オフィス作りから業務効率を上げる工夫に取り組んでいる企業はまだ少ないのが現状ですが、スペースを最大限に活用できていなかったり、レイアウトに無駄があるため余計な作業が発生しているという会社は多くあります。オフィスのレイアウトを工夫することで仕事をしやすくするためには、どんなことに注意すればいいでしょうか。注目したいポイントをご紹介します。
まず、現状のレイアウトの問題点を洗い出しましょう。問題点をリストアップすることで、変更後のレイアウトをどのようにすればいいのかが見えてきます。
レイアウトを変更するだけで、デッドスペースとなっていたところを効率よく利用して人員増加にすばやく対応できるようになったり、什器の場所を変更することによって社員の動線が変わって動きやすくなったり、社員一人一人の作業スペースが広く取れるようになって作業効率が上がる可能性があります。仮にレイアウト変更に失敗してしまうと無駄な移動や作業が増えて、作業スペースが狭くなり、社員のパフォーマンス低下につながりかねません。
例えば、社員の作業スペースが狭いといった場合は、デスクの上の書類が整理しづらくなり、完了していない業務の書類を探すのに時間がかかったり、それに付随して書類の紛失や情報漏洩なども心配されるところです。また、ファイル類を収納するスペースが狭くて乱雑に入っていたり、そのために必要な資料がすぐに出てこないことも考えられます。そして、プリンタやコピー機などの什器類から近いデスクと遠いデスクがある場合、オフィス内を遠回りする社員が出てしまうといったことが挙げられます。
これらの問題はオフィスのレイアウトを変更することで解消できる可能性があります。オフィスのレイアウト変更を考える際に一番重要になるのが、現状のオフィスの問題点をしっかりと洗い出して、変更後どのようなオフィスにしたいのか、どのようにオフィスを利用したいのかを明確にしておくことです。それによってレイアウト構成が明確になってきます。
オフィスの限られたスペースを最大限に活用するためのレイアウト変更を考える際に、ゾーニングという配置方法があります。ゾーニングとは、オフィスの配置を社員の動線やそれぞれの部署の動きやコンセプトに合わせて、効率の良いスペースを割り当てた配置にすることをいいます。
レイアウト配分を決めていく際、最初にオフィスの全体を100として、各スペースの配分を決めていきます。社員のワークスペースなど利用度の高いスペースを大きく、利用度の低いスペースを小さく取ります。(一般的に、ワークスペースは全体に占める割合の50~60%と言われています。)
スペース配分ができたら各スペースの面積を「オフィスの面積 × 配分率」で計算し、それぞれの配置を決めていきます。
スペースの種類を一般的に必要といわれる大きさの順に挙げていくと
・ワークスペース(一般執務スペース)=社員の作業スペース
・業務支援スペース=プリンタやコピー等什器類
・会議室
・応接室
・情報管理スペース=文書保管倉庫やサーバールームなど
・役員専用スペース=役員のワークスペース
・役員会議室
・生活支援スペース=社員食堂
・給湯室
・喫煙室や休憩室など
・管理スペース=社員ロッカーや倉庫など
・交通スペース=ワークスペース間の通路やオフィスの廊下など
といった種類があります。
オフィスの用途によって大きさの前後がありますので、参考にしてください。また、オフィスの最大収容人数についても、計算しておく必要があります。最大収容人数を算出するには、社員一人の稼働領域がどれくらいなのかを知っておくことも大切です。デスク一台の寸法は一般的には幅1200mm前後、奥行が600~800mm前後です。これに人の稼働スペースを足すと、一人当たりの稼働スペースは幅1200mm前後、奥行きが1400~1600mmとなります。これを基本にして、オフィスに最大で何人収容できるのか、それに加えて業務支援スペースなどをどう配置するのかを考えていきましょう。
業務効率という視点でオフィスレイアウトの変更を考える際は、部署によって配置を決めることが重要です。
社員の動線や来客者の動線を考えて間取りを決めていく必要があります。具体的には、社員のみが出入りするスペース、社員と来客者が共有するスペース、来客者のためのスペースを分けて、全体のバランスをとるレイアウトを考えましょう。また、部署と来客者の数や、密接な関係性のある部門同士を同じエリアに配置する、受付スペースや来客者対応のために管理部門を近くに配置する、営業部門と応接室や会議室を隣接させるといったことを考慮しながら決めていきます。配置を考慮することで、会社の業務効率を上げることができます。
これはセキュリティの観点からも大変重要です。部外者が社員のワークスペースに入り込むことで情報が漏洩し、企業の信頼性が損なわれるといったケースを未然に防ぐことができます。また、ワークスペースのレイアウトには様々な方法がありますので、部署ごとに利用しやすいレイアウトを取り入れるのも良いでしょう。
会社の体制や部署ごとの連携、社員同士のコミュニケーションを取りやすくして、会社内のネットワーク構築をすることで業務効率の上昇につながります。
オフィスレイアウトを変更する上で注意したいポイントを挙げてきました。部署ごとのワークスペースの配置や業務支援スペースなどの配置の方法一つで、社員の作業効率が大きく左右されます。動きやすい動線を確保し、無駄な作業をなくしていければ、社員が働きやすい環境でストレスを感じることなく業務に集中でき、その結果、業務全体の効率が上がります。このようなことを参考にしながら、現状のオフィスを見直してみてはいかがでしょうか。