事務所のデザインにおいて、備品の選定やレイアウトは、従業員のモチベーションに影響する大切な要素といえます。しかし、備品の購入にはお金がかかりますし、レイアウト変更も大規模なものになれば工事が必要です。今回は、比較的に簡単に取り入れることができる「色彩」を工夫した、事務所デザインの工夫の仕方をご紹介します。
まず、初めに理解しておかなくてはならないのが、色彩にはそれぞれ「影響力」があるということです。例えば、同じ気温の部屋であっても、壁が青色の部屋より、壁がオレンジの色の部屋の方が、人間は暖かく感じるようになっています。他にも、集中して作業する場合は青、リラックスして柔軟な発想を生み出すときは緑や黄など、周囲の色によって仕事の生産性まで変わってくるのです。また、天井に暗色系の色を配置するのと、床に暗色系の色を配置するのでは、天井に配置した方が、大幅に圧迫感を感じることでしょう。このように、私たちは色彩から様々な影響を無意識レベルで受け、モチベーションも左右されているのです。
例えば、事務所やミーティングルームにはどのような色彩のデザインが向いているでしょう。これは、そのミーティングの目的によって異なります。新規事業など、どんどんと新しい発想を出すことが求められるのならば、暖色系を用い、落ち着いて一つ一つ改善点を洗い出していくなら寒色系が向いています。このように、ミーティング一つとっても、目的応じて、望む結果が得られやすいような色彩を心がけるべきなのです。こうした小さな工夫が、働く従業員のモチベーションへ影響を及ぼしています。
事務所、受付など、部門別に色彩を工夫するのも、モチベーション向上に対して有効な方法です。事務所であれば、日中座りっぱなしでストレスが溜まりやすいため、リラックス効果のある黄系や緑系の色を使うとよいでしょう。また、受付の場合は、狭ければ寒色系を使って広く見せたり、逆に殺風景であれば暖色系を用いるなどの工夫もできるでしょう。さらには、営業部門にも色彩による工夫は必要です。出入りが多い場所であるため、気持ちの切り替えができ、落ち着きやすい寒色系が効果的と考えれます。
事務所の色彩は、デザインだけでなく、そこで働く従業員のモチベーションにも大きな影響を与えています。もし、予算などに限りがあり、そこまで大きなコストを割けない場合は、こうした小さな工夫から取り組んでみてはいかがでしょうか。