今まで使ってきたオフィスが手狭になってきたり、人員を増やす予定が出てくるなど、移転の理由は様々ですが、オフィスの移転は会社にとっては一大イベントの一つです。移転の成功・失敗の如何によっては、会社の業績に影響を与えかねません。しかし、どこから手をつけたらいいのか、どう進めていけばいいのか、悩みはつきものです。そこで、スムーズに移転を成功させるために重要なことをご紹介します。
まず、何故オフィスを移転する必要があるのか、目的を明確にしておくことが一番重要です。ここが明確になっていないと、物件を探したり、オフィスレイアウトを考える際にも曖昧になってしまい、移転しても移転前の状況と変わらない、あるいは環境が悪くなったといった失敗を招くリスクが高まります。現状のオフィスの問題点が何なのか、人員増加や事業拡大などによる立地条件の変化、よりコストを削減するためなど、目的や理由を明確にしておけば新しいオフィスに求めるものがおのずと決まってきます。
まずは現状のオフィスの問題点を徹底して洗い出したリストを作成しておくと、後で優先順位がつけやすくなります。リストアップが済み優先順位がついたところで、プロジェクトチームを立ち上げます。担当を割り振っておくことで作業の効率が良くなり、移転の際に必要な手続きなどの見落としを防ぐことができます。
オフィスの移転の目的が明確になり、リストを作成したら、最初に旧オフィスの契約内容を確認しましょう。現状のオフィスの契約を解除することを解約予告といいます。一般的な解約予告の期間は6ヶ月前が多いのですが、契約内容をきちんと把握することが必要です。
解約希望日までの期間が6ヶ月前だとしたら、解約予告から6ヶ月後に移転希望日を設定します。契約期間内の解約は違約金が発生する場合がありますし、また、契約期間内に引越しをすると解約日までは賃料を支払わなくてはいけないため、新オフィスの賃料支払いと重複する可能性がありますので注意が必要です。
同時に旧オフィスの原状回復がどの程度必要になるか、忘れずに確認しておきましょう。
移転希望日を確定したら、移転のためのスケジュールを事前に立てておくことも重要です。そして、新しい物件探しを始めます。事前にリストアップした問題点を解決するために、優先したい条件を満たす物件を数ヶ所は内見して、新オフィスを契約しましょう。ビルの設備チェックも忘れずにしてください。
最低限確認しておきたい項目として、トイレや給湯室、エレベーターなどの設備、電気容量やガス、水道、電話回線やインターネットなどの通信設備、空調や照明の連続使用時間等のビルのメンテナンスや清掃などの管理方法や頻度、ビルの使用可能時間、駐車場の有無、費用、防犯と防災システムなどが挙げられます。
また、競合他社が同じビルに入っていないかについても確認しておきたいところです。
新オフィスの契約をしたら、移転全体のスケジュールを再確認しましょう。いつ何をするのかを明確にしておくことで、抜け漏れを防ぐことができます。
5ヶ月前までには、新オフィスのレイアウト設計を依頼する業者の選定、原状回復工事の業者の選定をします。新オフィスのレイアウト設計業者は、納得がいくまで依頼内容を聞いてくれる業者を選ぶことがポイントです。営業、デザイナー、施工管理、移転完了までの全工程をしっかり管理できるかどうか、また、移転後の追加工事が発生した場合についても対応可能かどうかなどについても選定の条件にしておくと安心です。
業者を決定したら、最初にリストアップした旧オフィスの問題点や新オフィスに求める条件、企業理念やイメージなどを出来るだけ具体的に伝えましょう。什器の選定も新オフィスのレイアウトに合わせて行います。
4ヶ月前には、引越し業者の選定、発注をして具体的な移転スケジュールを決めます。また、原状回復工事の打ち合わせも始めます。
3~2ヶ月前には、新オフィスの内装工事を行い、什器を搬入します。この頃には引っ越し業者と打ち合わせをして、移転までの綿密なスケジュールを立てます。内装工事業者とも確認しながら進めていきましょう。
オフィス移転の1ヶ月前までには、移転の挨拶状の送付や、名刺や封筒などの印刷物の差し替え、ホームページの内容変更と移転のお知らせを載せるなど、移転後すぐに業務を開始できるように準備をしておく必要があります。
また、OA機器のリース会社やセキュリティ業者などへの連絡もしておきましょう。引越しに関する社内の具体的な作業担当を割り振っておくと引越しがスムーズに行えます。何をどこまでやったかをリストアップして確認しながら、新オフィスに搬入するもの、廃棄するものを選別します。事前に引越し業者と打ち合わせた移転スケジュールに沿って準備を進めていきます。
忘れてはならない事は、オフィスの移転には関係官庁への情報変更の手続きが必要だということです。
届け出が必要な官庁
・法務局
・税務署
・都道府県の税事務所
・社会保険事務所
・公共職業安定所
・労働基準監督所
・消防署
・警察署
(提出書類は自治体によって異なりますので、それぞれ事前に確認するようにしましょう。)
移転後には、原状回復工事が必要です。旧オフィスの解約の際に、原状回復がどの程度求められるか、工事業者を選定できるかどうかなどについても確認しておきましょう。契約内容によっては業者を選択できない場合もあります。契約終了までに工事が終わるように、スケジュールに沿って開始してください。原状回復工事が終わったら、状況確認をして鍵を返却します。原状回復までが移転作業であると考えてください。
移転についての必要事項についてご説明してきました。オフィスの移転は個人宅の移転とは違い、様々な作業と複数の業者とのやり取りが発生します。移転の目的を明確にして効率よくスムーズに移転し、新しいオフィスがより良い環境となるようにしっかりと準備することが大変重要です。