パーテーションを柔軟に活用することで、オフィスの限られた空間を有効にデザインすることができます。
では、オフィス空間をより上手く活用するためにはどのようにパーテーションを使用すればいいのでしょうか。そのためにはまずパーテーションの役割と特徴を理解することが必要です。パーテーションを効率よく使用することが理想のオフィス空間を実現させることにつながります。
従来、パーテーションの設置を考えるオフィスのほとんどがその機能性を重視したものでした。しかし、最近では企業の生産性や創造性の向上を視野に入れ、社員同士のコミュニケーションの取り方や働きやすさなどを考慮したものが増えています。また、オフィスのデザイン性という視点からパーテーションを選ぶ企業も珍しくありません。では、オフィスにとってパーテーションはどのようなメリットをもたらすのでしょう。
実はパーテーションを全く使用せず、社員がひとつの部屋の中で仕事をしているオープンオフィスを採用している企業は少なくありません。社員同士のコミュニケーションの取りやすさはもちろん、オフィスの設備投資が安上がりなため、人気を集めています。
しかし、オープンオフィスで働く従業員の満足度は低いという研究結果があります。プライバシーと注意力の欠如がその理由です。個人の作業スペースがないため、周りの声や音、人の動きが気になり、仕事から周囲へと気が散ってしまうのです。また、常に周囲の社員と同じ空間にいるため、気持ち的にプライバシーを守ることができず、内向的な人がより内向的になっていくという指摘もあります。
近年、パーテーションという観点に限らず、オフィスデザインを考慮する企業が増えています。
その理由としては、社内環境や社員のモチベーションなどが上がると考えられているためです。毎日仕事をするオフィスがより働きやすい環境になるよう、社内環境の見直しをすることが大切です。その中でもパーテーションはさまざまなバリエーションを持ち、ものによっては手軽にオフィス空間を変更できるため注目されています。
さまざまなバリエーションと用途を持つパーテーションにはどのような役割と特徴があるのでしょうか。
まずパーテーションには大きく分けて3種類あります。スチールパーテーション・アルミパーテーション・造作壁です。それぞれ、遮音性・不燃性・工期・コスト・レイアウトの自由度などの特徴を持っているため、オフィスでなぜパーテーションが必要なのか、どのようにパーテーションを使用するのかによってパーテーションを選択することが一般的です。
パーテーションの主な役割として
・スペースごとのゾーニング
・セキュリティの強化
・デザイン性
・目隠し・イベントスペースなどの作成
があげられます。
パーテーションを必要とするオフィスのほとんどが「仕事に集中できる環境」、「しっかりとしたミーティングスペース」などを求めています。しかし、ただパーテーションを使って空間を仕切ればいいというものではなく、オフィスのニーズや空間に応じた働きやレイアウトが求められているのです。
例えば、ミーティングスペースをつくる場合です。床から天井まで完全に空間を仕切るのか、また、パーテーションの素材はミーティングスペースが全く見えないものなのか、ガラスのように中が見えるものを使用するのかによってオフィスの雰囲気は大きく変わります。同じ広さの空間に同じようなミーティングスペースをつくる場合でもパーテーションの大きさや素材によって、オフィスの個性を大きく変化させることができます。
理想とされるオフィス空間は、社員の働きやすさや生産性・アイデアの向上、オフィス全体の雰囲気が重要だと考えます。そんな理想のオフィスを目指すために、よりうまくパーテーションを使用することが必要です。
最近の企業では、オフィス空間に癒しを求め、観葉植物をパーテーションとして取り入れる傾向があります。観葉植物を目にすることで脳をリラックスさせ、仕事へのアイデアや社員同士のコミュニケーションに影響を与えていると考えられています。また、機械的なオフィス空間の中に観葉植物を置くことでシンプルな空間の中に高いデザイン性を持たせることができ、おしゃれなオフィス空間の要素としても活躍しています。
パーテーションの必要性は、企業の考え方やあり方によってさまざまです。そのため、パーテーションの必要・不要は一概には言えず、仕事の質の向上・低下に必ずパーテーションが関わっているとも言い切れません。
しかし、社員が働く中で、個人が仕事に集中できるスペースと周囲とコミュニケーションを取れるスペースのメリハリは必要なのかもしれません。オープンオフィスでは、社員の仕事への集中力の低下が問題視されていますが、個人の作業スペースのみ重視した結果、社員同士の連絡などの情報伝達が上手くいかなかったケースもあります。オフィス空間は、その空間を利用する社員を含めてデザインすることが必要です。さまざまな空間をつくることで社員がどのような働きをするのか、どのように空間を利用するのかを考慮しつつ、パーテーションを使用するのが理想と考えます。
パーテーションはさまざまなオフィス空間をつくることができます。その使い方は企業の考え方やオフィスデザインによって異なります。同じパーテーションを使用しても全く同じオフィス空間はつくることができません。なぜなら、理想のオフィスデザインは、業種や企業によって異なるからです。
オフィス空間において、何を重視し、何を求めるのかによってオフィスの形がつくられていきます。その可能性を広げるものとしてパーテーションは大きな役割を果たします。オフィスで働く社員が働きやすく、仕事に対して向き合えるようなオフィス空間を目指してパーテーションを活用していきましょう。