より良い快適な仕事環境とはどのようなものでしょうか。社員のモチベーションが向上し、同時に会社の業績も上がっているオフィス空間には、「安心して仕事が出来る」「効率的に動ける」「快適に過ごせる」という3つの特徴があります。では、どのようなオフィスが安全で効率的で快適な空間となるのかをご説明していきます。
まず、新たにレイアウトを作るオフィスの使用目的、コンセプトを明確にしておく必要があります。
人員増加に対応するためのスペース確保を重視するか、一人一人の社員がゆったりと仕事できるスペースを広くとることを重視するかでレイアウトの仕方は大きく変わります。会社の方針で人員増加を予定している場合、オフィスの面積自体が狭くて人員増加に対応できなかったり、あるいは業務に集中する必要があるのに、一人一人の社員の作業スペースが狭すぎて集中できないといった状態はレイアウトがうまくいっていないということになります。部署や業務内容によってレイアウトを変えた方が効率的になることもありますので、ここでしっかりと検討しておきましょう。
レイアウトの種類は大きく4つに分けられます。対向式レイアウト、同向式(スクール式)レイアウト、ブース型レイアウト、背面対向式レイアウトです。
・対向式レイアウト
いわゆる「島型」のレイアウトで、事務職では一般的に広く採用されているレイアウトです。管理部や営業部など、多くの部署に向いています。また、対向式と似ている「島型」のレイアウトではありますが、個人のデスクを固定しないフリーアドレス式レイアウトを採用する企業もあり、外出の多い部署に向いています。
・同向式(スクール式)レイアウト
銀行や秘書室など、来客に対応することや書類や伝票の流れを重視した部署で採用されることの多いレイアウトです。通路が多くなるため、スペース効率はあまりよくないという欠点があります。
・ブース型レイアウト
デスクの周囲をパーテーションなどで囲うため、デザインやプログラマーなど個人の作業に高い集中力を必要とする職種に最適なレイアウトです。ただし、デスクを仕切るためのパーテーションやパネルなどのコストがかかることや、オフィス自体の広さが必要になります。
・背面対向式レイアウト
お互いに背中を向けてデスクを配置し、デスクの前面にはパーテーションやパネルを配置し、個人の業務に集中しやすい上に、椅子ごと振り返ればチームの中でのコミュニケーションが取りやすいレイアウトです。チーム単位で業務を進めていく部署に向いています。背面対向式レイアウトはブース式レイアウトと同じく、パーテーションなどのコストやスペースを広く取る必要があります。
どのレイアウトを採用するかは、コンセプトを明確にすることで決定できます。
ゾーニングとは、オフィスの様々なゾーンを構成し、オフィス全体に割り振ることをいいます。ゾーニングは大きく3つに分けられます。
来客者のゾーン、来客者と社員が共有するゾーン、社員のみが立ち入るゾーンです。セキュリティの観点からもこの割り振りは大変重要であり、個人情報保護法に伴ったプライバシーマークや、ISO取得時にも重要になってきます。
まず、来客者のゾーンには受付、応接室や簡単なミーティングスペースを割り振ります。来客者と社員が共有するゾーンには応接室や会議室、ミーティングコーナーや喫茶室などを割り振り、社員のみが立ち入るゾーンでは、各部署の執務スペースや倉庫、サーバールームなどを割り振ります。また、部署間のやり取りが多く、隣接する必要があるかどうかなどもこのゾーニングの際に決めていきます。
ゾーニングには「機能スペース」という考え方があり、次のような割り振りができます。一般スペースには各部署の執務スペース、役員専用スペースには役員室や役員会議室を配置します(役員が一般スペースに席を置く場合は必要としない場合もあります)。業務支援スペースには受付や応接室、会議室の他に、コピー機やファックスなどの機器を設置します。情報管理スペースには文書管理をするための倉庫やサーバールームなどを割り振り、生活支援スペースには社員食堂や休憩室、給湯室や喫茶室などを配置します。そして見落としがちになるのが交通スペース、廊下や通路など動線の確保です。これらを考慮しながらゾーニングを考え、オフィスレイアウトに活かしていきましょう。
オフィスのコンセプトとゾーニングが決まったところで、執務スペースの適正面積とオフィスの廊下や通路の幅について考えていきましょう。
オフィスの適正面積は一人当たり2坪が最低限必要な面積といわれていますが、配置の仕方を工夫することで必ずしも2坪ではなくても快適なオフィスにすることは可能です。そのためには、座席のレイアウトを考える際に基準となる寸法を把握しておくことが大切です。
まず、デスクのサイズは縦700mm×幅1200mm、着席して作業するのに必要なスペースが約400mmとされ、後ろの通路に人一人が通れる幅が約800mmとされています。また、通路を人が待機してすれ違うことができる幅が1000mm以上、スムーズにすれ違うことができる幅は1350mm以上となります。これらを踏まえて、デスクでの充分な作業スペースを確保しながら、通路を通りやすく、コピー機などの機器の設置場所などの動線を確保し、会議室やミーティングスペースを配置し、来客者が多い場合は応接室を受付近くに配置するなどの詳細について決めていきます。
狭いスペースであってもレイアウトを工夫することで、効率よく一人当たりの面積を広くすることも可能になります。また、オフィスのレイアウトで重要なのは、空間の余白となるスペースです。この余白部分が狭いと、社員には狭く感じられ、余白が広いほど快適に感じられます。目安としてはオフィス全体の70%ほどが余白であると、社員の感じる快適さが高まります。
レイアウトを構成する際には、これらの情報を考慮してみてください。
このように、オフィスのレイアウトを考える上で大切なのは、いかに執務スペースから機器スペースや会議室などへの動線を確保していくかということです。これらをしっかりと考慮することで、万一の災害対策にもなります。動線を確保して避難しやすくし、災害時のリスクを最小限にすることができます。社員の作業効率、快適さとともに、安全であることも考慮してレイアウトを決めることが重要です。