オフィス内においては、仕事を効率よく行うための最適なレイアウトというものが存在します。しかしながら、どの部署でも一律に同じレイアウトで良いというわけではなく、それぞれにおいて仕事のしやすさという観点から、最適と思われるレイアウトを生み出す必要性があります。今回は代表的な部署に関してのオフィスレイアウトを検証していくことで、企業全体としてさらなる効率アップとなるヒントを探っていきます。
企業の顔であり根幹も担っている部署である受付・総務部門は、多種多様な仕事をこなす必要があります。特に、外部からのお客様を迎え入れる受付部分のオフィスレイアウトは、細心の注意を払って作り出さなければなりません。なぜなら、お客様が商談などでその企業を訪れる時、一番最初に目にするところだからです。円滑な人間関係を築く際、第一印象が大切な要素となりますが、企業とお客様の関係にも同様のことが言えます。
入口の受付部分が暗い雰囲気だったらお客様はどう思うでしょう。少なくともその後の商談において、幾分不利になってしまうことは否めません。
そうならないためには、その企業のコンセプトが一目でわかるようなレイアウトを目指す必要があります。環境に配慮した活動を目的としている企業ならば、受付部分に観葉植物などの緑を豊富に配置してみましょう。他にもミニ噴水や自然光を取り入れたレイアウトならば、お客様への格好のアピールとなります。
受付と総務部門が一体化しているような企業であれば、お客様が戸惑わないように、受付カウンターは分かりやすい位置に設置しましょう。ドアを開けてすぐの部分に受付があれば、お客様の手を煩わせることなく、スムーズに商談へと移行することができます。
企業の中心部分ともいえる部署である情報管理部門は「情報漏えい」に細心の注意を払ったレイアウトを作り出す必要があります。
まずは、外部からお客様を招く機会が多い企業の場合、情報管理部門のフロアはオフィスの中でもなるべく奥の位置に作る必要があります。人の目に触れやすい位置だと、たとえ意図的でなくてもパソコンの画面(機密情報がディスプレイ上に映った状態)を見られてしまうかもしれないからです。奥の位置であれば人目に触れる機会も少なく、情報漏えいの心配も少なくなります。
また、情報管理部門は仕事の性質上、機密書類が発生しやすい部署でもあります。こうした書類を保管するロッカーなどの置き位置にも気を配りましょう。できればロッカー専用ルームを設け、入室には厳重なセキュリティを設けるのがベストですが、オフィス面積の都合上それがかなわないようであれば、あまり多くの人が通らないような部屋の片隅に設置しましょう。また、近年地震災害が日本において頻発しています。機密書類でオフィス内が埋もれた状態になっていると、地震災害時に倒れてくるなど、思わぬケガのもとになります。最低限、外に逃げ出しやすいように避難通路のスペースは確保しておきましょう。
営業が一堂に会している部署も、独自のレイアウトを作り出すことで仕事の効率が良くなります。
一番大きなポイントとなるのは、外回りの営業が多い場合、個人のデスクが一日空いているケースも多いということです。「デスクに座る機会が少ないのに、専用のものを用意する必要があるのか」。営業部門のオフィスレイアウトの作成は、まさにこの考えが出発点となっており、その一つの答えとしてあるのが「フリーアドレス制レイアウトの導入」です。
フリーアドレス制とは従業員一人一人に専用のデスクがありません。机とイスは用意されていますが、従業員はその日によって空いているところを探し、一時的に自分のデスクにできるのです。書類や個人の持ち物などは専用のロッカーなどに保管し、仕事の時はあらかじめ設置されているパソコンなどを利用します。
このフリーアドレス制には様々なメリットがあります。まず、毎日隣に座る人が異なるので、仕事上のコミュニケーションもマンネリ化することなく、常に新鮮な情報に触れることができることです。また、個人の荷物は保管場所が一括化されるので、その分空いたスペースを有効活用できます。また、仕事が終わった後でも、専用デスクを持っている時にありがちな、機密書類を置きっぱなしにすることもなくなるので(専用ロッカーなどに戻す必要性がでてくるので)、情報漏えいの心配も少なくなります。
近年発展のめざましい産業であるIT業界。SEやプログラマーといった職種の人たちが大活躍しているフィールドですが、そんな彼らが仕事をしやすくするためのオフィスレイアウトを作り出すことは、特定の企業のみならずさらなる業界の発展に今や欠かせないファクターとなっています。その特徴を見ていきましょう。
根本的に、彼らにとって何よりも欠かせない「作業ツール」は、パソコンです。画面を見ながらキーボードを叩くといった集中力が必要な作業なので、なるべくなら外部の雑音はシャットアウトしたいところです。会議や重要な連絡事項があるとき以外はある意味「一人の世界に浸れる」ようなオフィスレイアウトを作り出さなければいけません。
ここで、いわば主役級の役割を果たすのがパーテーション(仕切り板)となります。席の両サイドにパーテーションを設置すれば、それだけでも周りの情報をシャットアウトできて仕事に集中しやすくなります。ただし、外部からの最低限の情報は耳にできるようにしておかなければ業務上取り残される可能性も高いので、あまり背の高いパーテーションはおかず、頭が覗ける程度のものにしておくのがベターと言えるでしょう。
いかがでしたか。部署によって仕事を効率化させたり、情報漏えいを防ぐのにうってつけのレイアウトが存在する、ということをこれまで紹介してきました。企業の業績アップを図るにはまずオフィス内部から、という発想をもとに、各部署ごとに理想的なレイアウトを作り出しましょう。