも絶好の機会であることが多いからです。”
“冒頭で、座席表を中心にそれぞれの社員についてメモを取るようにするという方法を紹介しましたが、その方法をさらに発展させたのが「社員にあだ名をつける」というものです。これは共通のあだ名ではなく、自分にとって覚えやすいあだ名をつけるというのが大きな特徴です。
例えば、「新人のOくんは野球で甲子園に投手として出場したことがあるから、エースくん」「人事課のBさんは非常に落ち着いて冷静な話し方をするから、クールさん」「営業部のS部長はフルマラソンが趣味なので、ランナー部長」といった感じです。こうやってそれぞれの社員で自分にとって覚えやすい特徴を頼りにあだ名をつけていくわけです。こうした特徴と名前を結びつけるという方法は、記憶の定着に大きな効果を発揮してくれます。
こうしたあだ名を通じた人の覚え方は、同時に相手との会話の糸口を見つける良いきっかけにもなるので、コミュニケーションツールとして活用できます。ただし、あまりあだ名をつけることに注力してしまうと、ふとしたタイミングで相手をそのあだ名で呼んでしまうこともあるので注意しましょう。あだ名をつけるのと並行して、ちゃんと本名を覚えるという意識を忘れてはいけません。”