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業務の効率化を図ろう!取り入れるべき「ECRS」とは

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業務の効率化を図ろう!取り入れるべき「ECRS」とは

業務の効率化を図ろう!取り入れるべき「ECRS」とは

企業にとって業務の効率化は重要な課題です。1ヶ月で終えるべきプロジェクトが3ヶ月も半年もかかっていては、顧客満足や利益の確保どころか、売上げの維持すら難しくなるでしょう。効率的に業務を遂行するためにはさまざまな手法がありますが、その一つとして「ECRSの原則」があります。業務改善策としては古典的ともいえるECRSについてあらためておさらいしておきましょう。

ECRS(イーシーアールエス)の原則とは?

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

ECRS(イーシーアールエス)の原則とは、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(順序変更、代替)、Simplify(簡素化)の4つの言葉の頭文字を取った用語です。
Eliminate(排除)=不要な業務を減らしたり無くしたりする。
Combine(結合)=複数の業務を一括で処理する。
Rearrange(順序変更、代替)=複数の業務の前後を入れ替えたり、代替策を導入したりする。
Simplify(簡素化)=より簡単な方法で同じ成果を導き出す。
この一覧からもわかるとおり、ECRSの原則は、「どの業務を改善すべきか」に関わるフレームワークではなく、「この業務をどのように効率化するか」に関わるフレームワークです。したがって、ECRSの原則を適用するためには、まず改善対象となる課題を見つけることから始めます。
顧客対策、製品やサービス、人事、設備やシステム等々、まず改善すべき課題がどこにあるのかを定め、その上でECRSの原則を導入し、無駄と思われるプロセスを排除したり、結合したり、代替したり、簡素化したりする。これがECRSの原則のエッセンスです。

最大の効果をもたらす「排除」

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

これからECRSの原則の具体例をみていきましょう。
まずEliminate(排除)からです。この項目は、ECRSの4つの項目ではもっとも重要です。なぜなら、不要と思われる業務を減らしたり無くしたりするので、効率化の影響が非常に大きいからです 。他方、「結合」「順序変更、代替」「簡素化」は、「問題がある」と評価された業務であっても、工夫しながら残すことを模索するため、「排除」に比べれば効率化の割合は少なくなります。
ECRSの原則が比較的広く浸透してきた製造業では、「排除できる作業はないか」という視点で業務の効率化を頻繁に行います。有名なトヨタの「カイゼン」は、無駄を省き、生産効率を極限まで高めるために「排除」を多用する典型です。
トヨタの製造工場では、組立ラインで使用した部品は、その使用した分だけを前工程(使用した部品を造る工程)に引き取りに行くことを厳守します。また前工程においても、後工程に必要な部品の備蓄を最小限にし、後工程に引取られた分だけを追加生産することを厳守します。このルールによって、無駄なストックを排除し、生産効率を飛躍的に向上させているのです。
製造業や生産管理の現場でなくても、「排除」はやはり高い効果をあげてくれます。「会議にかける時間をあらかじめ設定して、長時間化を防ぐ」「会社にかかってきた電話の取次ぎにかかる手間を省くため、各部署や個人の直通電話を導入する」など、企業にとって最大の無駄の発生源ともいえる「時間」を節約するためにも「排除」は大きな成果をもたらします。
企業体が大きくなるほど、分厚い業務マニュアルや、ビジネス慣行が蓄積される傾向にあります。数年に一度くらいは、マニュアルなどを見直し、排除できる無駄な業務がないかをチェックしてみるとよいでしょう。

「結合」で時間や人員を集中させる

【引用元:写真AC】
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Combine(結合)は、企業の活動規模が大きくなるほど重要になります。たとえば受付や秘書業務はその典型です。忙しく働く現場社員や経営者にとっては、次々に舞い込む顧客からの相談に逐一対応している時間はありません。そのため、大企業のほとんどは、受付や秘書などしかるべきスタッフを置いて、来客や電話対応を一手に引き受けさせているわけです。これは会社の業務の一部を特定の人員に集中させる「結合」の典型です。
また最近では、「一定の時刻の間は、社外からの電話を一切受けない」というとても変わった習慣を採用している企業も現れています。著名なフリーランサーの中にも「午前中は仕事の電話には一切出ず、仕事に集中する」と決めている人がいます。これなども、本来営業時間内であればいつでも受けるはずの電話を一定の時間帯だけに限定する「結合」の例だといえます。
午前中は一日のうちでもっとも脳の働きが活発になるといわれています。これは脳の働きに影響するさまざまなホルモンが朝方から午前中にかけてもっとも多く分泌されるからです。ゴールデンタイムともいうべき午前中に、アポイントの電話など決して急務とはいえない用件の対応に忙殺されるのは無駄の極みといえるでしょう。「この時間帯は電話がかかってこない(無駄な電話応対をせずにすむ)」という安心感が業務の効率化に与える影響は甚大です。
「そうはいっても、電話に出ないなんて、実際には無理。かけてくれる相手に対して失礼ではないか?」と思うかもしれませんね。心配なら、「この時間帯は電話に出ることができませんので、~の時間におかけなおしください」といった応答メッセージを流しておけば大丈夫です。そうすれば、かけた側も「仕方ない、メールで連絡するか」と対応を変えてくれます。そうするうちに次第に「この会社は~時から~時の間は電話をかけても出ない」という認識が一般化していきます。

