新しいオフィスに移転する時に一番楽しみなのは、何といっても内装の雰囲気ですよね。壁紙はそのオフィス全体の雰囲気を決める大きなポイントになります。企業や製品、サービスのイメージに合った壁紙を選んだり、部屋によっては遊び心を持たせた壁紙にしてみると、オフィス空間がより洗練された印象になり、社員が働きやすく、モチベーションも向上します。その一端を担う壁紙の選び方から、業者への依頼の仕方などについてご紹介します。
壁紙の種類は素材によって分類されています。それぞれの壁紙の特徴や1平米あたりの価格の目安をご紹介します。
一般的に幅広く採用されているのはビニールクロスです。表面加工の種類が非常に多く、発泡させたりエンボス加工などで凹凸を出すことによって、色柄以外にも質感など様々なバリエーションが選べます。ビニール製なので、掃除がしやすく、耐久性にも優れています。
ビニールクロスには、「量産品ビニールクロス」と「中級品ビニールクロス」があり、「量産品ビニールクロス」では1平米が500円からあるので比較的安価ですが、デザインや防音、防寒などの機能性には限りがあります。
「中級品ビニールクロス」では1平米が1,000円からあり、「量産品ビニールクロス」に比べて選べる種類が多くなってきます。
次に、紙クロスです。パルプを原料に使っている洋紙を厚くしたもので、プリント加工やエンボス加工を施した壁紙です。欧米では紙クロスが一般的に採用されており、輸入材がメインとなります。和紙やケナフなどの非木材紙を使用したものもあります。ケナフとは、木に似た繊維でできている一年草です。音を吸収する特徴を持ち、防音性に優れています。また、自然素材を使用しているため、環境や健康にも配慮された壁紙として注目されています。
価格の目安は素材によって異なります。アメリカ製の輸入材の場合1平米が2,500円から、和紙の場合で1平米が1,500円から、撥水加工や防汚処理を施したもので1平米が2,000円からが目安です。
自然素材の壁紙としては、織物(布)のクロスもあります。素材はレーヨン、絹、綿、麻などの繊維を織り込んだ布地素材のものや、不織物の素材など種類は多岐に渡ります。繊維でできているので吸水性があり、湿気防止に効果があります。
価格は素材によって大きく異なります。レーヨンでは1平米が1,200円から、不織物では1平米が2,200円から、絹100%を使用すると1平米が10,000円からとなります。
日本古来の塗り壁を選ぶと、世界で一点ものの壁になります。価格は左官職人によって大きく相場が変わりますので、現場の見積もりが必要になります。
漆喰を使用すると、パターンや色によって様々なデザインに仕上げられます。湿度を調節するのでカビの発生を抑え、脱臭効果もあります。こちらの価格も塗り壁同様に施工会社や左官業者によってまちまちになりますので、見積もりが必要となります。
同じく塗りの壁では、じゅらくがあります。土の色で自然の風合いを出すことができます。クロスを貼って、仕上げにじゅらくを方法に人気が出てきていますが、じゅらくの風合いのクロスもあります。じゅらくは土でできているため、防火性、防音性に優れています。
価格は1平米が2,000円からとなります。
そして、給湯室やトイレなどの壁にはタイル壁も選択肢の一つです。原料や焼き方、色合いや並べ方によって表情が変わりますし、防火性にも優れています。タイル壁の価格は使用する素材や施工会社によって大きく異なりますので、見積もりが必要です。
このように挙げただけでも壁紙にはたくさんの種類がありますので、オフィスの環境によって素材を変えたり、使用するインテリアによって壁紙を選ぶことでオフィス全体の印象が大きく変わります。
壁紙を選ぶ時には、オフィス内に置く家具類やインテリア、部屋の用途などに沿って選びたいものです。デザイン性が高く、より洗練されたオフィス環境は社員が働きやすくなり、お客様への印象がよくなり、新たな人材の確保にも繋がります。壁紙を色で選ぶ際に、部屋の広さや用途が大きなポイントとなります。色の濃さは部屋の広さと密接に関わっており、特に広い空間では白いものはより白く、黒いものはより黒く見えるといわれています。白く明るい色は空間の広がりを感じられ、濃く暗めの色は空間を狭く落ち着いて見せるという特徴があります。
例えば、社員が仕事をしている執務スペースには白を基調とした淡い明るい色にしたり、応接室や会議室など外部からの来客がある場合には暗めの色で落ち着いた空間を演出することで、信頼性や高級感を出すといったことができます。
同じ淡い明るい色でも、ブルー系の色では落ち着いたモダンな雰囲気となり、グリーン系では清潔感のある安らげる空間となります。また、部屋の四方を同じ壁紙にせず、一方向だけ個性的な壁紙をアクセントに使うことで、企業や取り扱う製品、サービスのイメージを取り入れることもできます。一方向だけであれば、オリジナルの壁紙も材質にもよりますが、10万円ほどで貼ることもできます。
壁紙を決めたら、業者に依頼します。コストを抑えるために自分で貼ることもできますが、面積が広い場合は自分で貼ると時間が掛かり、きれいな仕上がりにならない場合もありますので、業者に依頼した方が無難です。
移転などで他の内装工事もある場合は一緒に施工してもらうこともできますが、仲介料などを考えると専門の業者に依頼した方がコストが抑えられることもありますので、見積もりを取るようにしてみるとよいでしょう。壁紙工事の相場は、使用する壁紙や施工会社にもよりますが、東京都内であれば量産品の壁紙で1平米1,200円からが目安です。施工期間は業者によって異なります。最短では2日程度で完了するところもあるようですが、作業が雑になるといった心配もありますので、よく確認しましょう。
作業は古い壁紙を剥がして、傷んだところを補修し、その上に新しい壁紙を貼ります。下地処理が雑になると、新しい壁紙を貼っても凹凸が残ってしまいます。壁紙の選定も価格だけで選ぶのではなく、オフィスの印象を考えたデザインや機能性、素材などを重視して選びましょう。安いものは傷みも早く、すぐに貼り替えが必要になる可能性もあります。また、アフターフォローをきちんとしてくれる業者を選んで、契約書類を作っておくと安心です。
このように、壁紙はオフィスの印象を大きく変える要素の一つです。コストも抑えたいところですが、品質を重視して長い目で見ましょう。せっかく新調したのに何度も貼り替えをするのでは、コストも手間も更に掛かります。働きやすい環境作りの参考にしてください。