企業が効果的な営利活動を行う上で、オフィス移転は一つの選択肢になり得ます。可能な限りスムーズに移転作業を行い、一日でも早く営業ができる体制を整えたいものですが、そのためには従業員一人一人の引越しに対する意識の高さも必要になってきます。今回は「荷造り」という観点から、移転作業を滞りなく行うために必要な要素というものを考えていきたいと思います。
最初に、全体的なオフィス移転のスケジュールを考察することによって、その中における「従業員一人一人の荷造り作業」の重要性を見ていきます。カギとなるのは、その「タイミング」です。
1:移転の決定に伴う前準備を整える
ただ闇雲に「オフィスの移転が決定しました!はい、移動しましょう!」と行動しようとしても、事前にスケジュールを立てておかないと引越し作業は全くもって統一性の取れていないバタバタしたものになってしまいます。まずは、なぜオフィスを移転しなければならないのか、目的を明確にします。そしてその目的に沿って、オフィスの立地条件や内部設備の確認を行いましょう。
2:具体的な移転計画の立案
引越しは、全社規模でのイベントになります。各部署と調整を図り、準備段階で全従業員が引越しできるよう、滞りなく作業を進めましょう。実際に引越しをする日から逆算して必要となってくる各種作業を見える化(スケジュール化)して、「この日にはこの作業を行うべき」という指針を全従業員に周知させるのが重要です。もちろん、荷造り作業もこのスケジュールの中に入ってきます。どのタイミングで作業を始めるか、しっかりと決めましょう。
3:移転先オフィスのレイアウトを考える
荷造りをした物品を新オフィスのどこに置けばいいのか分かりやすい様に、レイアウトを考えておくことも重要です。あらかじめある程度の(オフィス什器の置き場所などの)位置関係を把握しておけば、引越し時にスムーズに設置できます。完成したレイアウトに番号をふっておけばなお良いでしょう。荷造り時に、オフィス用品などを詰め込んだダンボール箱にも同様に番号をふっておくことでどこに置けばよいかさらに分かりやすくなります。
以上の様な手順を参考に、スムーズな移転(従業員の荷造り作業)を行っていきましょう。
実際にオフィスの移転スケジュールが決定したら、それに沿って従業員一人一人が移転の準備を行います。まずは、事前に何を用意しておけば効率的に準備ができるかを見ていきます。
・ダンボール箱
デスク周りの様々な備品、特にパソコン関係のオフィス用品を持ち運ぶのに最適なものです。大抵の場合は、引越しの際に専門業者が用意してくれるものなので、存分に活用しましょう。
・ガムテープ
オフィス用品を詰め込んだダンボールを持ち運ぶ際、フタが開いたままだとこぼれ落ちてしまう危険性があります。これも専門業者が用意してくれることが多いガムテープできっちりとめておきましょう。コツとしては、1本のみでは剥がれる危険性もあるので、十字の形で貼るようにするのがベストです。
・エアキャップ
俗にいう「プチプチ」と呼ばれるものです。ダンボールの中に貼りつけておけば緩衝材の役割を果たしてくれ、万が一地面に落としたとしても最小限の被害で済む場合があります。特に、壊れやすい物品を入れる予定の段ボールに同梱しておくと良いでしょう。
以上の様なアイテムを用意した上で、従業員一人一人が新オフィスに持っていくべきもの、廃棄すべきものをちゃんと分けて各自ダンボール箱に詰めていきます。専門業者に持ち運びをお願いする場合は、大体1つ当たり20キロくらいの重さまでにしておきましょう。全て荷造りが終わったら、ダンボールに名前や内容物を書いておき、さらにナンバリングしておけば中に何が入っているか、誰の持ち物なのかが分かりやすく、先ほど述べたように新オフィスに持って行った後でもレイアウトに沿ってスムーズに再配置しやすくなります。
さて、ダンボールに詰められない物に関してはどのように荷造りしたら良いのでしょうか。具体的にはオフィスデスクやチェアー、さらには棚や書庫といった大きいサイズのオフィス什器が挙げられます。特に引き出しのついているものに関しては注意が必要となり、持ち運びの最中に引き出しが開いて中のものが飛び出してしまう恐れもあります。大きい什器に関してはに何人かの手を借りて持ち運ばねばならず、引き出しが開いて落ちないように気を遣うのはなかなか難しいものです。それを防ぐためには「養正テープ」というものを引き出しに貼っておくのが一番効果的です。漏れのないよう、一つ一つの引き出しに丁寧に貼っていきましょう。
電子機器関係の引越し時の取り扱いにも注意が必要です。引越しには専門業者の手を借りることが多いですが、彼らはこうした電子機器の離線は行いません。勝手に離線し、パソコンや複合FAX機など、中に入っているデータが失われてしまったら一大事になってしまうからです。従業員各自の責任において離線することになりますが、その前にデータのバックアップなどをしっかりと取っておきましょう。
以上に紹介してきたような事前準備は、引越し当日の大体一週間前までに済ませるのがベストです。滞りなく新オフィスへの引越し作業を行えるようにしておきましょう。
いかがでしたか。オフィスの移転に際しては事前に綿密な計画を立てた後、それに沿って従業員一人一人が滞りなく準備を行うことが必要となります。特に、オフィス用品などを荷造りする作業は重要であり、丁寧に一つ一つダンボール箱に詰め込んだり、大きな什器でも引き出しから物がこぼれ落ちないようにする工夫をしましょう。しっかりと引越し作業に協力することが、新オフィスに移転した後でもスムーズに業務を再開できるカギとなるのです。正直面倒くさい一連の作業となりますが、仕事の一環と思って協力的に動きましょう。