仕事において、オフィスにいる従業員同士のコミュニケーションが成功のカギを握るといっても過言ではありません。お互いが意思疎通をしっかり図ることにより、どんなに難しい仕事でもしっかり連携して前に進ませることができるのです。さて、そのコミュニケーションを行う上で、デスクの形は1つのポイントともなります。どのように配置されているか、またデスク自体がどのような形になっているかによってコミュニケーションの仕方も変わってくるのです。今回はその点を具体的に検証していきます。
オフィス内で円滑にコミュニケーションを取りたいと思ったときに、まず大前提として考えなければいけないのが「パーソナルスペース」の確保です。心理学的に、人間は相手が近くに来れば来るほど不快な思いをする空間、というものがあります。パーソナルスペースは、個人それぞれにおいて不快と感じる度合いが違う、接する相手(知人や他人、家族など)によっても違ってくる、一般的に女性の方が男性よりもスペースが広い、と言った特徴があります。満員電車でぎゅうぎゅう詰めの状態のときや、人でいっぱいのコンサート会場などを思い浮かべると良いでしょう。そうした場面で不快な思いをしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
この点に関しては、オフィスにおいても同様のことが言えます。デスク同士があまりにも近接された状態に配置されていると、人の視線が気になり思ったような仕事ができない可能性も出てくるのです。個人によっても感じ方には違いが出てくるので、フロアの責任者は従業員1人1人とよく相談し、ベストと思えるデスクの形を考え出す必要があります。デスクの配置自体を組みなおす、そしてデスクの種類自体も新たなものを購入する(丸形のものや長方形のものなど)といった具体的な対策がありますが、次の段落以降でもう少し詳しく見ていきましょう。
デスクと一口にいっても、その形状には代表的なものが3つあります。それぞれにおいて検証していきましょう。
まずは一般的ともいえる1人用の単体デスクです。文字通り1人で作業するのに向いているデスクであり、必要な台数を必要なだけ設置するときに都合がいいと言えます。従業員が増減した時にも柔軟に対応できるメリットがありますが、一方で従業員があまりにも増えすぎると過不足に常に対応せざるを得なくなるというデメリットもあります。
次にあげられるのが、大型ロングデスクです。1台のデスクを何人かで共有して使用できるという特徴があります。ある程度ならオフィス内の人数の増減にも対応でき、単体のデスクと同様の使い勝手の良さがあります。ただし、大型なだけに簡単に移動させにくく、最初の設置時に気を使わなければなりません。
最後に紹介するのが、キャスター付きの可動デスクです。デスク自体はシンプルな作りとなっているものも多いですが、何といってもキャスターが付いているのでオフィス内で移動をさせやすく、レイアウト変更の際や、会議室などで、頻繁にデスクの形を変えなければいけない時に重宝します。変化しつつある企業の働き方に柔軟に対応できるデスクの形状と言えるでしょう。
デスクの形状によって、特にオフィス内で会議を行う際にコミュニケーションが取りやすくなる場合もあります。以下からその例を見ていきましょう。
まずは最も使用する機会が多いといえる「長方形の形のデスク」です。会議の場面において活用される機会が多く、長方形の短辺に上席の人が座ることで会議の全体が見渡せるようになります。デメリットとしては、上司などから見て長方形の端の方に座る人は会議に参加しづらく、意見を出しにくくなってしまうということがあります。キャスター付きのデスクを利用することによって、典型的な長方形の形を少しずらし、端の人でも会議に参加しやすくするようにしましょう。
次に考えられるのが「丸い形のデスク」です。テーブルなどによくある形ですが、これはビジネスマナーで言う「上座・下座」といった席順の序列がなくなってしまうという特徴があります。2、3人以上の友人同士で集まって話し合うとき、自然と輪の形になっている場面を思い出してみてください。このテーブルは、気軽に、そして忌憚なく意見を出し合うのに最適です。仕事上で良いアイデアが生み出される可能性も高まるでしょう。
1つ1つのデスクをオフィス内で「つなげる」手法=レイアウトには色々な形があり、レイアウトによってコミュニケーションの取りやすさも変わってきます。代表的なものを見ていきましょう。
まず代表的なのが「島型レイアウト」です。日本の企業において最も採用されているレイアウトであり、部署ごとにデスクを固めて1つの「島」を作る形式となります。同じ島の従業員達がコミュニケーションを取りやすくなるのはもちろんですが、外部の人でも目的の部署がどこにあるか探しやすく、すぐに仕事上のコミュニケーションを取ることができます。
次にあげられるのが「クラスター型レイアウト」です。互い違いにデスクが配置され、自分の列は前向きに、隣の列は後ろ向きに置かれます。さらに隣同士もくっついていません。1人1人のデスクにおいて、かなり多くのスペースを割けるので、荷物や書類などを整理しやすくなります。
最後に「並列型レイアウト」を紹介します。学校で授業をしているときの形状を思い出してみてください。デスクがある一方向を向いた形となっています。横同士はつながっており、コミュニケーションは取りやすいものの、全員の視線が前方に向くため、他人の目線を気にすることなく仕事に集中できます。
以上見てきたように、デスクの形、そしてデスクの並べ方というレイアウトの工夫をすることは、仕事上のコミュニケーションを根本から変えられる可能性があります。あまり意思疎通ができていないと感じたら、デスクを変えることによってその状況を改善する打開策となるかもしれません。