社会人の多くが1日のほとんどを過ごすオフィスでは、働きやすさと心地よさを求められています。そんなオフィスをデザインするうえで欠かせないのが「ゾーニング」です。ゾーニングとは、空間を用途やテーマに分けて考えることを指します。
オフィスのレイアウト変更は、簡単に行えるものではありません。そのため、オフィスを考えるうえでゾーニングは十分に考慮しなければならないのです。
では、オフィスを効率よく使用するためにはどのようなゾーニングが必要なのでしょうか。ゾーニングの基礎知識についてまとめます。
オフィスデザインにおけるゾーニングとは、オフィス全体に必要なワークスペース、リフレッシュスペース、ミーティングスペースなどオフィスを構成するためのエリアをどう割り振るかを考える作業です。企業の職種やオフィスのニーズなどに合わせたスペース配分がとても重要になります。さらに、消防法や建築基準法なども考慮する必要があるため、デザイナーやオフィス管理士などとの打ち合わせが不可欠です。
オフィスの空間配分を考えてみると、大きく分けて下記の3つのゾーンにすることができます。
・受付や応接室などお客様が立ち入るゾーン
・部署や倉庫など従業員のみが使用するゾーン
・打ち合わせ室など従業員とお客様が共有するゾーン
目的の異なる3つのゾーンをどのように配置し、お客様と従業員にとって動きやすく快適な空間をつくることができるかはゾーニングにかかっています。
つまり、ゾーニングには、実際にオフィスで作業をすることを想定しながら、コミュニケーションの取り方や人や物との距離感、部署ごとの部門間の近接度をはかることが大切ということです。近接度とは、業務や作業の関連深さやコミュニケーションの密度を基本とした、近接の必要度合いを指します。例えば、ミーティングを頻繁に行う部署の近くに関連性や必要性の高い会議室やミーティングルームを配置するなど、仕事における効率性を考慮することが重要です。
オフィスをデザインするときは、まずオフィスのコンセプトやイメージを考えます。そしてオフィスで業務を行うために必要なスペースをリストアップしていきます。オフィスに必要なスペースとして、主にエントランススペースやワークスペース、ミーティングスペースやリフレッシュスペースなどが考えられます。そのリストアップしたスペースの割合をオフィスのニーズや必要性に応じ、配分していくのです。
例えば、オフィスを100と考え、ワークスペースを50とした場合、残り50を他のスペースで分けます。そのときワークスペースとの関連性や使用頻度などを考慮し、利用頻度の少ないスペースを小さく配分するなど動線を考えながらゾーニングしていきます。動線とは、建物の間取りなどを考えるうえで重要な問題で、建物内で人が自然に動くときに通ると考えられる経路を線で表すことです。つまり、つくられるオフィスデザイン内で従業員やお客様がどのように動けるかを考え、快適さや安全性を考慮するために重要なポイントになります。
ゾーニングを行うポイントとして上記のような実際にオフィス内を動く従業員やお客様の動きやすさ、業務の効率性を考えることも必要ですが、他にも大切なポイントはあります。
例えば、セキュリティに特化したゾーニングをしたい場合は、お客様など社外の人をオフィス内に入らせないレイアウトを考えます。ワークスペースをオフィスの奥に配置し、打ち合わせやミーティングスペースをエントランス側に配置します。この場合はエントランスに近いということでパーテーションに防音性の高い材質を使用することがおすすめです。
また、お客様へのスムーズなお茶出し、部署間の円滑なコミュニケーション、使用しやすいOA機器の配置など企業が必要とする項目を織り交ぜて配置を決めることが大切です。
快適なオフィスを実現させる基本はゾーニングにあります。オフィスのレイアウトの基本となるのがゾーニングです。どのようなコンセプトを持ち、どのように空間を配分していくかがオフィスづくりにはとても重要なポイントになります。
では、どのようなオフィスが快適なオフィスと言われるのでしょうか。
企業が個性を持ち、オフィスデザインが注目されている現在では、オフィスの働きやすさだけでなく居心地の良さや過ごしやすさを考えるものが多く見られます。社会人にとって1日の大半を過ごすオフィスですが、仕事だけをする場所ではありません。そのため、従業員同士の関係性や業務以外の時間を過ごすリフレッシュスペースなどに着目する企業が多くあります。
例えば、狭いオフィスで開放感を重視し、ワークスペースがオープンにつくられているオフィスでは、デスクの間に低いローパーテーションを置くことがあります。そうすることによって小さなスペースの中にも個人の空間をつくり、キーボード音などの業務環境のストレスを軽減させることができ、従業員のモチベーションを上げることを可能としています。
また、勤務中の仕事と休憩のオンオフが難しいという従業員の悩みを解決するためにリフレッシュスペースを大きくつくり、従業員の息抜きや休憩を充実させることで仕事への集中力を格段に上げた企業もあります。
このように同じ業務を行うオフィスでも空間の工夫で従業員の快適さやストレスに影響を与えることができるのです。オフィス内の限られた空間をどのようにレイアウトしていくかが従業員のモチベーションに大きく関わり、業務の効率化や生産性をアップさせることにつながり、快適なオフィスへと成長させることができるでしょう。
オフィスを快適なものにすることで企業の生産性や従業員の効率を上げることにつながります。オフィス空間が快適で安全なものであることが企業の働く環境の向上にもつながるのです。
オフィスデザインをするうえでゾーニングは基本です。ゾーニングを基礎にしながらオフィスのレイアウトを考えることで快適な空間を生み出すことができます。オフィスや従業員の向上のためにもオフィス空間のゾーニングを見直しましょう。