企業がその営利活動において一つの「刺激」とすべく、オフィスの移転を考えるという選択肢があります。その際に発生する引越しと言う作業は、スムーズに移転を行い新天地で一日でも早く営利活動を再開するためにも、避けては通れない重要な要素です。今回は、企業がそもそも引越しを行う理由を考え、それを踏まえたうえで引越しを楽に行う方法を、様々な角度から検証していきます。
最初に、企業はそもそもなぜオフィス移転=引越しという作業を行うのかを考えてみましょう。
1:現在展開している事業をさらに成長、拡大
引越しの要因として最も考えられるものがこちらです。企業が事業を展開する上において、お客様(顧客)との取引は欠かせない要素です。しかし、もし企業の所在地が、お客様に不便をかけるような遠いところにあったとしたら、それだけで取引上様々な不便をかけてしまいます。取引しているお客様が所属している複数の企業の所在地を分析し、最も近いと思われる場所にオフィスを移転させることは、これまでのお客様だけでなく、新規に契約を獲得できる可能性もあるなど、事業拡大の最大のチャンスともなります。
2:事業の運営を改善
一方、オフィスを引越しさせることは、従業員に対してもメリットをもたらします。多くの従業員は交通機関を利用して通勤しますが、交通の便が良くないところにオフィスがあると通勤だけで疲れてしまう可能性があり、その結果生産性も上がらなくなります。都心など、通いやすいところに引越しをすればそういった面も改善されるでしょう。
3:コストを削減できる可能性
今いるオフィスでは賃料などの仕事以外でかかるコストが高い場合、引越しによってそれを削減できる可能性があります。そのために必要となるのが、不動産業者との交渉です。より安く入居できるオフィスがないか相談すれば、オススメの物件を教えてくれるかもしれません。
さてそれでは、一般の家庭とオフィスの引越しにはどういった違いがあるのか、次に見ていきましょう。
まず家庭における引越しですが、その目的は至極単純です。荷物をこれまでいた自宅から引越し先にまで運ぶ。たいていの場合においては、ただこれだけなのです。しかしながら、オフィスの移転で発生する引越しの複雑さは、家庭の比ではありません。
まず言及すべきなのは、オフィスの引越しには様々な手続き、調査が必要となってくる、ということです。取り扱うものが家庭の時とは質、量とも比べ物にならないほどあり、特に移転した後すぐに業務を再開しなければならないため、あらかじめ入念な準備をし、スムーズに手続きを行いたいところです。家庭では引越しの際の手続きとして、水道や電気などの公共設備に関する料金支払い方法の変更、住民票の移転などですみますが、オフィスの引越しにおいては各省庁に移転の手続き書類を提出したり、ホームページにおいて移転に関する情報を更新したり、さらには従業員に移転、引越しをスムーズに伝達するなど、様々な手続きが発生するのです。
そして、引越しにかかる料金も相場がかなり異なるので、良く調べて少しでも安いものを選ばなければ、余計なコストがかかってしまう恐れもあるのです。ここにも入念な準備が必要になる、と言えるでしょう。
また、オフィスの引越しには高い専門性、豊富な経験が必要となってきます。特に、ロッカーや書庫などの大きなものを運ぶ「備品搬送」、パソコンやコピー機といった「精密機器の搬送」、インターネット、ビジネスフォン、その他照明や電気設備などの「インフラ整備への対応」。この3つは引越し業者やITの専門業者にお願いしたほうがスムーズな引越しを可能としてくれるでしょう。
各種手続きがあり、専門性が高く、家庭で行うものとは比べ物にならないほど複雑なオフィスの引越しですが、従業員一人一人が工夫をすれば、楽な作業になることもあります。コツにはどういったものがあるのか、見ていきましょう。
まずは、従業員全体で引越しを行う、という意識を明確にします。担当の人のみならず、全員で荷物の梱包を行ったり、新オフィスに荷物を運ぶなど積極的な協力体制を築きましょう。オフィス移転に関する担当チームを作り、それぞれの作業において分担を決めればより楽な引越し作業になるかもしれません。あらかじめ計画を立てておけばスムーズに事が進みます。
次に、個別の事項において引越し作業を楽に進めるコツを考えていきます。まずはあらかじめ、移転先のオフィスレイアウトを作成しておきましょう。そうすることによって、引越しの際のオフィス什器やデスクの配置シミュレーションができ、移転先でもスムーズに各種荷物を置くことができるでしょう。オフィス什器が古いものであり、新規に購入する必要性があれば引越しを機に買い替えておけば心機一転をはかれる効果も考えられます。次に、梱包する資材を準備し、個数を確認するという作業です。用意が出来たら荷物を梱包しますが、その際に荷物の名称が入ったラベルなどを貼っておけば、引越しを専門業者に頼んだ場合は分かりやすく移転先に運んでくれることでしょう。
以上のようなコツを駆使すれば、従業員一人一人にとって引越しは楽な作業となり、企業にとっても新オフィスに移転してすぐに業務を再開できるというメリットが生まれてきます。
また、引越しの際に発生する余分なゴミの処分も必要となってきます。家庭ごみや粗大ごみをきちんと分けて処分のと同様に、公共のゴミ業者では処理できないような不用品は専門業者に依頼して処分してもらいましょう。
いかがでしたか。家庭に比べて、オフィスの引越し作業は担当者を始めとして、従業員全体が取り組むべきものとなります。移転の意味をよく理解し、一人一人がしっかりと引越しに関して協力していけば、スムーズな移転をすることができるでしょう。