オフィス内で仕事を行う際に、レイアウトを工夫するのには様々な重要な意味合いがあります。働く従業員の作業効率をアップさせるのはもちろんですが、オフィスの安全性を守る、いわゆるセキュリティのアップもその理由の1つとなります。今回は特に、オフィスのセキュリティアップという観点から、エリアごとに取り入れるべきレイアウトを検証していきます。
受付エリアは企業のエントランス部分とも重なっている場合が多く、セキュリティとしては一番低いレベルに位置付けられます。しかしながらそんな中でも、レイアウトの工夫次第ではいくらでもセキュリティレベルを引き上げることは可能であり、また、その工夫もしやすい場所となっています。
例えば、パーテーションを1つ置くだけでも、来訪者の視線を遮ることができます。これは、特に1フロアしかないような小さな事務所形態のオフィスであればその有効性も大きくなります。
ガラスや反射材を置くことも大きなセキュリティ効果を生み出します。光が乱反射することによって人の動きが察知しやすく、不法侵入を防ぐ役割を果たすのです。
受付から業務室に入るまでの動線を一直線ではなく、ある程度曲がり角を作るというレイアウトも有効です。まっすぐ歩く時に比べ、曲がるという動作は歩行速度をやや落とすことにつながるので、上部に監視カメラが設置してあれば不法侵入があった時でも画像にとらえやすくなります。
受付エリアを完全に独立した部屋とし、業務室などに入る時はドアに認証システムを導入するのもひとつの手です。従業員にカードキーを持たせ、それが無いと受付エリアから業務室に入れない仕組みを作れば、完璧なセキュリティ体制ができあがるといっても過言ではないでしょう。
取引先の人が自社を訪れる際、その人を応接室に迎え入れるということはよくあるパターンです。その際にも、セキュリティという観点から工夫されたレイアウトを作り出すことが必要となってきます。
まず基本的に、業務室の近くに応接室を配置するのは避けた方が良いでしょう。特に、業務室を通らなければ応接室に行けないようなレイアウトを作るのはセキュリティの観点から好ましくありません。来訪者がそこを通過する際、仕事の様子がまる見えになってしまい(作業中のパソコン画面が見えてしまうなど)、情報漏えいが起こる可能性があるのです。これは、会議室や社長室などが隣接している場合も同様のことが言えます。仕事上の重要な内容(会話)が筒抜けになってしまうかもしれないからです。
イメージとしては、受付エリアのすぐ隣に応接室を作るのがベストです。会社の機密情報を見られる心配が少なくなりますし、何よりも来訪者にとって移動の手間が省け、好感を持ってもらえる要因にもなります。オープンな雰囲気を売りにしているオフィスでも、パーテーションが1枚あればそれだけで隣の部屋(業務室など)がまる見えになることが無く、セキュリティを意識したレイアウトになります。
業務を行うエリアは、基本的にそこで働く従業員と関係者の出入りが多い場所となっています。従って、セキュリティに関してつい意識が希薄になってしまいがちですが、来訪者や外部の人間が全く通らないということは考えにくいので、情報漏えい等に対するセキュリティはしっかりしておく必要があります。
まず、業務室ではパソコンで作業する場合が多いので、外部からモニター(情報)が見えてしまう可能性は否定できません。それはデスクでも同様で、書類など何らかの情報が無造作に置かれている場合もあります。それらを見えにくくするためには、単純に外から見えにくい角度にデスク位置を調整したり、さらにある程度の仕切りを設けることが必要となってくるでしょう。
次に、プリンターやFAX機のレイアウトを決めることもセキュリティの観点から非常に重要になってきます。デスクに近い場所に配置しておけば、印刷した書類や外部からFAXによって届いた書類をすぐ取りに行けるので効率的になります。逆に遠いところにあると、都度取りに行くのが面倒になり、一定時間放置されてしまいます。その間情報が無防備になってしまいますし、誰かが持ち去ってしまう可能性も否定できません。個人情報の保護というセキュリティ面からは非常に危険な状態を生んでしまうので、プリンターやFAX機の配置には気を配りましょう。
機密情報は、会社にとって特に厳重に保管しなければならないものです。それらを集積しておく部屋は、オフィスの中でも最も奥まった場所に配置することが基本となるでしょう。限られた収納スペースを上手く利用し、機密書類や物品に合わせた収納ボックスを用意するのが適切と言えます。保管されている部屋に入退出管理システムを導入すればセキュリティも向上し、さらに書類などの使用頻度によって取りやすい場所にボックスを配置する、という配慮も仕事上の効率の面で重要となってきます。
企業のネットワーク環境を一手に担っているサーバー室も、外部から見えにくい位置に配置するレイアウトを考え出すことが重要です。個人情報や機密情報が集約されている場合も多く、まさに企業の根幹に関わる部分となってくるからです。機密書類を収納しておく場所以上に厳重な「ロック」をかけておくようにし、入退室の管理は厳しくしましょう。また、災害に対する備えも重要です。重要な情報の入ったサーバーが地震などによって壊れてしまったら、二度と情報を取り出すことができなくなるかもしれないからです。整理整頓も可能になる頑丈なサーバーロックを導入し、コンピューターを一括で保護するようにしましょう。
以上見てきたように、セキュリティという観点からオフィスのレイアウトを考え出すのは非常に重要な作業となります。個人情報や機密情報を外部に漏えいさせないように、様々な工夫を凝らすようにし、同時に仕事上の効率も求めていきましょう。