オフィスの照明と言えば、味気ない蛍光灯のみであるところが一般的ですが、オフィスを演出するための工夫としておしゃれな照明を取り入れる企業が増えてきています。しかし一言におしゃれな照明と言っても、どのようなものを選べばいいのか分からないという悩みがつきもの。オフィスを快適かつおしゃれにする照明の選び方をご紹介します。
最近ではタスク・アンビエント照明といわれる、オフィス全体の照明だけではなく、デスクにスタンドライトを置いて手元を明るくする方式が注目され始めています。従来のオフィスでは、全体の照明を蛍光灯のみでまかなっているため、節電のために照明を間引いてしまうと、デスクでの作業の際に暗くて目が疲労してしまい作業効率が下がる可能性があります。また事務作業では長時間パソコンに向かうことが多いので、目に負担がかからないような配慮をする必要があります。
タスク・アンビエント照明を導入することで、節電などでオフィス全体の照明を暗めにしても、手元の明るさはデスクスタンド照明で確保できます。また、席にいない場合はデスクスタンドの照明を消しておくことで、結果的に節電になります。一日の使用時間が長いオフィス全体の照明をLED器具に変えることにより、導入時にコストがかかっても、ランニングコストを抑えられるため償却することが可能です。
また、タスク・アンビエント照明を採用すると、むしろ調光できない蛍光灯の方が使い勝手が悪くなるため、オフィス全体の照明を検討した方が効率が良くなる可能性があります。同時にデスクスタンドにデザイン性の高いおしゃれな照明を選ぶことで、目にもコストにも優しいオフィスを実現することができます。例えば、ペンダントライトで下を照らすのではなく、天井を照らすデザインのものにすれば間接照明になります。全体の照明が天井からの反射光になりますので、デスクに置くスタンドを調光のできるおしゃれなものにすると使い勝手が良くなります。
ここで注意したいことは、デザイン性だけを重視して購入してしまい、明るさが合わずに作業がしづらくなるといったことです。そうならないように、経済産業省が出している照明基準総則にある推奨照度と照度範囲を参考にしましょう。事務室、設計、製図、玄関ホール(昼間)は推奨照度750lx、照度範囲1000lxから500lx、キーボード操作、計算は推奨照度500lx、照度範囲750lxから300lx、受付、食堂は推奨照度300lx、照度範囲500lxから200lxなどがオフィスの主なスペースの明るさの目安です。明るさを計るルクスメーターは2,000円から3,000円ほどで購入できます。
おしゃれと言っても、その基準は人の好みにも左右されます。オフィスは年齢層、性別、趣味嗜好や価値観も違う人達の集まりです。だからこそ、オフィスに相応しい「おしゃれさ」とは何かを考える必要があります。オフィスは本来仕事をする場なので、仕事のしやすさが最優先されます。集中力を保つという意味では、手元だけは明るくて、周囲は多少暗い方が集中できるとも言われています。しかし、中には照明が暗いのを嫌がる人もいるかも知れません。そこでオフィス全体の家具やインテリア、内装の雰囲気など総合的に判断して全体の照明の明るさがどれくらいのものにすればいいのかを考えて選ぶようにします。光の強さも含めたオフィス全体の照明に関する技術的なところは、照明デザイナーに相談するのも一つの方法です。昨今のおしゃれと言われるオフィスに共通するのは、オフィスではないように見える空間です。カフェのようなカジュアルさや遊び心のある個性的なオフィスなどに人気が集まります。毎日長い時間を過ごす場所なだけに、よりリラックスして快適に過ごすことができる空間にできるかがポイントになります。オフィスがおしゃれで快適な環境であれば、社員のモチベーションが上がり、生産性の向上も期待できます。照明では、従来は蛍光灯だったものを、ペンダントライトや間接照明に変えるだけでも居心地の良さは変わります。ここに居たいと思える空間作りに、照明は非常に重要な役割を果たしています。それは多くの人の目から見た時に、「おしゃれ」だと感じられるものになります。
では、照明を変えることによっておしゃれなオフィスにするためには、どのような照明をどこに配置したらいいのかをご紹介します。
まずはペンダントライトやシーリングライトです。ペンダントライトは一般家庭でも使用されているような天井から吊るして使用する照明です。デザインは多種多様ですが、人気があるのは北欧風のペンダントライトです。シェードの色を統一しても良いですし、スペースごとにバランスよく変えて配置してもおしゃれです。ペンダントライトはその照度の範囲によって空間を仕切る役割も果たしますので、デスクの集まりごとに一つずつ配置しても良いですね。
シーリングライトも様々なデザインがあり、シェードが木目調のものなども人気があります。落ち着いた雰囲気になりますので、どのスペースに置いても違和感を覚えることなく、ナチュラルテイストのオフィスに合うデザインと言えます。シンプルなデザインのものであれば、現代的なシャンデリア風のシーリングライトもおしゃれです。エントランスに向いています。
また、ブラケット(壁掛け照明)はエントランスや廊下に合います。照明の向きを変えられるものであれば、壁に向けて下向きに変えたり上向きに変えたりすることで、執務スペースでの間接照明として使用できます。カフェや美術館のような雰囲気を演出することが可能です。
照明を選ぶ際に一番大切なのは、オフィス全体の調和を図ることです。全体のバランスが調整できないと、照明だけはでなく家具やインテリアが浮いたり悪目立ちしたりする原因になります。企業イメージを持ちながら、社風をインテリアに活かせるとより居心地の良い、働きやすいオフィス環境となるでしょう。
市販の家庭用照明でも、オフィス全体のバランスを調整できれば使用してもいいかもしれません。企業イメージに合った素敵な照明を検討して、快適なオフィス環境作りに役立てるための参考にしてみてください。