オフィスの節電は昔から叫ばれてきたこと。それなのに、抜本的な解決策はあまりない気もします。でも、あきらめる必要はありません!ちりも積もれば山となる。まずは身の回りでできることから、少しずつ工夫を重ねていけば、やがては大幅な節電も必ず実現できます。効果的な節電には絶対欠かせない3つの対策をご紹介します。
節電対策としてもっとも簡単に実践できるのが照明の節電です。暗ければ消費電力は減るし、明るければ増える。この当たり前の基本を押さえることから始めましょう。
「でも、暗いと仕事にならない!」と思うかもしれませんね。では、暗くなる前に仕事を終えればいいのでは?「そんなわけにいかないでしょ?残業だってあるし……」
ごもっともです。しかし、最近では残業を禁止する職場も増えています。そういう会社のなかには、社員全員が定時勤務なのに、なぜか業績がアップしているところもあります。
「残業をすればその分仕事も消化できる」というのは一理あります。しかしながら、常に正しい考え方とはいえません。なぜなら、人間の集中力には限界があり、長時間の労働をすればするほど作業の効率や正確性、そして発想の豊かさなど、間接的に企業の価値を高めてくれる要素に悪影響を及ぼしてしまうからです。反対に、残業を禁止し、労働に時間制限を設けることで、かえって社員の士気があがり、仕事の効率が急上昇し、結果として業績もあがり、電気代も節約できた……という好循環は十分可能なことです。
こと照明に関しては、「残業を禁止し、暗くなる前に帰宅する」というのが効果の高い節電ですが、もちろん他にも多彩な節電方法がたくさんあります。たとえば天井の照明を間引く(社員のいないデスクの上の照明は外す)、消費電力の少ない器具に交換する、こまめに清掃して照度が下がらないようにする、等々。「残業禁止」を実行するにはハードルが高い職場であれば、地道な節電に励むほかありません。
照明の次に節電効果が高いのが「空調」です。もしあなたの会社が大きな自社ビルを所有していて、職場も自社ビルのなかにすべて収まっているのであれば、空調の節電効果は想像以上に大きくなるかもしれません。というのも、賃貸とは違って、自社ビルの場合、個々の部署だけでなく、全社・全館体制で空調の節電対策に取り組むことができるからです。
たとえば、
・利用していない部屋やフロア、人が常勤しない倉庫などは、空調をストップする。
・ビル内各所に設置されているダンパを必要に応じて開閉し、冷暖房の効率を高める。
などは、効果の高い節電法です。
もちろん賃貸のオフィスでも、空調の節電で簡単にできることはあります。
まずなんといっても「服の着脱」です。「寒いのであれば上着をはおるなど重ね着をする。暑いのであれば薄着をしたり、最近流行の冷感素材の肌着やシャツを着る」などは基本中の基本です。「何を当たり前なことを!」と思われるかもしれませんが、買ったばかりのサマージャケットを同僚に自慢したいのか、「暑い暑い」と汗をかきながら、脇に汗シミをこしらえている人をたまに見かけます。ここは職場のリーダーが声をかけて、クールビズ、ウォームビズを励行しましょう。
またエアコンの設定温度や風量、風向きを調整することも基本です。古いエアコンを長年使用しているのであれば、思い切って最新型に交換することで消費電力を大幅に削減できます。
ただし、空調の見直しによる節電は、行き過ぎると職場環境の悪化を招きます。また、寒暖の感じ方には個人差があるので、フロアあるいはビル全体で統一した空調対策を行うと強い不快感を抱く社員が出てくる恐れもあります。空調の見直しは慎重に行うことが必要です。
照明、空調に続く節電に効果的なスポットは「電源」や「OA機器」です。電源のオンとオフをこまめに行うのは基本です。ただし、よく知られていることですが、エアコンのように電源を入れて空調を作動させたときにもっとも大きな電力を消費する電化製品では、こまめなオン・オフは逆効果になるので注意しましょう。
また最近は省エネ効果の高いOA機器が登場しています。職場で使用するパソコン、プリンタ、コピー機の数が多い場合は、一挙に省エネモデルに切り替えることで大幅な節電を実現できます。
プリンタを例に考えてみましょう。プリンタは、一般にインクジェットプリンタよりもレーザープリンタのほうがはるかに消費電力が高いとされています。これは出力時の消費電力が影響しており、インクジェットプリンタは20ワット程度であるのに対し、レーザープリンタは1000ワットに達することもあります。ただ、最近のレーザープリンタは、出力時以外はスリープモードに移行し、消費電力はほぼゼロになる機能を備えているようです。
ところで、「インクジェットプリンタはレーザープリンタよりも印刷速度が遅いため、頻繁に出力する職場では業務の効率が下がってしまうのでは?」と懸念されるかもしれませんね。しかし、レーザープリンタもスリープ状態からプリントを開始するまでに10秒前後の回復時間がかかります。数百枚、数千枚単位の大量印刷を日常的に行う職場ならともかく、そうでない職場であれば、出力そのものに必要な時間はインクジェットとレーザーで大差は認められないといえるでしょう。
結局、節電の見地からインクジェットプリンタとレーザープリンタを比較する場合は、「1日にどのくらいの時間、プリンタを稼働させるか?」という視点が必要となります。出力時間が多い職場なら、インクジェットプリンタを選択するほうが節電効果が高くなります。
以上のご紹介した節電法のなかには、服の着脱や電源のこまめなオン・オフなど、家庭でも当たり前に実践している方法もありますよね。しかしオフィスに移った途端、なぜか節電の意識が下がってしまうこともよく見受けられます。コストを負担するのが会社であり、直接自分の懐が痛まないからでしょうか?オフィスで消費する電力量は家庭とは比べ物になりません。高い意識をもって節電に励みましょう!