従業員が仕事を行う上でモチベーションが上がりやすくなるように、オフィス内のレイアウトなどのデザインを考え出すのは一見関連性が薄いように感じるかもしれませんが、実は会社内において一つの重要事項となり得ます。空間をどのように作り出すか、机などの配置をどのようにするか、さらにはオフィスの配色まで、細かな気配りが巡り巡って従業員1人1人の生産性の向上、ひいては会社の利益にもつながります。今回は、どのようなオフィスデザインが良いのかを様々な視点から考えていきます。
まずは、そもそも理想的なオフィスデザインを考える必要性について考察していきましょう。内勤業務で、ほぼ一日中オフィス内で仕事をする人にとって、周りの環境が仕事の効率に与える影響は少なくありません。
例えば隣の人との隙間が全くないほどきっちりと机が詰まっていたらどうでしょうか。密度が濃いので、仕事をしながら息苦しくストレスを感じる事があるかもしれません。室内の蛍光灯が古くなり、点滅していたら気になって仕事に集中できない可能性も高いです。仕事の合間にリラックスできる場として貴重なリフレッシュスペースが少し遠い所にあったり、狭くてすぐに人で一杯になって思うように利用できないケースがあったり、ゴミなどで散らかったりしていたらゆっくりと落ち着くこともできないでしょう。以上のような要素から、オフィスの環境が悪いと仕事以外で思わぬストレスをかかえる元となり、結果的に仕事の効率を下げてしまう恐れがあるのです。
それでは、どのような意図を持ってオフィスデザインを考えた方が良いのでしょうか。まずは、コンセプトを明らかにしておくことです。わが社はこうしたオフィスデザインにする、というコンセプトが従業員に対して周知、共有され、さらに可視化されていれば、仕事のモチベーションアップにもつながります。さらに企業側としても、目指すべきオフィスデザインをあらかじめはっきりさせておくことで、実際に着手した際にデザイナー側との交渉もスムーズに進み、コストがかからない上に理想の空間が出来上がるのです。
多くの人がオフィスという一つの空間で働くとき、あまりにも距離感が近いと息苦しさを感じる場合があります。それが人によってはストレスを感じる原因になるかもしれません。適度なスペースがあれば、快適な業務にもつながります。
仕事は、当然のことながら人と人とのコミュニケーションによって成り立つものなので、お互いの顔が見える位置にいなければ報告、連絡、相談などもうまくいかなくなります。「つかず離れず」なスペースを作り出し、仕事をスムーズに行えるようなレイアウトを目指したいところです。
打ち合わせを重視した「対向式レイアウト」、お互いの顔が見えず、仕事に集中できる「スクール型レイアウト」、プライバシーが確保できる「背面式レイアウト」などがありますが、これらはそれぞれのケースにおいてメリット、デメリットが考えられます。オフィス内の広さ、従業員の人数などの事情に合わせて柔軟に対応し、一人一人が快適に仕事ができるようなレイアウトを選択しましょう。それが結果的にオフィス内の風通しを良くし、重要な情報の共有や、全体的な仕事の効率化にもつながります。
もちろん、社内だけでは充分な目的を達成できない場合もあります。そんな時は第三者、すなわちオフィスデザインを手掛けている専門業者などに相談するのもひとつの手段と言えるでしょう。プロの目線から最適なオフィスデザインを考え出してくれる可能性も高いです。
現代の企業においては、FAX機などの通信手段が欠かせません。企業同士で連絡を密に行うのはもちろん、同じ企業内でも本社と支社でやりとりを行う時には必須のアイテムとなります。また、スキャナーとFAX、コピーが一体となった複合機もあり、社内でも活用される場面が多くなっています。
しかし近年、技術革新により小型化が進んではいるものの、まだまだオフィス内ではかなりスペースを取る機械でもあります。邪魔にならないよう隅に追いやられて、気が付けば書類の山に埋もれている、などという事も少なくありません。
この複合機も配置の仕方によっては、従業員の仕事の効率化につながります。例えばオフィスの中央に置いておけば、複合機を中心に周りの従業員の顔が良く見え、仕事上の円滑なコミュニケーションにもつながります。書類がたまっていくのも目に見えて分かるようになるので、すぐに片づける事によってたくさんの書類でオフィス内が乱雑になってしまうのを防ぐことができ、書類の整理後スキャナーでデータを取り込んでおけば、重要な要件を見落としてしまうミスが紙の状態の時よりも少なくなります。
複合機をオフィスの隅に置いておくことで発生し得る色々なデメリットが、配置転換をすることにより解消され、さらに仕事の効率化につながるようなメリットを発生させることができるのです。
従業員が快適な環境化で仕事を行うためには、オフィス内の「色」も重要となります。色は人の視覚に訴えかけ、様々な精神的効果をもたらします。一見些細なことに思えるかもしれませんが、仕事に活用できる可能性があるのです。
例えば、赤を基調としたオフィス内はどうでしょうか。赤は「活力、興奮、野望」といった、エネルギッシュなイメージがあります。それを適切に配色することで従業員の仕事に対するモチベーションも自然と高まることになります。
青は「安息、静けさ、落ち着き」といったイメージとなります。仕事に対する精神的な高ぶりを抑え、集中力増加につながります。まさにオフィス内で働く従業員にとって必須の色となります。
最後に緑もオフィス内には欠かせません。まさに自然色なので安らぎやくつろぎを与えてくれます。ストレートに観葉植物を置くのも一つの手段ですが、床や壁を緑に染めることによって安心感を与え、落ち着いて仕事に取り組むことができるでしょう。
以上にあげたような色ですが、もちろん極端に配色することはマイナス要素にもなりえます。オフィス内が赤一色で染まっていたとしたら落ち着いて仕事などできません。適度にバランス良く配色する事で、従業員の仕事の効率化につながります。
以上見てきたように、内勤で働く従業員の作業効率を上昇させるためには、オフィス内のデザインも重要な要素となります。席や通信機の配置、さらには配色まで、様々な視点から細やかなデザインを行う事で、仕事へのモチベーションアップにつながるのです。