人気ドラマや映画を観ていると「あぁ、こんな場所で仕事をしてみたい!」と思うような素敵なオフィスに巡り会うことがあります。企業のオフィスもインテリアや空間デザインにこだわる時代になりました。こんなところならバリバリ仕事が頑張れそうと思えるオフィスデザインの例を、人気映画・ドラマの中から5つご紹介します。
最近オフィスデザインが話題になった映画といえば「マイ インターン」でしょう。さまざまな要素が実に魅力的に混在したオフィスで、ブルックリンのアパレル系ECサイト会社の雰囲気をとても良く伝えています。
ナンシー・マイヤーズ監督は毎作品、インテリアにも大いにこだわることで知られています。この映画の制作にあたっても、実在のITオフィスを見学したといわれています。映画をよりリアルにみせるために、インテリアにこわだっているのです。
「マイ インターン」のオフィスは、いわゆるエクレクティック(折衷主義)と呼ばれるスタイル。いろいろなスタイルをミックスしつつ、センスよく一つのインテリアにまとめるのがポイントです。
オフィスには、現代的なエルゴノミックチェアがあるかと思えば、ルイ15世時代の復刻デザイン、ルイ・ゴーストチェアなどクラシカルな家具も置いてあります。真っ白なデスクにMacがずらりと並び、ブラック×ホワイトのストライプカーペットにきれいなさし色の家具をさりげなく添えて、シックなミッドセンチュリーモダンの雰囲気も感じさせます。映画全体を通して照明の選び方も美しく、見どころの一つです。機能的なインダストリアルデザインと、クラシカルデザインその他、さまざまなセンスが実に見事に融和したオフィスデザインといえるでしょう。
日本マイクロソフトの品川本社オフィスは、社員約3200名が働くオフィスです。これまでにも多くのメディアで取りあげられ、「下町ロケット」「安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~」などのロケ地として使われてきました。ワークスタイルの変革を目指す同社では、オフィスツアーも開催されていて、2011年の移転以来すでに5万人近くの人が参加しています。
同社では6割の社員が自分の固定席を持たない「フリーアドレス」というシステムで勤務しています。各自過ごしやすいところ見つけて好きなスタイルで仕事をし、コミュニケーションはMicrosoft Lyncというツールですぐに取れるようになっており、マイクにつなげばその場で音声会議を行うこともできます。お洒落なソファが並ぶオフィス内は、まるでインテリアショップのよう。少人数のミーティングは「ハブ」と呼ばれる小部屋で行われています。メニュー豊富な社員食堂にPCを持ち込んで仕事をするもよし、個室にこもって一人で集中してアイデアを練るのもよし。ビリヤード台で気分転換もできます。遊び心いっぱいのオフィスには、働く人のイマジネーションを刺激する工夫がたくさんあります。
ドラマや映画では実在のオフィスを舞台として借りることが多いのですが、小栗旬さん主演の「リッチマン、プアウーマン」は、オフィスのセットを本格的に作ったドラマでした。登場する「株式会社ネクストイノベーション」のオフィスは、何と実際に使えるほどの規模で、公式サイトまで作り、オフィス訪問も受け付けていました。
海外も含めIT企業オフィスのいいところばかりを集めて作ったというセットは、とにかくかっこいい。マホガニーカラーの素敵なエントランスが印象に残っている人も多いでしょう。奥行きのある広いオフィスにはアメリカンビンテージ風のソファやテーブルが一見ラフに配置されており、IT企業らしい自由な空間性を作っています。
最もシンボリックなのは、壁に作られた巨大なホワイトボードでしょう。誰でも自由に書き込みができるようになっていて、まさにここからイノベーションが生まれるのだろうなと想像させます。円形のデスクやハニカムの仕切り、パープルの背もたれがついたオフィスチェアなど、実用性一辺倒ではなくインテリア性の高い家具を備えているところに、若き社長が率いる企業の雰囲気を感じることができるオフィスになっています。
美しいオフィスの代表格として必ず登場するのがシリコンバレーのGoogle本社オフィス。本社を舞台にした「The Internship(インターンシップ)」というコメディ映画まで作られています。
総面積47,038㎡という巨大な敷地内には、楽しい仕掛けが満載。庭にフラミンゴと戯れる恐竜がいたり、階段に飛行機が浮遊していたり、Google Earthのパノラマを体験できるスポットやボーリング場まであり、遊園地に来たかのような楽しさがあります。最も有名な社員食堂は、食べ放題&飲み放題。さらに社員が自分で調理できるキッチンスペースも用意されています。いくつもあるカフェも、もちろん無料で利用できます。
世界各国にあるオフィスも、それぞれかなり個性的なオフィスになっています。チューリッヒオフィスは、上階から螺旋状の滑り台で降りてくることができます。六本木ヒルズにあるGoogle Japan本社オフィスは、世界中から集まる人を喜ばせるため、日本らしく「和」の香りを漂わせる工夫を施しています。個室入口には暖簾がかかっていたり、仕切りに障子が使われていたり、食堂には和食メニューの日も。窓外に広がる都会の景色と対照的な作りが魅力のオフィスです。
会社にいる時間はとても長いもの。ならばオフィスを豊かに魅力的にすることで、社員が楽しく幸せに過ごす時間を増やすことができます。映画やドラマに使われるオフィスは「こんなところで働いてみたい」という理想型。一部だけでも取り入れてみてはいかがでしょうか。