オフィスの移転が決まったら、新オフィスに何を求めますか?せっかくだから移転の目的の実現とともに創造性や生産性を生み出す職場にしたいですよね。そしてコミュニケーションが活発に行われるオフィスこそ、これらが実現する場となるのです。ここではクリエイティブ・オフィスとはどんなものかを参考に、この3つが叶う理想的なオフィスづくりについて考えてみましょう。
ここ数年、日本でも働き方改善の動きと同時に、オフィスを単なる働く場所として考えるのではなく、創造性が刺激され、イノベーションが生まれる場所としてオフィス環境を今一度見直そうという動きが目立ってきています。
代表的な例としてGoogleやamazonなどといった海外企業を中心に、楽天やLINE、バンダイナムコなどの国内企業などもこだわりのオフィスデザインで注目されています。これらの有名企業は従業員の数も膨大で、構えるオフィスも立派なものですが、小規模オフィスであっても同じような考えをもってさえいれば創造性が育まれるようなオフィスづくりは可能となります。
「クリエイティブ・オフィス」ともよばれるオフィスデザインには、いくつかの特徴があります。
情報やアイデアがビジネスの世界でも必要不可欠な今の時代、オフィス空間の機能性や快適さは生産性に大きくかかわっていきます。ときに集中し、ときにはリラックスした雰囲気で気軽に社員同士が交流できることは生産性の向上につながります。他部署との交流が活発になればアイデアやひらめきもより生まれやすくなります。また、リラクゼーションスペースなどストレスの少ない空間作りは社員ひとりひとりの力をより引き出してくれます。そして、企業の独自のブランディングイメージや風土をオフィスデザインにも反映していれば、社内だけでなく社外の人間にも強力なアピールになります。
このように、オフィスを経営的な戦略のひとつとして捉えることがオフィスづくりのポイントとなるのです。
経済産業省では2007年からこのクリエイティブ・オフィスを推進し、国全体で盛り上げていこうということでリーフレットなども作成し、具体的な例を紹介してきました。実際にクリエイティブ・オフィスに変更したことによってどのような効果があったかもアンケート調査でまとめています。
企業の生産性を向上させるためには個人の能力の質をあげることが重要課題で、そのためにはオフィス環境を構築し直すとともに、社内の情報網や運用制度も変えていく必要があります。経営者が社員の意見をヒアリングし、グローバルなコミュニケーションが可能な場を作り、意思決定も迅速にできるようなオフィスを作ることができれば生産性の向上が実現します。社内で様々な専門分野の社員が連携できるようなつくりにすればコミュニケーションの活性化につながり、知識の融合から新たな創造が生み出されやすくなります。
新しいオフィスをつくるためには場や環境の変革だけでなく、意識変革も必要になります。経営理念や社員ひとりひとりの課題を共有し、それが仕事への取り組み方にも反映されるようなオフィスを作りましょう。社員が個々に自分の仕事の大切さに気づくことでモチベーションが向上し、社内の競争力もあがるという結果が得られます。
一般的なオフィスづくりではいくつかのゾーン分けがされます。
・エントランス
・レセプション
・ワーキングスペース
・リフレッシュスペース
・ミーティングスペース
・マネージャーゾーン
などがありますが、これらをひとつのゾーンで使い分けることもできます。オフィスの規模や人数によって様々なパターンがありますが、創造性や生産性、コミュニケーションを大事にするオフィスにする場合に、あると便利なものやシステムをいくつかご紹介しましょう。
エントランスでは、オフィスを訪れるお客様や取引先に企業のブランディングイメージがはっきりと伝わるようなデザインが理想的です。会社の第一印象を決める重要な場所ですので、こだわりをもってデザインしていきたいところです。
レセプションは訪問客を迎える場所でエントランスに含まれることもありますが、スペースを広く取れない場合は応接室と役員室を兼用する会社も少なくありません。
ワーキングスペースは社員間のコミュニケーションがとりやすいようにレイアウトし、業務内容に差し障りがなければフリーアドレスを導入したり、集中できるスペースとコミュニケーションをとりながら仕事ができる席を両方用意することもできます。
リフレッシュスペースは気楽にくつろげるようにソファを置いたりカフェのようなインテリアにするなど、執務室とはがらっと雰囲気を変えるのも最近のオフィスデザインの流行となっています。
ミーティングスペースもお堅い会議室、というよりはデザイン性を取り入れ、椅子を様々に配置して、プロジェクターやホワイトボードを使い活発に意見交換がなされるようなスペース作りが望ましいです。何種類かの会議室を設けている会社も多くなっています。
マネージャーなどの役員室はあえて作らない企業もありますが、設置する場合はガラス張りの部屋にするなど社員との壁を作らないコミュニケーションの大切さを体現するオフィスデザインが注目されています。
こちらのオフィスは企業が成長し、人員が増えたためオフィスを移転することになりました。移転の機会に社内環境を改善し、企業のブランディングを確立することを目標にオフィスづくりをしています。実際どのように環境を変えたかをみていきましょう。
新オフィスでは今後の増員も考えて個々に座席を作るのではなく、フリーアドレスを導入しました。その日の業務によって社員が自分で場所を選んで仕事ができるように、フォーカスブースやスタンディングブース、ソファ席や窓際のベンチなど、席のバリエーションも豊富です。また、来客に企業のイメージがよく伝わるような「楽しさ」が散りばめられた空間づくりにもこだわっています。社員同士があまりコミュニケーションを取れなかった旧オフィスとはイメージを変え、リビングやダイニングがあり、まるで家にいるかのようなくつろぎの空間を新たに作りました。リビングスペースはラグやソファで目線を下げたインテリア設計をし、コミュニケーションがとりやすい作りにしてあります。ダイニングスペースでは食事はもちろん、モニターを設置してミーティングにも使えるようにしてあります。マンションの一室だった旧オフィスに比べ、ワンフロアでも効果的に間仕切りを作ることで創造性と生産性、コミュニケーションが生まれる空間に仕上がっています。
【施工事例:株式会社MACオフィス】
以上のように、オフィスにおいて創造性、生産性、コミュニケーションは相互関係にあり、すべてが繋がっているといえます。つまりコミュニケーションが活性化されれば創造性が刺激され生産性がアップしていくのです。コミュニケーションが円滑にとれる工夫をすることが会社のさらなる発展に繋がることでしょう。