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シン・ゴジラに学ぶ部下を活かすリーダーシップと緊急対応

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シン・ゴジラに学ぶ部下を活かすリーダーシップと緊急対応

シン・ゴジラに学ぶ部下を活かすリーダーシップと緊急対応

7月に公開されたゴジラシリーズ最新作「シン・ゴジラ」は新世紀エヴァンゲリオンで有名な庵野秀明監督が手がけることで注目を集めました。そして公開後から大ヒット、2016年の邦画実写部門での1位は確実と見られています。その中で大きく描写されたのが「本当にゴジラが現れた時、日本政府はどう対応するのか」ということです。自衛隊などにも取材し作られたというこの映画の脚本の大変リアリティのある描写が話題を呼びましたが、この映画から、部下を一緒に緊急対応を行うリーダーシップについて学んでみましょう。
 

何事も初期緊急対応が重要である

【引用元:pixabay】

シン・ゴジラは「ゴジラという怪獣映画が存在していない世界」を仮想として描かれた世界です。そこに住む人達は怪獣映画というものを見たことがなく、巨大生物という人類の生活を脅かす脅威が生まれることなど全く想像もしたことがない世界で生きてきました。そのため最初に海に現れたゴジラ第1形態にしても火山の噴火であったり、クジラなどの生物を誤認識した、という報道を行い、後手後手の対応となりました。制作側は調節的には表明していませんが、これはまさに東日本大震災の際に、福島第一原発へ対する対応が遅れ、国民には逐一違う状況が伝えられたために誰も正確な状況を認識できず、壊滅的な事態を未然に防げなかったことを題材として描いていると思わせるに十分なものでした。この映画ではゴジラの第1形態に対し、適切な対応ができたかどうかは未知数ですが、ゴジラの出現で右往左往するリーダーシップの感じられない政府対応は、まさに近年体験した政府対応の対応の遅さ、初期緊急対応での失敗を重ねた人も多いのではないでしょうか。何事も初期に問題の大きさやその対応策を練って部下を動かせないと、後々に大きな課題を残すということを伝えているように思えます。
 

意思決定は迅速に行う、責任の所在は明確に

【引用元:cslbook】
【引用元:cslbook】

またゴジラが多摩川から上陸し、異形の怪物が出現したあとも、政府の緊急対応の悪さを感じるような描写となっていました。テロップが出てもまともに読み取れないような、名前だけ長い政府の部署がいくつも登場し、それぞれが自分の意見を主張、意見は集めるものの意思決定ができる人間がおらず、肝心の総理大臣もなんとなく頼りない印象。このような想定外の災害が発生した時にどう対応してよいか決められる人間がいない、すぐに対応できる部門がないというのも、日本が抱える問題点として制作側が伝えたいポイントの一つであるといえるでしょう。そしてストーリーが進行すると、災害対策基本法を元に主人公の矢口が長となり、リーダーシップを発揮。自衛隊が対応することになります。逆に個々で描かれた自衛隊の対応には頼もしさを感じた人も多いのではないでしょうか。それぞれの役割を自覚し、自分から同対応すべき会見を述べ、仕事と割り切って脅威にも対応していく。この映画の中での自衛隊は矢口の支持に従い、その命令を確実に実行していくプロフェッショナルの集団として描かれています。責任の所在さえはっきりしてしまえば割り切って動ける人間、部下は意外とたくさんいることがわかります。
 

外の力を借りることをいとわない

 【引用元:pixabay】

【引用元:pixabay】

そしてこの映画で一番の肝である、主人公矢口のもとでゴジラへの緊急対応策を策定した集団が「巨大不明生物特設災害対策本部」こと「巨災対」です。ここに集まった人物はとがった人間ばかり。エリート集団である官僚とは真逆の、オタクや鼻つまみ者、問題児など一癖も二癖もある人物ばかりでした。実際に彼らの調査による作戦でゴジラ対策も行われることになるのですが、普通の組織ならば出世できないような変わり者ばかりの集団を迅速に用意できた矢口の手腕が結果的に、日本を未曾有の危機から救ったとも言えるのです。巨災対の人間たちも、マイペースさは崩さないながらも、しっかりと責任を持って不眠不休でゴジラ対策に努め、見事に結果を出すことに成功しました。
外面や名誉にとらわれること無く必要な人材を用意し、その変わり者から力を借りることをいとわない。ついつい人に頼ることを自分のプライドを守るために避けようとする人は多いですが、この映画では一芸に秀でたものたちの力を集めて大きな問題に立ち向かうことの大切さを描いています。リーダーとして必要なのは、自分のプライドよりも必要な人材をすぐに集められる人脈と決断力、そして彼らの能力を引き出すための環境づくりに徹することといえるでしょう。決断と責任はリーダーの仕事ですが、対応は部下に任せてもよいのです。それこそが真のリーダーシップなのかもしれません。
 

ムードメーカーかつ相談できる相手を持つ

【引用元:pixabay】
【引用元:pixabay】

作中で矢口と絡む人物は石原さとみ演じる日系アメリカ三世の米国大統領特使カヨコ・アン・パタースンや、竹野内豊演じる赤坂秀樹などが目立っていましたが、もう一人注目したい人物がいます。それが泉という登場人物。彼は矢口と古い付き合いのある友人として登場し、対応に焦る矢口を「まずは君が落ち着け」と水を差し出しなだめるシーンがありました。その後もひょうひょうとした態度を、この緊急対応時でも崩すこと無く、色々な方面に手を回して、矢口を作戦実行のためにフォローを行っていました。矢口にとって赤坂は上司、カヨコは場合によって敵とも味方ともなりうる人物です。しかし泉は対等に話せる友人であり、彼には本音で話すシーンや軽口のような会話も見られました。
出世欲を隠そうともしないその姿は災害時には不謹慎ともとられかねないですが、こんな非常事態すら自分の欲を叶える手段に使う抜け目のなさ、また各方面へのツテが豊富な人脈、そして何よりもその行動力と実行力がゴジラ対策を実現できた大きな要因であることは間違いありません。リーダーシップを発揮する人間のそばに、部下とはまた違う立ち位置で常に対等に話せて、頼れる友がいること。そして繋がりを組織内外に持ち、利害関係に則れば誰よりも働いてくれる、そんな信頼できる友人の存在は大変心強いものでしょう。
シン・ゴジラはリアリティのある脚本にするために、実際に政府各所に綿密な取材を行い、総監督の庵野氏が執筆をしました。ここに描かれた姿は虚構ではなく我々にすぐにでも襲いかかる脅威かもしれません。自分と登場人物の姿や行動を照らし合わせてみても楽しめる作品かもしれません。

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