社員一人一人のワークスタイルは様々ですが、働きやすい環境を整えることで仕事の効率アップを図る企業が増えています。個人業務での生産性や効率を考える時、快適な環境で仕事が出来るということが社員のモチベーション向上に繋がり、会社全体の業績を上げる結果へと導きます。では、働きやすいオフィスとはどのようなものでしょう。
一言に働きやすいオフィスと言っても大変多岐にわたり、職種別の業務内容で大きく変わってきます。総務や経理のように就業時間のほとんどを同じオフィスの中で過ごす職場もあれば、生産管理や技術職のように他の部署との連携が必要な職種、また営業職のように外出が多い職種もあり、その職種に相応しいレイアウト作りを考えることが働きやすさに繋がってきます。一日を同じ職場で過ごす職種では、大きく分けると書類を作成したり取りまとめたりする業務が多くなります。そのため、オフィスを全体的にどれだけ収納しやすいレイアウトに出来るかが重要です。紙ベースの書類が多くなる職種は、ファイルを収納するキャビネットの他に、過年度のファイルを保管しておくスペースも必要になります。重要書類を保管しておくスペースには、キャビネットと同様に鍵のかかる保管室があればセキュリティを保つことができます。
また、個人が使うデスク周りもそれぞれのワークスタイルに活かせるような、フレキシブルで洗練されたデザインのものを選択すれば、社員一人一人のモチベーションの向上や維持に繋がります。デスクと個人収納用の小型キャビネットを別のものにしておくと、業務担当者の変更や異動、入退社などで席替えが必要になった時に柔軟に対応できます。また、生産管理や技術職といった職種は、関わりが深く行き来の多い部署や現場から近い場所に配置したり、営業職のように外出の多い業務であれば、出入り口から近い場所に配置することで効率が上がります。それぞれの職場内だけでなく、会社全体のオフィスの配置にも注目したいところです。
一日の仕事がデスクワーク中心になる職場での社員一人一人のデスクをよく観察してみると、それぞれのデスク上を使いやすくカスタマイズしていることが分かります。書類の整え方も部署によって違いがあるので、オフィスファニチャーだけでなくファイル類などの備品の種類にも気を配ってみると一段と仕事がしやすくなります。特に書類を多く保管しておく必要のある経理などの部署では、監査などで必要な時に必要な書類を素早く準備するためにも大変重要です。5Sの観点からも常に整理され、きれいに片付いたオフィスは仕事の効率が上がります。
また、生産管理や技術職のような現場や他の部署との行き来が多い職場では、個人のデスク周りの使いやすさの他に、いかにフットワークを軽くできるかがカギになります。一日にわたって個人のデスクで仕事をこなす場合は固定電話で良いと言えますが、オフィス間の出入りが多い職種では、携帯電話やPHSでいつでも連絡を取り合えるようにしておくと効率が上がります。社内の打ち合わせをしやすいように、会議室の他にも簡単なミーティングスペースがあると大変便利です。
そして営業職のように外出の多い職種では携帯電話は既に必須アイテムとなっていますが、小型のパソコンやタブレットなどを貸与することで、外出先でも必要な資料や最新の情報を得ることが出来ます。社内だけでなく取引先とのコンタクトの取りやすさが業績にも繋がってきます。このように職種別に環境を整えることが重要です。
仕事の効率向上を考える時、多様化する情報システムの活用は必須となっています。様々なITツールが提供されており、その中でどのようなシステムが有効かをよく吟味した上で選ぶ必要があります。どんなシステムであれば仕事の効率を最大限に向上させられるかは、業種やそれぞれの会社の置かれている環境によって変わってきます。
例えば社内でのみ使用するシステムとしては、部署ごと、或いは社員ごとに、それぞれのスケジュールを共有できるソフトウェアを導入することで、会議招集日程などの調整がしやすくなります。スケジュール管理機能以外にも、電話帳管理や会議室、社有車などの予約管理のシステムなどもあり、それらを同一のシステムでカバーすることもできます。クラウドサービスを利用すれば、休暇中の社員の仕事をフォローアップすることが可能になります。コスト削減の観点からも、紙ベースで必要な書類以外はペーパーレスを実現することができます。また従来の会議とは一線を画す手段として、インターネット回線を利用したテレビ会議に、各オフィスのデスク上のパソコンだけでなく、タブレット端末を利用して外出先からでも参加できるようにするといったことも考えられます。利用するシステムによっては、パソコンの画面表示を切り替えることによって会議参加者全員が各自の電子ファイルの資料を共有することができるものもあります。また、会社全体で利用するシステムとしては、業種によって独自のシステム開発を依頼したり、既存のシステムを利用してカスタマイズするといったことも考えられます。産業によってはサプライチェーン全体を、システムによって連結している企業も増えてきています。サプライチェーンを連結することで受発注の齟齬や、受発注完了までの時間と手間を最小限に抑えることができます。
今後のビジネス展開を進める上で、端末デバイスやクラウドサービスといったITツールを最大限に活かすことが必要不可欠であり、社員の仕事の効率向上に役立ちます。
どのようなオフィスが社員にとって働きやすいかにフォーカスしてきましたが、重要なのはその業種や職種、その会社の環境に合っているかどうかです。会社全体の状況や部署ごと、社員一人一人がどのようなワークスタイルであるのかを見極めることが必要となります。ヒアリングすることで社員の意見を取り入れるのも良いでしょう。その結果、働きすいオフィスを実現し、仕事の効率と社員のモチベーション向上に繋がっていきます。