企業や従業員にとって理想の事務所とはどのようなものなのでしょうか。もしかすると、企業にとっての理想と従業員にとっての理想は異なるかもしれません。
では、オフィスのデザインを考えるときに、優先するものとはなんでしょうか。オフィスにかかる設備投資・高いデザイン性・仕事の質・従業員のモチベーションなどさまざまな観点からオフィスはつくられています。
理想の事務所にするためのオフィスのデザインコンセプトを考えてみましょう。
最近は、ただ仕事をするだけの事務所ではなく、過ごしやすさや働きやすさ、またデザイン性を重視したものが増えています。事務所で働く従業員だけでなく、企業に憧れを持つ学生や就活生の中にも、「このオフィスで働きたい」という意思を持って面接に挑戦する人もいるほどです。事務所がただの仕事場という考えは薄れてきています。では、どのような事務所が理想の事務所と言えるのでしょうか。
まず、オフィスのデザインコンセプトを考えてみましょう。オフィスをつくるには、つくりたいオフィスのデザインをイメージしながら、業者にコンセプトを伝えなければなりません。実際にオフィスをデザインする際はデザイナーに依頼する場合がほとんどですが、企業側もある程度イメージやテイストを決めておきます。企業によってコンセプトの決め方はそれぞれです。
例えば、オフィスへの来客の有無です。お客様を頻繁に招く事務所をつくる場合は、常にお客様を招くことができるデザインでなければなりません。従業員の作業スペースの確保だけでなく、お客様を案内できるスペースやそのスペースをある程度遮断できるパーテーションなどを用いることで空間をつくっていきます。
企業の理想だけでなく、その場で働く従業員の意見も大切にしたいですが、あまり求めすぎると統一感のないデザインとなってしまう場合もあります。デザインコンセプトを考える際は、何を重視した事務所にしたいのかイメージし、言葉だけでなく参考にしたいオフィスの写真などを使用することで耳だけでなく、目でもデザインコンセプトを伝えることができます。
オフィスデザインを考慮することで多くの効果が現れると考えられています。例えば、オフィスに企業らしさを出すことができる点、従業員の満足度、従業員同士のコミュニケーションの活発化などです。デザインを決める際にいくつかの点を考慮することで企業にとっての大きなメリットを得ることができるのです。
事務所をつくるために考えられるデザインコンセプトで何を重視するかは企業によってさまざまです。では、理想の事務所をつくるためのオフィスデザインではどこに着目すればいいのでしょうか。
ほとんどの企業がオフィスデザインで取り入れるのが、企業カルチャーです。オフィスは企業そのものを表していると言っても過言ではありません。そのため、事務所に企業らしさを求めるのは当然です。
例えば、企業がイメージカラーを持っている場合、オフィスのコンセプトの中にその色を取り入れることがよくあります。また、業種によっては色だけでなく、オフィスのデスクや使用する備品などにもこだわりを持つ場合もあります。デザインコンセプトでは、そのような企業の個性だけが先走るのではなく、統一感を持った事務所になるように考慮することが必要です。
また、近年ではオフィスデザインに対する関心が高まってきています。オフィスが、仕事だけをするための職場から、通いたくなる働きやすい環境へとニーズが変化していることが理由のひとつと考えられます。そのため、オフィスデザインにおいてトレンドが存在しています。例えば、パーテーションがないオープンオフィス、リフレッシュスペースや遊び心を重視したデザインが人気を高めています。
デザインコンセプトの多くは企業がイメージし、デザイナーなどの手によって実現されていきます。では、企業と従業員の理想の事務所は同じなのでしょうか。
オフィスは企業そのものと言えるほど、企業の個性を持つものです。もちろん、従業員は企業理念や社風に魅力を感じ、共感して企業に勤めています。オフィス自体が理想とかけ離れることは少ないと考えられますが、理想の事務所だからと言って必ずしも働きやすいオフィスだとは言い切れません。そのため、オフィスをイチからつくるのではなく、リノベーションを行う企業が増えています。社内での問題点を明確化することで、その問題点を改善するためにオフィスデザインを考えます。
例えば、オフィスの広さを変えずにメリハリのあるオフィスにしたいというコンセプトでリノベーションを行う場合です。オフィスの広さは限られているため、その中でできる改善をしなければなりません。そのときに着目したいのが使用されているデスクです。オフィスの広さとデスクや備品のバランスが合っているかを考えます。デスクひとつを変えるだけで圧迫感が解消されることも少なくありません。また、デスクの置き方や向きなどを変えることで、通路やスペースをつくりオフィス内の動きやすさやコミュニケーションの取り方を変えることができます。
オフィスは、企業の顔であると同時に従業員が1日の大半を過ごす場所です。企業らしさと従業員の働く環境を一緒につくっていけるオフィスデザインが、理想のオフィスにつながっているのではないでしょうか。
オフィスデザインは、企業で働く従業員の働きやすさや仕事に対するモチベーションを左右すると言っても過言ではありません。高いデザイン性だけを求めた事務所、理想やこだわりだけを追求した事務所は本当の理想の事務所ではない場合もあります。
企業にとって理想である事務所は、従業員にとっても理想の事務所であることが必要です。そのためには、働く環境を十分に考慮したオフィスデザイン、デザインコンセプトが不可欠です。それぞれの業種や企業の特色に合わせた理想のデザインコンセプトを考えましょう。
