就職活動は求職者にとって人生の一大イベントといっても過言ではありません。何の仕事をするか、どの会社に勤めるかは、これからの人生に大きく影響するからです。そして望む仕事に就くためには、「面接」という採用試験が存在します。面接の中で、面接官と面接者はそれぞれ質問などをしあうことで、お互いにマッチングできるかどうか、働けそうかを確認しあいます。実は面接では、質問と回答を含め様々な情報を面接者も得ています。ここでは、面接者の印象に残りやすいポイントについて解説をしていきます。
「人は見た目が9割」という言葉を聞いたことがありますか?「いえいえ、人は中身が大切!」と反論したくもなりますが、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの提唱する「メラビアンの法則」によると、人物の第一印象は初めて会った時の3〜5秒で決まり、その情報のほとんどが”視覚”つまり見た目から得ているというのです。つまり、面接者もこの第一印象を非常に大切にしているように、面接官においても第一印象を好意的なものにしなくてはなりません。面接で好印象をあたえるには、どのようなポイントが挙げられるでしょうか。
<身だしなみ>
まずは、着衣を整えることが面接で好印象を与えます。経験を積んでいる中途採用の場合だと、業種にもよりますがはいている靴の状態などを見られる場合もあるようです。会社などにより指定の服装は異なりますが、私服であってもスーツであっても、可能な限りきちんとした格好で臨みましょう。
<立ち居振る舞い>
背筋を伸ばしきちんと立つ。これは相手に「できる人」という第一印象を与えます。また、いきなり面接の質問に入るのではなくアイスブレークなどを行い場を和ませる努力をするとよいでしょう。
<マナー>
面接者はもちろん遅刻は厳禁ですが、面接者においても過度な時間経過をしてからの訪問は止めましょう。
面接者がひととおり自己紹介を終えると、会社説明や職務の内容など、実際に働くことを想定した説明を始めます。その中で、この会社あるいは職務に、候補者が適切な人物であるかを確認するため、様々な質問をしていきます。ほとんどの面接者は、面接対策等を行っており、事前に質問の回答を用意しています。面接者の回答をヒアリングしながら、採用するべき人材かどうかを判断していきます。一方で、面接者もこの質問の時間で面接官の情報を取り入れています。そこで、面接官の方が面接の場でやってしまいがちなポイントを紹介します。
<会話にしない>
「そうですか」「なるほど」といった、質問に対する返答を一言だけで終わらせることは止めましょう。面接者に「自分に興味がないのかな」と思われてしまう可能性があります。また、面接者が話している間に、面接者と目を合わさず、履歴書やパソコンばかりをみていることも悪印象へつながってしまいます。
<過剰な会社アピール>
採用したい気持ちが強くなった場合に、「当社の業務には、すぐに対応できそうですか?」という実際に仕事が出来るかという質問や、「弊社の業務はこんなに素晴らしいんです!」といった会社側の過度なアピールは、面接者との温度感を十分に気遣ったうえで話を展開しましょう。最悪の場合、実際の勤務後にギャップを生んでしまう可能性があります。
面接者も、働きたい意欲があり面接に臨んですが粗末な対応をしたり、温度感を気遣って対応をしないと面接後に辞退されるケースが出てきます。十分に注意していきましょう。
会社は面接をとおして企業経営に必要な人材を補充します。その人材が適切な人物でなかった場合、時間と経費のロスにつながり会社としては大きな損失になります。つまり、企業にとって面接・採用はとても重要な業務になり、採用を担当する管理者や人事担当者は候補者を見極めるスキルが必要になります。採用担当者からみた見極めポイントとは?
1位:人柄
2位:前職の職務内容と業務領域
3位:仕事の手際の良さ
4位:前職での多忙さ
5位:前職での実績
中途採用の場合、すぐに職務に対応できる「即戦力」が見極めポイントになります。スキルや業務経験だけでなく、過去の職務において困難を克服した経験があるなど、粘り強さや責任感を引き出せる質問も面接ではよく聞かれます。また、「コミュニケーション能力」も見極めポイントのひとつです。友好な人間関係を築けることは、多くの人が働く会社という場所では、大切な要素です。
1位の「人柄」は、新卒採用、中途採用どちらにも共通する見極めポイントです。しかし、数分の面接だけではその人の人間性を見極めるのは難しく、そのため、正社員として人材採用する際には、2次面接、3次面接と重ね、様々な会社関係者の選考を経て、最終的に企業にとって本当にふさわしい人材を確保しましょう。
最後に、面接者の本質を見抜くためのテクニックの1つをご紹介します。面接官は大抵の場合、既に履歴書と職務経歴書には目をとおしていますので、面接者の自己紹介から始めるのが一般的です。
しかし、面接をする企業側においても自己紹介や質問だけでは面接者が採用に適切な人物であるかの見極めに苦労していると言われています。大手リクルート会社エン・ジャパンの調査では具体的な項目として、以下の結果を報告しています。
・本人の性格などが見抜けない
・キャリアは高いが、メンタル面で会社になじめるか不安
・実際に就業した場合、本当に使える人材かどうか見極めが難しい
履歴書だけではつかめない、候補者の性格=人柄は、直接顔を合わす面接の場でもその見極めが難しく、面接側の苦労となっているようです。面接の本質は「面接者がどういった人物なのか」を見抜くことにあります。そのため、面接官側の役職や経歴、趣味などを軽く自己紹介をすることで、面接者もどういった人物と面接するのかが明確になり話をしやすくなる可能性があります。面接者の自己紹介の前に面接官側の自己紹介を挟むことも、面接者の本質を見抜くための有効な手段になることがあります。ぜひお試しください。
面接は応募者にとっても採用側にとっても、お互いのニーズにマッチした結果につながれば大成功といえるでしょう。そのため、その会社にとって適切な人物であるかを見極めることは重要なポイントです。応募者は、入念な準備をもって面接に臨んでいることが多いため、面接をする側もきちんと誠意をもって対応していきましょう。