オフィス移転の理由にはどのような事があげられるでしょうか。社員の増加による広いオフィスへの移転、あるいはコスト削減の必要性から、賃料の安いオフィスへの移転も考えられます。つまり、オフィスの移転は事業の業績に大きく関係しています。そして、地方で経営が成功した企業が、さらなる飛躍をもとめ都心への移転するケースもあります。地方から都心へのオフィスの移転は、同じ地域内の移転とどの様な点が違うのでしょうか。地方から都心へオフィスを移転する場合に知るべき事柄と注意点について紹介します。
安倍内閣の打ち出す「地方創生」。政府は、東京をはじめとした都心を拠点とする企業に対し、地方への移転を推進しています。しかしながら、依然として都心での事業経営を目指し、地方から都心へとオフィスを移転する企業は多いそうです。インターネットが普及し、コミュニケーションの手段はますます便利になり、ビジネスの発信場所が自由になった現在においても、地方から都心へオフィスを移転する理由や目的は何でしょうか。
<新規顧客の開拓>
・地方での成功から更なる集客力を都心に求めて
・新規受注ルートの拡大
<新たな挑戦と飛躍を求めて>
・地方での成功による事業の拡大
・都心という巨大市場には多くのポテンシャルが見込める
・需要の高まりに答えるため
<都心の魅力>
・経済の中心地
・人材が豊富
・主要取引先とのアクセスの良さ
・関連する業界が都心に集まっている
・認知力の向上 ブランド力の向上
やはり人が多く住み商業施設の集まる都心には、ビジネスチャンスが多く潜んでおり、地方で事業成功した企業であれば、更なる飛躍を求め、また地方での事業が上手くいかなかった場合、都心での様々な需要を求め移転に踏み切る企業もあるようです。特に東京では2020年のオリンピック開催に向け、建築業界のみならず、多くのビジネスチャンスが見込まれます。
地方から都心へオフィスの移転を決断した場合、次にどのようなステップを進んだらよいのでしょうか。オフィスの移転を計画する場合、基本的な流れがあります、まずは、オフィス移転を実行する際の準備についてチェックリストを確認しましょう。
<オフィス移転準備チェックリスト>
□新オフィスの選定 (移転場所の検討、調査、決定)
□賃料の検討(移転先候補地での相場をチェック)
□諸経費の確認(賃料以外のコスト:共益費、敷金、保証金など)
□移転スケジュールを立てる
□移転プロジェクトチームの設置(各部署から移転プロジェクト担当者を招集)
□全社員への移転の通知と情報共有
□業者の選定(引っ越業者、内装業者など)
□インフラ整備(電話、電気など設備整理)
□コンピューター、OA機器関係の移設に伴うプロジェクトチームの設置(ITスタッフまたは専門業者)
上記の項目は新オフィスの選定と移転に関わるほんの一部分です。オフィスの移転には、現在のオフィスでの解約手続き、原状回復の条件確認、解約退居に伴う費用の算出など様々な業務が発生します。また、法務局や登記所への移転登記の申請手続きも重要な業務です。そして、移転先のオフィスレイアウトの決定にも、多くの時間を要します。綿密な計画と、ヌケのない実施内容の確認が必要です。
事業の更なる飛躍を求め、また顧客の需要に応えての地方から都心への進出。都心という大きな市場では、様々なビジネスチャンスが期待できるでしょう。しかし、都心に移転する前に、地方と都心の様々な違いを知っておくことも都心への移転をスムーズに運ぶ重要なポイントです。地方と都心の違いには、どのようなことがあげられるでしょうか。
(1)交通手段の違い
地方と都心の一番の違いは交通手段ではないでしょうか。地方であれば、移動はほとんど車ですが、都心での移動は鉄道になります。特に東京と大阪の鉄道路線は複雑で、住んでいる人でも目的地へ行く前に、ルート検索は必須となっています。
(2)賃貸に関する取り決めの違い
不動産物件を賃貸する場合、東京では敷金・礼金の支払いが一般的となっています。この礼金の支払いは関西地方などにはなく「東京ルール」とも呼ばれています。しかし大阪には礼金の代わりに「保証金」を支払う場合があります。このように、地域ごとに賃貸に関する取り決めが違うので、都心への移転には事前の調査が必要です。
(3)アクセスの良いエリアや駅はどこか
都心へオフィスを完全に移転する場合は、事業の条件や好みにあった立地が移転先としての検討材料になりますが、地方にも事務所を残す場合は、都心と地方との行き来を考慮した場所への移転が都合よく効率的です。東京の場合、品川駅、東京駅といった新幹線の発着駅周辺への移転を選ぶ傾向があります。
(4)事業業種によっては集中エリアがある
都心では、業種によって好むエリアがあり、その同じエリアで事業を構える傾向があります。例えば、近年の業種として大頭するクリエイティブコンテンツ産業は渋谷に多く集まっています。
地方から都心へのオフィスの移転。しかし都心とはどの都市を想定しているのでしょうか。まず考えられるのが東京です。日本の首都であるだけでなくニューヨークやロンドンにも匹敵する、世界的な大都会です。東京の中にも、エリアによってその特色は違ってきますので、地方から東京へオフィスの移転を検討する場合、各エリアの特色を知る必要があります。
<東京の各エリアの特色>
(1)都心・副都心(豊島区、文京区、新宿区、千代田区、渋谷区、中央区、港区)
霞が関、丸の内など日本の首都機能を担うエリア。大手町、丸の内、有楽町といった東京駅周辺、新宿、渋谷などの副都心はいずれも多くの商業施設が集まっています。グローバル企業の本社の多くが東京の都心にオフィスを構え、国際ビジネスの拠点にもなっています。
(2)城東エリア(台東区、墨田区、荒川区、足立区、葛飾区、江東区、江戸川区)
製造業や卸問屋が多い下町エリア。浅草やスカイツリーなど観光名所も多く外国人観光客も多く訪れます。江戸川をはさんで隣県の千葉や埼玉とアクセスがよく、東京湾を通じた物流機能も活用できます。
(3)城南エリア(品川区、大田区、目黒区)
大田区には製造所が多く、また羽田空港もあり、観光や商業取引の入り口と言えるエリアです。新幹線が発着する品川区は情報通信業やサービス業が多く置かれています。
(4)城西エリア(世田谷区、中野区、杉並区、練馬区)
都心・副都心へのアクセスが良く、東京都有数の住宅街として知られ、世田谷区、練馬区は東京の人口の割合1位、2位を占めています。また、杉並区、練馬区はアニメーション制作スタジオが集積していることも特色のひとつです。
(5)城北エリア(北区、板橋区)
印刷、精密、工学分野でのものづくりが盛んで、工業地帯を有するエリアです。板橋区は、製版、印刷、製本などの印刷関連、工学機会器具やレンズ製造などの精密機械業で東京都全体の約2割を占めています。
(6)多摩エリア(23区以外の市町村)
都心のベッドタウンとして発展。北多摩エリアは東京都の中で製造業従業員数が最も多い。特に府中市と昭島市で東京の約8割の情報通信機器を製造している。南多摩エリアの八王子は大手企業の研究所や大学が多く、産業資源、人材に恵まれた地域です。
地方から都心へオフィスを移転する場合、まずは理由と目的を明確にし、都心へ移転しても事業の成功が見込めるかを検討することが必要です。そしてどの都心に移転すべきかを各都市の情報を比較し、最終的な移転先を決定する入念なプロセスを経ることも大切です。いざ地方から都心への移転が決まったら、移転スケジュールをたて慎重な準備のもとプロジェクトを遂行しましょう。