賃貸オフィスビルには専有部と共用部があります。個別に契約し賃料を支払うことで専有できる部分を専有部、賃貸で借りている人々なら誰でも自由に出入りし使用できる部分を共用部と言います。代表的な共用部としてあげられるのが、エントランス、エレベーター、廊下、トイレです。
賃貸オフィスを借りる際、オフィスの間取りや面積にばかり目が行きがちですが、毎日オフィスで仕事を行うことを考えると、オフィスビルの共用部もとても重要なポイントになります。賃貸オフィスビルではしっかり共用部を確認しましょう。
賃貸オフィスを選ぶとき、オフィスの中にばかり注目しがちで実際にオフィスを使用してから問題点に気付くといった失敗をしないように、共用部はしっかり確認することをおすすめします。賃貸オフィスの内見では、オフィス自体はキレイに見えるものです。オフィスビルの管理がしっかりされているかを見極めるポイントは共用部にあります。
特にチェックしておきたいポイントは、清掃状況と使用状況です。エントランスやエレベーターなどの共用部は多くの人々が利用します。埃やゴミが溜まっていないかの確認だけでなく、床材や壁材が剥がれていないかなど保守や修理が行われているかも確認した方がいいでしょう。
また、エレベーターの使い勝手はしっかり確認しましょう。エレベーターの数やエレベーターホールの広さや待ち時間など、毎日従業員が使用することを考えると中小オフィスビルでもエレベーターは2基以上あることが理想的かもしれません。出勤時間にエレベーター待ちの行列ができるオフィスビルもあるので、エレベーターは重要なチェックポイントになります。
さらにオフィスビルの水回りは女性目線でチェックすることがおすすめです。給湯室やトイレなどは従業員の息抜きやリフレッシュをする場所にもなるため、使用状況をしっかり確認しましょう。オフィスビルによって給湯室やトイレが専有か共用かが異なり、それに応じて清掃の有無も異なるため確認が必要です。また、水道やガスの料金については、定額で使い放題のビルや逆に使用量によって上乗せされる場合もあるため、入居前に料金形態を聞いておくことも大切です。
最近では、オフィスのリフレッシュスペースを重要視する傾向があり、仕事のオン・オフや息抜きをすることで仕事への集中力や効率が上がると言われています。そのため、水回りはオフィスにとって重要なポイントになります。あるオフィスビルでは、違う階で働く従業員が勝手にトイレを使用することが迷惑だというトラブルがあるそうです。共用部なのでモラルの問題になりますが、オフィスビル内の他社の動線を見ることもひとつのポイントになるかもしれません。
オフィスビルの管理は、基本的にビル設備の保守点検などのメンテナンスが行われ、床面積が3000平方メートル以上の商業施設のようなビルになるとビル管理法によって管理方法が定められています。共用部の日々の清掃は清掃業者が行うことが多いですが、オフィスビルによってはトイレや給湯室などは専有になる場合もあるため、個別に清掃が必要な場合もあります。
共用部の例を挙げると、5階建ての2階部分がオフィスで、その2階全てが企業の専有になっている企業では、清掃を当番制で行っているそうです。給湯室やトイレも専有になっており、毎朝朝礼までに清掃を終わらせ業務を始める決まりがあります。渡り廊下や階段は共用部になり清掃の必要がなかったものの、外に面した階段のため喫煙所扱いになっていて他社の従業員も多く利用しているそうです。喫煙者ではない従業員にとっては、あまり使い心地の良い共用部(階段)ではないとの声が上がっています。
こういったことから、共用部の使用状況はビルオーナーやテナント・企業の使い方がよく見えるので、しっかり確認しましょう。
ビル管理法に指定されているオフィスビルの場合は、定期的な検査や点検が行われますが、中小ビルの場合はビル設備の小さなトラブルは自分たちで対応することも少なくありません。管理会社への連絡または業者への修理点検依頼を行う場合もあるため、ビルの管理体制はしっかり確認しましょう。
共用部のチェックポイントを改めて見直しましたが、いい賃貸オフィスを探すためには何が必要なのでしょうか。
賃貸オフィスを探す場合、専有部となるオフィスの立地や家賃、間取りなど理想とする条件を挙げて探すのが一般的です。それらを踏まえた上でオフィスビルの内見を行います。そのときに共用部を初めて目にすることになります。共用部はそのビルを使用する人々の使い勝手やビルの管理状況を見ることができるのでオフィスと同様にしっかりチェックしましょう。
オフィスは企業が求める条件だけでなく、そこで働く従業員の動線がとても大切です。従業員が快適に心地よくオフィスを使用できるかはオフィスビル全体に関わることです。エントランスは、従業員だけでなくお客様の目にも触れ、トイレはビルに入る人々が使用する共用部になります。オフィス内の雰囲気がどんなに立派でも共用部の管理がされていないとオフィス自体の印象も大きく下がってしまうのです。そのため、共用部についても条件を挙げることが必要です。エントランスはどのビルでも細かく清掃されていることが多いため、その他に企業が着目するポイントをつくりましょう。
ビルの管理体制の確認、水道やガスなどの利用料金、共用部の清潔さや使い勝手など企業に合った条件でしっかり確認することが必要です。理想のオフィス探しは専用部であるオフィスだけでなく、共用部を含めたオフィスビル単位で広い視野で探すことがいいオフィスに出会うポイントかもしれません。
オフィスビルは、同じビル内にオフィスを構える企業と共用して使用する場所が多くあります。企業の理想のオフィス条件だけでなく、実際にオフィスを使用するために必要な条件も多くあります。その中でも共用部は重要なポイントです。
オフィスは企業の顔ですが、オフィスビル自体もオフィスの顔となりうるものです。しっかり内見をして注目ポイントを見定めることでより良いオフィスと出会うことができるでしょう。