あなたが働いているオフィスは、快適な環境が整っているでしょうか?その昔はタバコの煙が充満していたり、周辺の騒音がうるさかったり、必ずしも働きやすい場所ではなかったオフィスですが、近年ではただ働く場所、というだけではなく、従業員が健康に毎日を過ごせるオフィスというものが社会的にも目指されています。今回はこの「快適なオフィス環境」というものを改めて考えていきます。
単純に「働きやすいオフィス」というだけでは抽象的であり、改善すべきポイントも見つかりにくいものです。具体的に言うと5つの視点が考えられます。以下から見ていきましょう。
1:機能性
オフィスはあらためて言うまでもなく「仕事をする場」です。スムーズなコミュニケーションが取れつつ、従業員1人1人が仕事に集中できるようなレイアウトを考え出すことが、オフィスの快適性をアップさせる要因になります。
2:デザイン性
近年、IT企業を中心にいわゆる「オシャレ」なオフィスが増えてきています。奇抜すぎるのは考えものですが、オフィス内の環境に溶け込みつつも独自性のあるもの、企業のコンセプトを体現しているようなデザインの創出は従業員の仕事に対するモチベーションを上げ、快適なオフィスになります。
3:快適性
オフィスでは1日中仕事をするだけではありません。当然のことながら「休憩時間」の存在も重要となってきます。そこで過ごす時間を充実したものにできれば、従業員の仕事の生産性も大いにアップすることでしょう。近年では遊び心にあふれた休憩室も増えてきています。たくさんの事例をもとに、快適性をアップさせるオフィス作りを目指してみましょう。
4:創造性(をアップさせる環境)
従業員1人1人が意見を出しやすく、活発な議論の応酬が可能となる会議室の設置による透明性のあるオフィスを作り出すことは、閉鎖的で息苦しい環境からの脱却ともなります。
5:多方面において安心・安全感のあるオフィス
近年では大地震など、大規模な自然災害の発生も珍しいものではなくなってきました。特に日中オフィスにいる時に起こると生命の危険すらあります。耐震構造のしっかりしたオフィス、避難経路の確立、社員への周知徹底など、万が一の備えがあれば安心して仕事ができるでしょう。また、安全という面ではセキュリティに関しても留意しなければなりません。外部からの不審者を容易にオフィス内に入らせないために、2重3重にロックをかけておく、入退室管理の体制を整えておくなどのシステムを構築しておけば、不慮の事故が起こる可能性も低くなります。
以上5つの視点が、仕事をする上で快適なオフィス環境を目指す時に重要となるポイントです。
前段では仕事のしやすさという観点から快適なオフィス環境を考察してきましたが、オフィス内そのものが1日中居て過ごしやすいところであるかどうか、単純に従業員の健康を維持できるか、という観点も無視できません。実は、オフィスの衛生管理には「事務所衛生基準規則」という法律が定められており、これを遵守する必要があるのです。具体的にどういった要素があるのかを見ていきましょう。
1:室内を最適な温度、湿度に定める
特に夏場や冬場においては、オフィス内の室温を適切に定めることが従業員の健康を維持するためにも必要になってきますが、それには一つの基準があります。気温は17度から28度の範囲内、湿度は40パーセントから70パーセント、風速は0.5メートル毎秒以下、となっています。その時の状況によって微妙な調整が必要な時もありますが、おおむねこの範囲内に室温を調節することを心がけましょう。
2:換気と空間保持を行う
見た目に狭さを感じ、さらに換気の悪い状態のオフィスでは、心理的に圧迫を感じたり、さらに呼吸系の疾病を発症するかもしれません。まず狭さという観点から考えると、オフィス内の天井高は特に気にしなければならないポイントとなります。天井が低いと圧迫感があり、何となく落ち着かない気分のまま仕事をしなければならなくなるでしょう。仮に天井が4メートル以下の高さであれば、オフィス機器や備品の置き場所を除いて1人あたり10立方メートル以上の広さを確保しなければなりません。言い換えると、2畳か3畳分の広さです。また、換気に関しても注意しましょう。人の体熱によりオフィスの温度は自然と上昇するものであり、また人が呼吸すれば酸素が減少し、炭酸ガスが増えてきます。ここに、ホコリや室内のにおい、(場合によっては)タバコの煙などが加わると、換気をしなければ非常に不快な環境となってしまいます。「事務所衛生基準規則」では、オフィス内の空気構成に関して炭素ガス0.5パーセント以下、一酸化炭素50ppm以下、などの基準が定められています。正確に測るのは難しくても、窓を開けたり空気清浄器を利用するなどして、オフィス内の換気につとめましょう。
引き続き、オフィスで遵守すべき衛生管理を見ていきましょう。
3:適度な照明の明るさを保つ
一般的に、オフィスにおいて適切な明るさは300~700ルクスである、と言われています。それもただ明るいだけではなく、部屋によって明るさの差があってはいけない(暗い部分があってはいけない)、まぶしいと感じない程度の明るさにする、太陽光に近い照明を採用する、といった基準を守るようにしましょう。
4:周辺が静かな環境であること
現代では「ご近所の騒音トラブル」といったニュースが世間を騒がせていますが、これはオフィスで働く時にも重要なポイントとなります。すなわち、仕事に集中して取り組むために、必要以上に大きな「騒音」はなるべくブロックするということです。交通量の多い道路に面しているオフィスの立地であれば、防音材を導入するなどの工夫が必要かもしれません。また、オフィス内でも数々の音が発生します。シュレッダーの音やパソコンの周辺機器の音、キーボードのタイプ音やコピー機の作業音など、枚挙に暇がありませんが、特にうるさく音を立てるものや振動が伝わりやすいオフィス機器などは一つにまとめ、個室の作業スペースを作って置いてみたり、パーテーションを配置するなどの工夫をしましょう。
5:その他衛生面で気を付けたいポイント
オフィス内で働く従業員の疾病を防ぐ、と言った観点から考えると、様々な場所において清潔さを保たねばなりません。日常的に掃除を行うのはもちろん、害虫駆除、水回りにおける適切な給水と排水などが考えられます。
いかがでしたか。従業員がオフィス内で快適に毎日の仕事をこなすためには、その環境整備をきちんとしなければならない、ということを今回は考察してきました。今一度自分が所属するオフィス環境を見直し、場合によっては総務などの担当者に環境の改善を相談してみましょう。それが会社の成長につながる可能性もあるのです。