現代は「ストレス社会」と呼ばれています。仕事のあらゆる局面においてストレスがかかる可能性が高くなっており、最悪の場合それで体調を崩してしまうこともあるのです。ストレスは仕事のみならず、日常生活の中で避けては通れないものなので、うまく付き合っていく方法を考えなければなりません。今回は特に、オフィス内で発生しうるストレスの正体を暴くことで、改めて問題提起をしていきたいと思います。
毎日オフィス内で仕事をする中で、知らず知らずのうちにストレスを感じてしまう要因はいくつかありますが、今回はその中でも代表的な6つのものを考えていきましょう。
1:音
日常生活の中で耳にする機会の多い音には色々な種類がありますが、オフィス内のそれは一種独特なものがあります。パソコンのキーボードを叩く「カタカタ」と言う音。電源の入っているパソコンの、ファンの稼働音。複合機(オフィス什器)におけるFAXの受信音、コピーの際の作業音。さらには会議中の人の話し声。はたまた外で車が通りすぎる音や工事中の騒音などが考えられます。こうした音は、普段は気にならなくても、あるきっかけで気になりだすと仕事への集中力を欠き、ストレスの原因にもなってしまうので注意が必要です。また逆に、全く静かな環境というものも人を不安にさせたり、集中への阻害要因になることも覚えておくと良いでしょう。こうした要因への対処法として、リラックス効果があるような(自然音などの)バックミュージックをオフィス内にさりげなく流すという手段があります。
2:人の視線
人は基本的に、誰かに見られている、という自覚があると自然とストレスを溜め込んでしまいます。作業中のパソコン画面を後ろから見られている気がする。上司に監視されている気がする。オフィス内においては、時にそう感じてしまう瞬間が誰しもあり、ストレスの原因ともなりえます。こうしたことへの対処法としては、全体では難しくとも、四方をパーテーションなどで区切られたデスクを1つでも多く用意し、そこで働ける環境を用意するという手法が考えられます。
引き続き、オフィス内におけるストレスの原因を探っていきましょう。
3:オフィス内の明るさ
私たちは一日を過ごす中で、実にいろいろな「光」を身体に浴びています。窓から差し込む自然の太陽光を浴びる、ということであれば健康的なイメージも強いですが、仕事をしている人にとっては蛍光灯の明かりはもちろんのこと、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの人工的な明かりを凝視する機会も多いと思われます。特にこの人工的な明かりは注意が必要で、見つめすぎはストレスがたまり、眼精疲労や肉体的な影響(肩こりや腰痛など)の原因にもなります。近年、パソコンから発せられる光であるブルーライトを何パーセントか軽減する「PC用メガネ」などが販売されており、人気商品になっています。こうしたグッズなどをうまく活用し、健康的な明るさを享受しましょう。
4:ゴミゴミした社内
特に繁忙期などは目の前の仕事に夢中になるあまり、ついついデスク周りの整理整頓を怠ってしまう可能性が高くなります。それがオフィス内の多くの従業員に蔓延してしまうと、結果的に掃除の行き届いていない、ゴミゴミしたフロアが出来上がってしまうのです。近年では社内禁煙が進んでいるものの、かつてはオフィス内で煙草を吸った結果煙が充満し、非喫煙者にとっては辛い環境となっている場合もありました。こうした環境は従業員のストレスの原因にもなってしまうので、適宜社内清掃の時間を取って全従業員で行うなどの工夫を凝らしましょう。
さらに、社内ストレスの要因となるものを見ていきましょう。
5:オフィス内の広さ
朝の通勤でギュウギュウ詰めの満員電車に乗り、やっとオフィスにたどり着いたと思ったらそこも狭い環境だった……。「閉所恐怖症」という精神的な病の一種があるように、人間は狭い空間だと自ずとストレスを感じてしまう生き物です。社会人(特に内勤勤務の人)にとって、一日の大半を過ごすオフィスくらいはある程度ゆとりを持った空間内で仕事をしたいところでしょう。具体的には、1人あたり2坪から2.5坪ほどの広さがあればある程度快適に仕事ができると言われています。しかしそれだけでは必ずしも十分とは言えず、そこにさらにデスクの広さも加味しましょう。一つの基準として、約1400ミリ程度の幅があればスムーズなデスク作業が可能となります。もちろん、普段から整理整頓をきちんとし、「狭いデスク上」を作り出さない、ということも大切な作業です。
6:オフィス内の空気
さきほども上げたようにかつて社内禁煙が進んでいなかった時代は、オフィス内に喫煙者による煙草の煙が充満している、という光景は珍しくありませんでした。近年の健康志向により禁煙が社を挙げて取り組まれるようになり、その結果オフィス内の空気も綺麗になってきていますが、決して十分ではありません。空気は目に見えないものですが、悪い空気を吸うことによって知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいる可能性すらあるのです。労働安全衛生規則では「気積」と呼ばれる、従業員一人当たりの適切な空気の量というものが決められています。オフィスの広さによって変わってきますが、十分な換気をすることによって基準が満たされる場合も多くなっています。新鮮な空気を手に入れるためにも加湿器や空気清浄機を有効活用するようにしましょう。また、観葉植物を置くのも一つの手です。見た目にもオフィス内が華やかになるアイテムなので、導入の価値は高いものとなっています。
以上みてきたように、オフィス内を取り巻く「ストレスの種」は、実は色々なところに潜んでいます。知らず知らずのうちにストレスを溜め込み仕事に影響が出ないように、その原因を自覚し、少しでも快適な仕事をできるように普段の生活習慣も改善してみましょう。