企業が利益追求と言う本来の目的を達成するためには、従業員1人1人の活躍が欠かせません。仕事をどのように効率的に行うかはミーティングなどを重ねた上での、従業員の考え方次第な面がありますが、企業側から従業員のモチベーションを上げるための施策にはどのような方法があるのでしょうか。オフィスの環境と言う側面から、この問題に関して考察していきます。
オフィス内で働く従業員のモチベーションをアップさせるために、まず考えられるのは職場環境の改善です。「気持ちよく働ける職場」を目指すことは自ずと従業員の生産性もアップさせることにつながるからです。具体的にはどのような方法が考えられるでしょうか。
最初に、勤怠管理のシステム化です。「あの人は早く帰っているのに評価されていてズルい」「残業しているのに、それが賃金に反映されていない」と言う不満は、上司であれば誰しも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。何時に出勤して何時に退社している、という従業員一人一人の基本的な勤務状況を管理することができれば、そうした不満も少なくなります。具体的にはタイムカード制の導入が改善への最善の道となるでしょう。しっかりと管理されていれば、それに基づいて評価もしやすくなります。
次に、人事考課の見直しを行う、ということです。企業の中には、特定の時期に従業員とその上司が1対1で、それまでの働きぶりを評価し、業務改善などのアイデアを出すなどの考課の時間が設けられることでしょう。業務は現代の仕事において多様化しています。それなのに評価基準が一定だと社員の不満もたまってしまいます。現実に即した評価方法を新たに作り出し、それに基づいた人事考課が行われれば、社員にとっても不満が少なくなり、今後の仕事の指針となる貴重な時間になるでしょう。
引き続き、社員のモチベーションをアップさせるオフィス環境を考えていきます。
企業で働く従業員にとっては、休息が欠かせません。特に、企業が定めた休日以外に有給休暇を取得することは、リフレッシュできる大きな要素となります。しかしながら、日本は世界と比べても、最も有給休暇の取得率が少ない国と言われています。それだけ日本人が勤勉であることの証ともいえますが、従業員は身体が資本です。有給休暇を少しでも取得しやすい環境づくりを目指すのが企業にとって「義務」と言っても決して過言ではないでしょう。
「休む」ということと裏腹な関係にある「残業」問題の解決も職場環境改善には欠かせません。幸か不幸か、近年の日本は残業が社会問題となっており、国を挙げて「働き方改革」が提唱されるなど、過度な残業は忌み嫌われる傾向が強くなってきています。しかしながら、実際の企業内では仕事量がうまく削減できず、残業は相変わらず横行している場合も少なくありません。ミーティングを積極的に開くなどし「どうしたら残業を少なくできるか」といったことをもっと積極的に話し合う必要があります。適度な仕事量であれば従業員のモチベーションも上がり、生産性も上がるのです。「残業がかえって企業を衰退させる」くらいの極端な気持ちをもって環境の改善に取り組んでみましょう。
これまでは、従業員が行うべき仕事の「システム面」「待遇面」からモチベーションアップの方法を考えてきました。しかしながら、1日を過ごすオフィス内の「環境」の良さも従業員にとっては見逃せない要素となります。具体的にはオフィスの内装となりますが、どのようなものが良いのかを考えていきましょう。
近年では、主要産業となりつつあるIT企業の福利厚生を意識したオフィス内装が人気になっています。「癒し」や「遊び」がテーマとなっており、心ゆくまでリラックスすることで、次の仕事への活力源としている従業員も少なくありません。社内専用のコーヒーメーカーやお菓子の販売機を置いて、いわゆる「ブレイクタイム」を提供したり、昔懐かしいピンボールや卓球台といった遊技台を設置して従業員同士が楽しみ、コミュニケーションを深めるといったことが実際に行われているのです。
ただし、従業員が楽しめるからといって、こうしたもののコストを度外視して設置するのは考えものです。設置に必要なスペースもあまり広くとりすぎてしまうとかえって仕事の邪魔となり、リラックスしてもらうつもりがかえってマイナスの影響を与えかねません。あくまでシンプルにスペースをとり、こうしたものを数多く置かないようにしましょう。
オフィス内におけるリラックススペースの整備は、従業員に楽しみをもたらしますが、普段の仕事中でも気持ちをフレッシュにしてくれる要素が存在します。それは、観葉植物を主体とした「緑」の存在です。
オフィスシーンのみならず、自宅やイベントホールなど、観葉植物の存在は多くの場面において私たち人間の心を癒してくれます。オフィス内にこうした緑を効果的に配置すると、見るだけでもひと時の安らぎとなることでしょう。単純に植木鉢を横並びに置くだけでなく、本格的な土壌を用意し、植えこんでいくという方法も考えられます。また、観葉植物だけでなく水槽を設置して、そこに海洋生物を飼うといった手法も癒しの存在になることでしょう。そしてこれらは、従業員の癒しの存在になるのみならず、外部からの来訪者にとっても良いアピールとなります。
しかしながら、これらは「生き物」です。管理、維持をしていくのは当然であり、それなりのコストがかかることも想定しておかなければなりません。担当者を任命して、世話をしてもらいましょう。万が一枯らしたり放置してしまうと逆に従業員のモチベーションを下げる結果になりかねないので注意しましょう。
いかがでしたか。従業員のモチベーションをアップさせるオフィス環境に関して、今回は仕事の環境面と内装にスポットを挙げて考察してきました。ミーティングを重ねて、従業員にとって真に毎日を過ごしやすい環境とはいったいどういうものなのか、よく検討してみましょう。