環境省が推進するクールビズという用語が浸透してから久しいですが、そもそもこのクールビズにはどんな意味があるのでしょうか?夏場の冷房の温度設定を下げすぎない代わりに、役所勤めの人なども半袖などのカジュアルなスタイルでの執務を許される……といったイメージですが、実際のクールビズとはどんなことで何を目的としているのか少し掘り下げてみましょう。
冷房をつけた状態でも室温28℃で快適に過ごすライフスタイルを「クールビズ」と名付けたのは2005年、小泉総理大臣の時代からです。夏場の軽装による冷房の節約をうたった環境省のキャンペーンで、一般公募された中から選ばれた造語です。それから6月1日から9月30日までなど、その年の気温などによって毎年実施期間を少しずつ変えながら取り組みが行われています。そして2017年は5月1日から10月31日までという発表がありました。
クールビズは地球温暖化対策のひとつとして過度な冷房に頼らずに色々な工夫をして快適に夏を過ごそう、という取り組みなのですが、一般的に知られる取り組みは冷房をつけた状態で室温が28℃になるようにすることや、執務中の軽装などがあります。冷房を1℃高くすることはエネルギー削減と二酸化炭素削減につながります。
環境省ではクールビズの成果をアンケートをもとにデータにまとめています。それによるとクールビズの認知度は80%以上と高く、クールビズ開始以来徐々に企業が冷房を高く設定する割合も上がり、CO2の排出量も削減されてきています。近年ではクールビズからさらに踏み込んだ節電の取り組みが生まれ「クールシェア」と銘打って国民1人あたりのエアコン使用量を見直すために、1部屋に集まったり、木陰や水辺の自然の涼しい所で過ごすことや涼しい公共施設に集まることなどを広めていく活動が進められています。
室温を28℃に設定するというと、かなり暑いと感じる方がほとんどだと思いますが、あくまでもこの温度設定は目安であり、熱中症や体調不良を起こさないように無理のない範囲でかまわないとのことです。クールビズは毎年キャンペーンとして行われてはいますが、あくまでも任意の行動で、強制的なものではありません。企業や家庭でできるだけCO2を排出しないように地球環境を考慮して暑い夏を冷房の力にできるだけ頼らずに乗り切ろう!という試みです。
ちなみにクールビズを実施したからといって何か特典のようなものはあるのでしょうか?
2016年度のクールビズではクールビズのロゴマークのデータを取得し、ポスターなどを貼って活動をアピールすることができる、といったものでした。
オフィスや企業で実践できるクールビズをいくつかご紹介しましょう。
28℃で暑い場合は扇風機、うちわや扇子などを使ったり、ブラインドや断熱シートで室温の上昇を防ぐ方法があります。また、多くの企業が取り入れている勤務時間を朝方シフトに変えるという試みは、残業を減らしたり夜の照明の電力を節電する効果も期待できます。さらに、CO2の削減、夏の節電や暑さ対策として「グリーンカーテン」を実施ししている企業も多くなってきており、ゴーヤや朝顔などのつる性の植物をカーテン状に植えることによって涼を得るというエコな活動が広がっています。
オフィスで働く人々にとってはクールビズの時期にどのような服装をすればいいのかが気になります。カジュアルさにも限度がありますし、どのようなものがいいのか環境省の服装のガイドラインを参考にしてみましょう。
基本的にはノーネクタイ、ノージャケット、半袖シャツといった服装での勤務が可能です。パンツもシャツに合わせ、この時期はチノパンも良しとしている企業も少なくありません。また、さらに暑さが厳しくなってくる6月1日からの期間を「スーパークールビズ」といって、この時期はポロシャツの着用も可能になることも多いようです。
全国の百貨店では冷房温度緩和の取り組みと同時に、暑い夏を快適に過ごすことができる清潔感と清涼感、そしてファッション性のあるスタイルを提案し、大手スーツメーカーなどもこのクールビズに伴ってキャンペーンを行っています。
例えば消臭肌着や通気性が良くアイロンも不要のシャツ、自宅で簡単に洗えるスーツなどのほかに、素材はコットンよりもややきちんと感の出るチノパンやシックなポロシャツなどを見つけることができるでしょう。ポロシャツといっても衿台ありやボタンダウンなどでスポーツカジュアルのものとはデザインが違います。ボタンダウンのポロシャツなどはネクタイをつけられるのでよりシックな清潔感のあるオフィススタイルが作れます。ネクタイは普段使っているシルクのネクタイよりもシンプルなニットタイなどが合わせやすいでしょう。
暑さ対策だけでなくオフィスマナーもきちんとクリアした最適な服装を選びましょう。
熱を発するパソコンなど、多くのOA機器を使うオフィスの中ではエアコン設定を高めにするとかなり暑く感じると思います。室温28℃でも快適に執務をするには、様々な工夫が必要となります。
まずは上記で紹介したようにブラインドや断熱シートで日差しによる室温の上昇を抑えます。あまり使用しない機器は電源を切っておくと節電にもつながります。照明はLEDに変えた方が省エネになり、熱も抑えられます。エアコンの当たる場所・当たらない場所によって感じる温度差は大きいので、そのムラを緩和するためファンをつけるのも効果的です。各席ではUSBで使える小型の卓上扇風機などを使うのもおすすめです。パソコンから出る熱を抑えるために冷却シートを敷く方法もあります。
電力をなるべく使わない、というエコな暑さ対策としては首元を涼しくしてくれる冷感タオルや保冷材を入れられるバンダナ、冷却効果のあるスプレーなど様々な冷却グッズが市販されています。クールビズの季節には百貨店やスーパーなどでもこれらのグッズが多数並びますので、次々と開発される新しい冷却グッズを試してみるのもおすすめです。首元を冷やすと体温が下がり気持ち良く仕事にも集中できます。長時間座って仕事をしていると夏場は特に汗をかきやすいオフィスの椅子には、い草の座布団や冷却ジェルマット、空調クッションを敷くと涼しさが増します。
ますます暑くなってくるこれからの季節に備えて、できるだけエコで環境に配慮した暑さ対策が求められています。クールビズファッションもどんどん進化して、より快適にファッショナブルになってきていますので、あなたもどんなファッション、冷感グッズがあるのかチェックしてみてはいかがですか?