製造業では絶対不可欠となる「順序変更、代替」

【引用元:写真AC】
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Rearrange(順序変更、代替)は製造業ではおなじみの手法でしょう。たとえば自動車を製造する場合、たくさんある部品をどのような順番でボディ全体に集約し、組み立てていくかは、生産工程の効率化にとって絶対に間違ってはいけない問題です。
事案を単純にするため極端な例をあげますが、たとえばエンジンをボディに組み込む場合、エンジンの外枠をボディに組み込んでからエンジンの細かなパーツを取り付けるなんて馬鹿なことはしません。まずエンジンを完全に組み立ててからボディに取り付けるわけです。
製造業の分野では、工場を稼動させる前に、「どのような工程で組み立てていくか」という課題にすべての知見が導入され、慎重すぎるほどのチェックを重ねたうえで、組み立てレーンを設計・施工していきます。ここで最善解を導きだせないと、あとあと膨大な無駄が発生し、企業の存亡にも影響が出てきかねないのです。
またインターネットによる企業情報の公開が一般化されてからは、ある企業について事前に予想される質問や相談事項をリストアップしておき、公式サイトのFAQ(よくある質問と回答)のページなどで公開しておくことが、ごくありふれた対応になっています。これなども電話での無用な問い合わせをできるだけ減らすための「代替」の一例といえます。

より簡単な方法で同じ成果を導き出す「簡素化」

【引用元:写真AC】
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企業活動は、創業当初から歳月を重ねるごとに複雑化していきます。活動の規模がふくらみ、顧客の数が増え、扱う商品やサービスの種類も拡大していけば、業務の質も量も増えていきます。
しかし、際限なく業務を増やしてしまえば、いつか必ず破綻します。複雑すぎるオペレーションでは、社員が理解して自在に扱えるようになるまでに余計な時間を要し、業務の効率を下げてしまうことでしょう。そこで必要となる対策がSimplify(簡素化)です。
簡素化の導入が一般的となっているのも、やはり製造業です。いわゆる3つのM(無理、無駄、むら)を失くすために、製造業では簡素化を徹底して行います。
よく行われるのが、作業工程をビデオで撮影して課題を発見することです。「工程と工程の間に余計なタイムラグがないか」、「スタッフの動きに差はないか。あるとしたら原因は何か」、「組み立てる部品の置き場スペースに無駄はないか」、「部品の組み立てに人間に代わるロボットを導入したほうが、長期的には組み立て時間の圧倒的な短縮が可能になるのではないか」等々、映像で作業現場をチェックすることで、従業員の記憶や印象に頼らずに、問題点をはっきり抽出することができます。
製造業以外の分野でも、簡素化にはそれなりの効果があります。たとえば動作研究の一環として、従業員にインタビューを実施。「勤務時間中、もっとも疲労を感じるのはいつか、またどんな業務を行っているときか」を明らかにします。その上で、少数の従業員に過重な労働や複雑な作業を課していないかをチェックし、必要に応じて作業数を減らしたり人員を増やしたりして、1人あたりの業務の簡素化をはかります。
また、「従来は紙で行っていた社内連絡をイントラネット等のシステムに組み込むことで、手間隙を大幅に削減する」といったおなじみの対策も簡素化の典型といえるでしょう。
ECRSの原則の概要を簡単な具体例とともにご紹介しました。企業活動が拡大することは喜ばしいことですが、大きくなればなるほど、無駄な動きも増えて、進行速度も遅くなります。その結果、「売上げは順調に増えているのに利益がちっとも増えない」というジレンマに悩まされることになります。
業務改善のためのフレームワークとしては、ECRSの原則だけでなく「マイルズの13のテクニック」など有効な方法が他にもありますので、ぜひチェックしてみてください。

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