情報社会を迎えた今日、個人のみならず会社経営にも大きな変革の必要性が出てきました。経営に関わる様々な事柄を謳った自己啓発本を手にしたことのある経営幹部も多いはず。しかしそれがその会社の経営方針に沿ったものなのかどうかは、日々の業務をこなしているだけでは分かりません。そこで会社から離れたところで経営幹部を集め、経営幹部としての研修や経営方針の共有、相互の理解を深めるために合宿を開催する会社が増えてきています。この合宿開催の目的とポイントを見ていきましょう。
経営幹部ともなると、管理職の中でも経営者に近い、或いは経営者としての資質が必要になります。様々に発生する事態や環境の変化を見極め、迅速で的確な判断力や行動力が求められます。そして自身の部門を統率し、組織力の向上を図り、部下に方向性を示しながら自身の部門に与えられた課題をクリアしていくことが業務の目的となります。
具体的には、激しい変化の流れを見定める判断力、中長期的な経営ビジョンを持ち、それをどうビジネス戦略に適用させていくことができるかを確定し進めていく実行力が必要となるのです。会社の経営理念に則った中で、そのビジネス戦略をどう具現化していくのかを具体的にスケジューリングし、部下社員達に周知徹底した上で目的達成へと導いていくリーダーとしての資質とマネジメントスキルも重要になります。また、人材の育成力や社員の状況の把握、組織を引っ張る求心力を持つことや、マーケティングの数字を読む力、論理的でポジティブな思考力など、経営幹部に求められる資質は多岐に渡ります。会社全体として、経営のための資源をどう活かしていくのかを分析し、より踏み込んで慎重に考えた上での大胆な行動力も求められます。その結果として会社の売上向上へとつなげていくことが、最終的な目標となります。
それらを踏まえた上で、経営幹部の合宿の目的や内容を見ていきましょう。
会社側としては、経営幹部としての資質を育成した上で、一人一人の経営ビジョンや課題と問題点の解決方法、責任者としての心構えや業務目的の再認識などについて徹底的に議論し、社内での共有を図る必要があります。そのために有効なのが経営幹部の合宿開催です。
まず、経営幹部育成のための研修があげられます。経営視点やスキルについて、事業戦略の構築力、現状の分析力などの研修です。コンサルタント会社などへ依頼して講義を開き、各経営幹部の自覚を改めて再認識してもらうことや、古い方法や考え方を捨てて環境の変化に沿った新しい考え方を持ち、新たな方法を模索し取り入れることで業務に活かしていくことが目的です。また、現状の業務状況や戦略がどのように推移しているのかの進捗報告する場として利用する会社もあります。これには事前に部門内での進捗状況を書類にまとめておくことで、各経営幹部が明確に状況を把握することができます。それに基づいて、売り上げ目標や各部門の予算を確定したり、粗利、営業利益、経営利益の目標を決める会議としての重要性も出てきます。また、経営幹部がそれぞれの経営方針や戦略についての意見や、どう人材育成していくのかなどについて徹底的に議論し合うことで、経営幹部内での共有、相互の深い理解となります。そして最終的な結論を経営幹部全員で導き出すようにしていくことが非常に需要です。これが結果的に経営幹部としての自覚をしっかりと持ち、経営者の視点を持って、強いリーダーシップを発揮することになります。同時に経営者の立案した戦略や意向を経営幹部に周知徹底して、それぞれの部門内での成長戦略を立案、計画し、業務目標をスムーズに達成するための布石にもなり得ます。これは会社全体を統率する経営者としては、各経営幹部の考え方や業務状況などを把握しておくためにも大変有効な方法と言えます。
では、経営幹部を招集して合宿を開催するために必要なポイントを見ていきましょう。
経営幹部はそれぞれ多大な業務を抱えており、大変多忙です。その多忙なスケジュールを割いて合宿に参加してもらうのですから、綿密に計画を立てて、しっかり準備する必要があります。合宿の内容は大きく分けると研修、会議、議論に分けられます。それぞれの会社の状況から、合宿の目的は様々で開催時期をいつにするかも影響してきますので、まずはその合宿の目的を明確にしておくことが重要です。
研修から見ていくと、コンサルタント会社に講義を依頼することになります。どのコンサルタント会社に依頼するのかは、どんなことを経営幹部に学習して欲しいのかを明確にする必要があります。経営者とよく話し合い、最適なコンサルタント会社を選定して依頼しましょう。合宿当日のプログラム作りや合宿をスムーズに進めるためにも、コンサルタント会社の担当者としっかりコンタクトをとっておくことも重要です。参考までに、コンサルタント会社が開催する講義は、大きく学習型のものと参加型のものとに分けられます。これを基にプログラム作りをしていくと進めやすいです。
次に、会議としての時間を持つ場合です。この場合は開催時期をいつにするのかが重要になります。期が変わる前の時期に計画して、各部門で報告資料を作成し、提出してもらう必要があります。資料を取りまとめて、合宿当日に各経営幹部が発表しやすいように準備しましょう。そして議論の場は、合宿の最終日に行うことが多いです。合宿を行う施設に、ホワイトボードやパソコン画面を映すプロジェクターなどの設備があるかどうかを確認しておきましょう。合宿は一泊二日、或いは二泊三日で行うことが多いですが、経営幹部のスケジュールを加味するとあまり長い時間を取るのは困難になります。仮に一泊二日として、一日目にコンサルタント会社が開催する研修と会議、二日目に議論の場を設けます。場所は会社を離れて、できれば温泉旅館、もしくは飲食できる研修施設などを利用することで集中力が増して充実した合宿となります。
このように、経営幹部の役割は非常に重要で、年に一度はそれぞれの業務戦略や考え方を共有することが会社全体の利益につながります。経営幹部の貴重な時間を使うのですから、経営者との関係もより強固で滑らかなものにして、充実した合宿となるよう参考にしてみてください。