昔から「オフィスの第一印象はエントランスで決まる」と言われていますが、実は会社の印象を左右するポイントはエントランスだけではないのです。そのポイントは、「床」です。
オフィスの床と言えば、グレーのタイルカーペットが主流でした。蛍光灯とのバランス、ゴミや紙くずが目立ちにくいなどの理由から使用する企業が多かったと言われています。しかし、最近のオフィスはそれぞれの企業が個性を持ち、蛍光灯ではない照明も多く、床に使われる素材の種類も豊富になりました。
では、床はどのようにオフィスの印象を左右するのでしょうか。
オフィスデザインを考えるうえで、色はとても重要です。その中でも壁や天井、床の色をうまく配色することで快適なオフィスを実現させることができます。色彩が人に与える印象には、体感温度・集中力・活発さ・時間・好みなどがあります。そのため、企業や職種などに合わせて色のレイアウトを考える企業が多くなっています。
オフィスのデザインをするときは、先に色のレイアウトを決めると素材を決定しやすくなります。特に床と天井は部屋に対する印象を大きく変えるため、色味を十分考慮したいポイントです。オフィスに開放感を増やすためには、床を軽い色味にするのがおすすめです。
例えば、ダークグレーの床は照明の光を反射せず、暗い印象を持ってしまいます。その床をナチュラルウッドにリノベーションすることで、窓から入る太陽光や照明の光を反射し、オフィス全体を明るくすることができます。
オフィスの床は、色味などの見た目の印象だけでなく、社員やお客様の歩きやすさや足音の反響なども重要です。そのため、床材の種類もしっかりとした考慮が必要です。
オフィス内の音環境問題が重視される現在では、意外と気になる音として、ヒールの音をはじめとする足音が挙げられています。オフィスの印象は見た目だけでなく、使いやすさも大切です。そのため、床は色味の印象だけでなく、足音や歩きやすさを考慮したものを使用することをおすすめします。
最近のオフィスは、パーテーションを使用しないオープンオフィスが多くなっています。そのため、オフィス内に隔たりがなく開放感がありますが、フロアにメリハリがない場合があります。そんなオフィスに変化を与えるのが、床材を1つではなく複数用いる方法です。
例えば、エントランスと廊下、ミーティングスペースなど、それぞれ床材を変えることでオフィス全体の印象が大きく変わります。今あるオフィスの雰囲気を変えたいという場合には、フロアカーペットの貼り方で変化を出すのがおすすめです。1色ではなく複数のフロアカーペットを組み合わせれば個性あふれる床をつくることもできます。
オフィスに使われる床材は主に3種類です。それは、カーペットタイプ・ビニルタイプ・天然素材タイプです。カーペットタイプは部分的な取り外しが可能で、組み合わせて使用できるのでデザインがしやすい床材です。また、ビニルタイプは耐摩耗性に優れ、滑りにくいためオフィス内はもちろん、水回りにも便利な床材です。そして、天然素材タイプは抗菌作用があり、環境にも優しい素材です。このように床材によって特徴や注意点などがあるため、オフィスに合わせて活用することがオフィスデザインには大切です。
また、オフィスの床で問題視されるのが配線コードです。いくら床材にこだわったオフィスでも床に這わせたコードがあるだけで印象が悪くなってしまいます。最近は床を二重構造にしてコードを床下に隠せるOAフロアも人気ですが、導入費用がかかるため、さまざまなアイテムを使用してコードをまとめる企業も多くなっています。どちらにしても入り組んだ配線をむき出しにした床は歩きにくく印象が悪いため、工夫が必要です。
オフィスデザインは、既存のオフィスをリノベーションする場合と新規開設や移転のため一からつくる場合があります。実際に床を施工するだけでも、デザイナーや内装業者が必要です。また、床の貼り直しの場合でも、床材代・施工費・既存の床材を剥がして処分する費用・下地の修復費などが考えられます。そのため、オフィスのデザインや完成図が決まっていない場合はデザインから内装工事まで行っている業者に依頼することがおすすめです。
例えば、株式会社MACオフィスでは、オフィス移転や事務所開設などを扱い、エントランス・パーテーション・オフィス内スペースなどのオフィスデザインを行っています。
オフィス移転の事例では、東京都にある化粧品卸業の賃貸オフィスが挙げられます。壁には商品の陳列スペースをつくり、企業が取り扱う化粧品を展示しています。ごちゃごちゃした印象はなく、シンプルながら清潔感溢れる印象が持てます。また、ウッド調の床材を使用し、照明に豊かな色味を持つハロゲンを用いることで高級感を与えます。さらに化粧室では、黒の石タイルを使用し、オフィスの高級感とは異なる高級感を与えています。オフィス内の空間ごとによって素材を変えることはメリハリにつながりますが、統一性を失うこともあります。しかし、ここでは素材を変えつつ、ラグジュアリーな雰囲気で統一されたオフィスがつくられています。
新規事務所開設事例では、大阪府の法律事務所を挙げます。法律事務所ということでお客様が訪問しやすく、安心できる事務所づくりのためにエントランスに力を入れています。柔らかい色彩を使用し、品格を表しながらも、空間を引き締めるアクセントや強さも重視してエントランスをデザインしたそうです。オフィスに開放感を持たせつつも、会議室や応接室などには間接照明を使用し、話しやすく親しみやすい空間をつくっています。
このように企業に合わせたオフィスデザインが必要です。
【株式会社 MACオフィス】
企業にとってイメージはとても大切です。そのため、企業の印象を左右するオフィスデザインは企業イメージそのものになります。
色彩や素材を考慮し、企業の職種やニーズに合わせてオフィスをつくりましょう。その中でもエントランスはオフィスの顔であり、床はオフィスの印象を大きく変える場所になります。オフィスの印象を変えたいときは床に着目してみましょう。同じオフィスでも印象を大きく変えることができるかもしれません。