オフィス内で従業員が快適に仕事を行うために、いわゆるフリースペースの確保は一番大切な要素となります。動きやすくすることで開放感が生まれ、従業員同士のコミュニケーションもとりやすくなり、何よりも仕事上の連携がとりやすくなるといったように、様々なメリットが考えられるからです。今回はこのフリースペースを最大限に活かせそうなアイデアを提案してきます。
海外の企業において、独自性に富んだ方法も流行しているフリースペースの使い方。ぜひとも参考にしたいところですが、フリースペースを最大限活用するためには、その前提条件として3つのポイントをあらかじめ押さえておかなければなりません。以下に見ていきましょう。
1:フリースペースの主な使用用途を明確にする
フリースペースを作り出すとはいっても、そこを具体的にどのように使用するのか、その用途を明確にしないと単なる空き空間になってしまいます。従業員もどのように使っていいのか分からず、戸惑いの原因になることも考えられます。
例えば業務に関係した勉強会(セミナー)を行うために使用する、業務のために使用する、あるいは従業員の憩いの場であるリフレッシュスペースとして使う等、様々な使用用途があります。それを明確にすることによってフリースペースの存在意義も出てきます。仕事上のプラスになるように利用してもらいましょう。
2:業務スペースとは異なったデザインにする
せっかく作り出したフリースペースですから、普段業務を行っているフロアとは雰囲気をガラリと変えてみましょう。壁紙や床材、デスクやイスなどデザイン性の凝ったものにすればフリースペースに入った際に気持ちを切り替えることができ、従業員も常に新鮮な気持ちを保つことができるでしょう。
3:積極的に利用してもらう
フリースペースを作っても、特にルールを定めないと利用する人がいなかったり、逆に常に満杯で利用したくてもできない人が出るなどバラツキが生じる可能性があります。「Aの部署は9時から10時までの使用。Bの部署は13時から14時までの使用」など、部署ごとにフリースペースを利用できる時間帯を決めたり、使用の際のルールなどをしっかり定めることでメリハリがつき、有効利用することができます。また、掃除をする習慣をつけることによって、常に清潔にスペースを使えることにもつながります。
さて、フリースペースの具体的な使い方にはどういったものがあるのか、次に考えていきましょう。使い方によっては、企業の個性が具現化される場所にもなりえるのです。
まず1つ目の考え方として、外に面した窓を最大限活用する、と言う方法があります。窓から外の景色を見られる状態になっていると開放感を感じられ、リラックス効果も高まります。カウンター形式にしてイスを多く設置すれば利用できる人も増え、爽やかな空間の中仕事に対する集中力も高まり、休憩室であればリラックスしやすくなります。
2つ目は、フリースペースの壁際に本棚を用意し、従業員に読書や調べ物をしてもらう、というものです。ビジネス本のみならず、写真集やアート作品、料理本など幅広いジャンルの本を収納しておくことで見識を広めてもらい、その結果従業員のクリエイティブな能力を高められるというメリットがあります。
3つ目に考えられるのは、従業員1人1人が仕事に集中できるスペースです。ちょうど1人が入れるような個室を用意し、周りの雑音をシャットアウトできるような環境を作り出せば、フリースペースに移動して仕事の大事な部分を仕上げられるというメリットもあります。
最後に挙げるのは、従業員同士の交流が可能なレクリエーションエリアとしての利用です。童心に帰れそうな「遊び場」としてのデザインを創出し、従業員に利用してもらえばリラックスした時間を過ごすことができ、円滑なコミュニケーションが図れるほか、次の仕事への意欲も湧いてくることでしょう。
最後に、フリースペースを最大限活用している企業の事例を紹介します。
2008年に設立された、スマホゲームを手掛ける株式会社コロプラでは「白猫プロジェクト」「バトルガールハイスクール」など、数多くのヒット作を生み出しています。同社では従業員の急増に対応した「引っ越しプロジェクト」を2014年に敢行しました。具体的には、営業拠点を東京の恵比寿ガーデンプレイスの中に移転させ、これまでの2倍の規模となる、フリースペースをふんだんに利用したオフィスを新たに作り出しています。
「ゲームを作る会社らしい、楽しさに溢れた場所」をコンセプトに、従業員は仕事をしながらも気分転換でき、新たなアイデアを生み出せるようなオフィスになっています。具体的には間を仕切るパーテーションを取り払って開放感あふれる場を作り、ノートパソコン1つあればどこでも仕事ができる「共有スペース」を生み出しました。ここには社内の4分の1という面積を使っています。自分の机に座って仕事をするだけでなく、その他多くの従業員とコミュニケーションをとりながら新鮮なアイデアも取り入れられる場となっていて、仕事へのモチベーションアップにもつながっています。
こうしたフリースペースの創出には、働く従業員に対する「気遣い」があります。スマホゲーム業界は競争が激しく、多く仕事をして1日でも早く新作ゲームを世に出さなければならないという現実があるからです。1日中働くことも多い従業員ですが、居心地のいい環境を作り出さないと疲れやストレスをためる一方です。そこで生み出されたのがこうしたスペースであり、少しでも気分転換をすることで新たな仕事へ取り組むことを可能としたのです。
いかがでしたか。フリースペースをうまく活用することは、従業員が気分転換しながら仕事や休憩をすることができモチベーションアップになって、その結果企業の生産性が上がることにもつながります。今回紹介した企業の事例なども参考に、新たにフリースペースを有効活用してみましょう。