企業が経営戦略を考える中で一つの重要な要素となる「オフィス移転」。思い立ったが吉日、すぐにでもその計画を実行に移したいところです。しかし、周辺の迷惑にならないようスムーズに引越しを行う事も同時に達成しなければなりません。今回ははじめにオフィス移転で行うべき各種作業の紹介をし、それを念頭に入れたうえで最適と思われる引越しのタイミング(日程)を検証していきます。果たして平日がいいのか休日がいいのか、そのメリットとデメリットとは?
最初に、引越し作業を行うときは少なくとも周りに迷惑をかけないよう、なるべくスムーズに行わなければならないということを肝に銘じておきましょう。ビルの上階にオフィスを構えている企業の場合、オフィス什器やその他諸々の荷物を運ぶときにどうしてもエレベーターを利用しなければならないケースが出てきます。荷物搬出用のエレベーターがあるならともかく、ビルに入居しているその他のオフィス従業員も使っているエレベーターを利用する場合は、大きな迷惑をかける場合もあるのです。なるべくエレベーターの利用者が少ない日、もしくは時間帯に引越し作業を行うよう心掛けたいものです。
そのためにも、引越しをする前の日までには全ての荷造りを完了し、いつでも動き出せる態勢を整えておく必要があります。この荷造りという作業は、意外に時間がかかるものであり、のんきに構えていたらあっという間に引越し当日を迎えてしまうので注意が必要です。目安としては、1週間前から準備を始めるのが良いでしょう。事前準備として、オフィス家具などを入れておく段ボール、ガムテープや荷物に衝撃を与えないためのエアキャップ(緩衝材)といった各種アイテムを揃えておきます。これらは引越し業者が用意してくれる場合も多いので、早めに連絡して確保するようにしましょう。
下準備ができたら、いよいよ引越しのためのオフィス家具整理の始まりです。まず意外と忘れがちなのが、デスクや書庫といったものの引き出しにテープを貼っておくこと。引越し時の移動の時に、テープを貼っていないと引き出しが飛び出て、中身が入っている場合は散らかってしまう恐れがあります。漏れのないよう、全ての箇所に貼っておきましょう。
次に行うべき作業は、電子機器につながっているケーブルを全て離線することです。この作業は、基本的に引越し業者は行いません。事情を知らずに離線し、パソコンに保存していなかった大切なデータを消してしまう恐れがあるからです。従って、この作業はオフィス内の従業員で行いますが、データ消去をしてしまわないとも限らないので、従業員内でしっかり情報共有をし、データはバックアップを取っておくなど万全な準備を整えておきましょう。
こうした作業を行ったあと、全てのオフィス家具やパソコン類などを段ボール箱に詰めていくわけですが、その際「物量リスト」を用意し、必要事項を記載しておくと新オフィスでもスムーズに引越しが済みます。持っていくものと廃棄すべきもの、その数量や、家具の寸法などを記載することで、新オフィスで作られたレイアウト通りに置けるのです。
さて、引越しをする日程はいつがベストなのかを次に検証していきましょう。まず、平日に引越しを行うことのメリット、デメリットを考えていきます。
まずメリットですが、平日の方が休日よりも企業によるオフィス引越し件数が少なく、その結果業者とも契約を結びやすいということが挙げられます。当初予定していた新オフィスへの引越し作業が、計画通り進めやすいということです。また、引越し後には役所にいって各種手続きを済ませなければなりませんが、土日には休んでいることも多いので、平日であれば当日か、次の日にでもすぐに手続きができるのです。
一方デメリットですが、平日に引越作業を行うということは、当然ながらその間の仕事を休まなければならないということです。繁忙期は避けて、比較的仕事の少ない時期に行う必要があると言えるでしょう。また、平日故に、引越し時に挨拶をすべき近隣の企業の従業員が出払っている可能性があります。日程を調整して、挨拶の時間を持つようにしましょう。
平日に引越しを行うことのメリット、デメリットは以上ですが、同じ平日でも月曜や金曜は仕事が立て込む可能性があるため、火曜から木曜の間に行うのがベストと言えるでしょう。
続いて、休日にオフィスを移転することのメリットにはどういったものがあるのか、考えていきます。
まず何と言っても、業務の都合上、という側面が大きくなります。平日に行おうとしても、業務が忙しい状態であればなかなかスケジュール通りに進まず、引越しも業務も中途半端になってしまう恐れがあります。その点休日であれば、その日1日を引越し作業に充てることができるというメリットがあります。また、現オフィスと新オフィスの距離が遠い場合、引越しは自ずとトラックや車を使って一般道路(交通)を利用しなければなりませんが、休日であれば、時間帯にもよりますが道路が空いている可能性が高く、スムーズに引越し作業を完了できます。
一方で、休日に引越しを行うデメリットも存在します。最大の懸念は、平日引越しによるメリットと相反する事情になりますが、前段にあげたようなこと(メリット)があるので休日に引越しをする企業が多く、早めに相談をし、予約を入れないとあっという間に枠が埋まってしまうことです。そしてそういう事情がある故に、休日に引越作業をしようと思うと、平日よりも割高な料金で業者に頼まなければならない可能性が高いことも挙げられます。最後に、ある意味「休日出勤」となるので、従業員には振替休日を適用するなど、企業側の細かい配慮が必要になるということもあります。
いかがでしたでしょうか。引越しの簡単な手順に始まり、どの日程で引越しを開始すれば良いかまでを今まで検証してきました。当初立てた予定通りスムーズに引越し作業を完了させるためにも、特に日程面においては細心の注意を払って考えるようにしましょう。