税務に関するプロフェッショナルな職業である税理士。国民の義務でもある納税に関して困ったことや分からないことが起きた時は、彼らに相談するのが解決への近道となります。さて、そんな税理士事務所のオフィスは果たしてどういった形となっているのでしょうか、その実例を見ていくことで仕事のしやすさについて検証していきます。
まず、これから税理士として事務所を開設しようと思っている方にとって、(事務所は)どういった形態のものが良いのかを探っていきましょう。
そもそも事務所の構え方には「自宅を利用する」「事務所を借りる」「レンタルオフィスを借りる」という3つのパターンがあります。
この中でも特にコスト面で安価となるのがレンタルオフィスです。最初のメリットとしては、初期費用があまりかかりません。他のパターンであれば、入居時の敷金、礼金、そして室内の改装費といったものが必要となってきますが、レンタルオフィスにはそのコストを負う必要があまりなく、初期費用を低く設定できるのです。
また、開設をする場所の選択肢が広く、例えば東京の一等地でオフィスを構えることもできるという点も見逃せません。個人事業は、立地場所が良い所であればお客様の印象も違ってきて、信頼度も高まるのです。さらに、業務拡大によって今いるオフィスが手狭となり移転を決断した時、レンタルオフィスであれば解約も容易であるという側面もあります。
最後に、レンタルオフィスであればあらかじめインフラ設備がある程度整っているというメリットもあります。イスやデスク、電話、コピー機、パソコン、通信環境といったものは事務所開設時に必要となってきますが、最初から準備されているのであればすぐ業務に移行しやすくなります。
レンタルオフィス故に、お客様から(仕事の質に関して)やや疑問の目を向けられる、賃料の割に部屋が狭いといったデメリットもあるものの、自宅で開業したり事務所を借りたりする形態に比べると、税理士として開設するにあたってレンタルオフィスはオススメの形態です。
税理士としてスタートすべきオフィスが決まった後は、その中身(レイアウト)も検討するようにしましょう。大きく分けて4つのポイントがあります。
1:エントランス
税理士事務所は、お客様に「来てもらう」機会の多い場所になります。当然のことながら、お客様が最初に通過するエントランス部分は見栄えのいいレイアウトでなければなりません。また、税金、納税に関する相談はセンシティブなものになりがちです。不安を抱えたまま来社するお客様も少なくありません。不安を和らげるために、パネルや観葉植物などを駆使することによって、清潔感溢れ、温かみを感じさせるエントランスを作り出すことを心がけましょう。
2:会議スペース
税理士事務所は一般企業とは違い、税理士本人とスタッフ数名の少数精鋭で運営していることが多いという特徴があります。したがって、極端に広い部屋である必要はありません。数名が入室してもスペースができるくらいの会議スペースを確保し、圧迫感を感じさせないためにガラスの材質等のパーテーションをオフィス内の仕切りとして活用するようにしましょう。また、テーブルなどに木目調の材質のものを採用し、観葉植物なども置けばナチュラルな空間が演出できます。そのことによって、ミーティング中でもリラックスできる環境のもと、活発でクリエイティブな意見を交換することができるでしょう。
3:資料、書類を保管するためのスペース
税理士という職業柄、個人・法人のお客様の税金に関する個人データなど、紙の書類が大量に発生する可能性も非常に高くなります。そうしたものを一手に収納しておけるスペースも、税理士のオフィスには必要になってくると言えるでしょう。それを可能とするのが、人間の背丈ほどの高さがあるオープンラックの導入となります。いわゆる「ライブラリースペース」を独立した形でオフィス内に置いておくことが可能となり、きっちり書類を分類しておけば、すぐにでも必要なものを取り出せる体制が整います。
4:執務を行うスペース
最後に考えるべき部屋は、肝心の執務を行うスペースです。まず、税理士本人と数名のスタッフが一つの部屋で働きやすい様に(移動しやすい様に)、ある程度のオープンスペースを取る必要があると言えるでしょう。同じ部屋に資料を置く場合には、縦に3段式となっているワゴンなどを導入して、あまりスペースを取らないようにします。机上に書類などを置く必要がある場合には、容量と機能性に優れたコーナーデスクを導入することも1つの手段と言えます。
以上4つの面から税理士のオフィスに必要な要素を考えてきました。狭い部屋でも効果的なレイアウトを考え出すようにしましょう。
最後に、実際の税理士の方の事務所はどんな形態となっているのでしょうか、紹介していきましょう。
東京都中央区という都心にオフィスを構えている吉村税務会計事務所は1987年に開業、現在事務所内には4名が働いています。一般の税理士の事務所とは違い、省スペース化を徹底追及したものとなっており、スタッフの机上には書類があまり置かれていません。紙で書かれたデータ類は全て電子化しており、そのほとんどをサーバー内に納めているのです。こうした「ペーパーレス化」は省スペース化に貢献するだけでなく、スタッフ全員が情報を共有しやすくなりお客様の要望に対しても迅速に対応できるほか、重要な電子化書類にはパスワードをかけて一部の人間にしか見られなくするなど、セキュリティ面でも安心という側面があります。
また、スタッフの机上にはパソコン用モニターが2台置いてある、いわゆる「マルチディスプレイ方式」を採用しています。これにより、書類とモニターで目線が上下して、その結果起こり得る入力ミスをなくすことに成功しました。
例えば右側の画面に前年度の法人税別表を映しながら左側の画面で本年度の税金を入力したり、ファイリングのシステムを見ながら、会計専用ソフトでの入力をしやすくするなどの業務のスムーズ化にも成功しているのです。
以上のように吉村税務会計事務所ではオフィス内において仕事の効率化を様々な側面から実現させています。
いかがでしたか。これから税理士として事務所の開設を目指している人たちにとって、どのようなオフィス形態を目指すべきか、実例と共に紹介してきました。周辺にいる税理士の先輩にも相談することによって、スムーズなスタートを切れるようにしましょう。
また、こちらのサイトも参考にしてみてください。 【税理士事務所.net】