最近ではオフィスではなく在宅での勤務を行うリモートオフィスの考え方や、クラウドソーシングサービスを利用して自宅で仕事をするという方が増えてきました。そんな在宅勤務者やフリーランス、個人事業主の方達が一時的なオフィスとして使用しているのがコワーキングスペースです。そしてこのコワーキングスペースには、オフィスインテリアにも活用できそうな様々な仕掛けや魅力が備わっていましたのです。ここでは利用者の仕事を加速させる、コワーキングスペースのインテリアの秘密を解説していきます。
今ではインターネットを始めとした情報通信技術の発達のおかげで、フリーランス的にオフィスではなく自宅やカフェなどで仕事をこなす社会人の方も増えてきました。そんな彼らの仕事場の受け皿として定着しているのが「コワーキングスペース」です。コワーキングスペースが誕生したのは2006年のシリコンバレー。まさに起業家の聖地とも呼ばれる場所で生まれたこのサービスは、2010年頃に日本にも上陸します。当初は単なる貸し会議室程度の認識でしかなかったコワーキングスペースも、今では全国各地にオフィスがオープンし、テレビや雑誌といったメディアでも取り上げられるようになりました。
コワーキングスペースですが、単なる仕事用の場所の貸し出しにとどまらない、様々なサービスが用意されています。PC作業用の無線LANや電源はもちろんのこと、コピー機やプロジェクターなどちょっとした会議や資料作成には欠かせない設備が用意されています。また、オフィスによってはカフェスペースなども併設されているので、長時間の使用の場合でもストレスを感じさせないのも魅力です。
そして、コワーキングスペースの多くは利用者増加のため、そして利用者が快適な仕事時間を送ることができるように、施設内のインテリアにちょっとした工夫もしているのです。ここでは、人気のコワーキングスペースに共通するある2つの魅力を紹介していきます。そのヒントは「横のつながり」と「遊び心」です。
コワーキングスペースあるいはレンタルオフィスというと、皆さんはどんな場所を思い浮かべるでしょうか?多くの方が想像するのは、図書館に用意されている読書ブースのように、それぞれのデスクが仕切られている個室的な空間かもしれません。確かにコワーキングスペースには、そういった個人用のブースを用意している場所も少なくありません。しかし、その大半はまるでカフェのようにスペース全体が仕切りなく広がっているような状態なのです。そして、デスクも職場にあるような横並びのデスクから、みんなで食事をするようなテーブル、あるいはゆったりと複数人が座れるソファといったように、様々な種類の仕事スペースが用意されています。
こうした自由度の高い空間があると、2つの良い効果が得られます。1つは「ワンフロアで気分転換ができる」という点です。当然のことですが、コワーキングスペースには利用者ごとにデスクが指定されているわけではなく、空いているスペースを使用するというのがほとんどです。ですので、例えば最初はデスクでの作業に没頭していたけれど、少し疲れたのでソファ席などに移動して資料の閲覧やコーヒーブレイクを取るといった行動が取れます。これらをストレスなく、1つの空間で行えるわけです。
もう1つの効果は、「横のつながりが生まれやすい」という点です。コワーキングスペースの利用者というのは、大抵普段は1人での仕事をしているビジネスマンです。しかし、開放的なコワーキングスペースは、意外にも横にいる人と会話や打ち合わせといったやり取りが非常にしやすい空間作りがなされています。実際とあるビジネス番組で地方にある一軒家型のコワーキングスペースが取材されましたが、そこでは積極的に利用者同士がお互いのビジネスについて情報交換をしていました。こうした環境が職場内でも作れれば、例えば営業部と企画部が、日常的にコミュニケーションを取れるといったメリットが生まるかもしれません。
都心を中心に全国に展開されているコワーキングスペースは、非常にシンプルな間取りのものからハイセンスな空間を用意しているところまで、非常にバリエーション豊かです。その中で利用者から高い支持を集めているスペースというのは、充実した設備以外にもう1つ、ちょっと以外な特徴があります。それは、「インテリアに遊び心」が感じられるというのものです。
画像に掲載したのは大阪府内にあるとあるコワーキングスペースなのですが、なんと床部分が人工芝になっているのです。都心ではなかなかお目にすることのない緑溢れる空間で仕事をするのは、高い清涼感を得られるとは思いませんか?こんな場所で仕事をするのだったら、思わず靴も靴下も脱いで、裸足で作業をしたくなってしまいます。このほかにも、例えばテラスに作業スペースを設けている場所や、それだけじゃ足りないとなんと屋上にテントを作ってしまう場所、そして室内の作業用テーブルが日本列島の形をしているなど、その随所にちょっとしたユーモアが取り入れられている場所が目立ちます。
こうしたコワーキングスペースでの遊び心というのは、何も単なるジョーク気分でデザインされているわけではありません。普段の職場ではなかなか目にしないユニークなインテリアは、単純に気分をリフレッシュすることができます。また、例えばサッカー関係のイベントを企画する企業があったとして、その職場の床が人工芝だとします。その様子を見て扱っている企画への愛着がわいたり、来訪される取引先企業様にもかなりのインパクトを与えられたりしそうです。
会社の職場とコワーキングスペースというのは、普段はなかなか接点のない間柄にあります。しかしどちらも、その空間の中で仕事をするという点においては全く同じ存在でもあります。そういう意味では、コワーキングスペースの個性あふれるインテリアには、職場の雰囲気を変えるヒントが隠されているかもしれません。