
従業員満足度は、優秀な人材の定着や企業の成長につながる重要な要素です。従業員が働きやすい環境を提供し満足度を高めることにより、企業は多くのメリットが得られます。今回は、従業員満足度が注目される背景や、満足度を上げる方法を解説します。
従業員満足度とは、社員が福利厚生やマネジメント、職場環境、働きがいなどについてどの程度満足しているかを表す指標です。英語「Employee Satisfaction」の頭文字を取り、ESとも呼ばれています。
近年、従業員満足度を重視する企業が増えています。従業員満足度が重視される背景と、従業員満足度を構成する要素を紹介します。
従業員満足度が重視されるのは、人材の確保と定着につながるためです。
少子高齢化が進む日本では生産年齢人口の減少が続き、採用が難化しています。そのようななか、優秀な人材を確保するには、求職者が働きたいと思えるような魅力的な企業であることは必須といえるでしょう。
その上、従来の終身雇用制が崩壊しつつあるため、採用できたとしても定着するとは限りません。職場環境に満足できない場合、より良い職場を求めて転職を選ぶことが一般的になりつつあります。
また、価値観の多様化によりワークライフバランスを重視する人が増えました。会社を第一とした職場環境では離職につながりやすくなるため、従業員満足度を向上させる必要があるのです。
従業員満足度を構成する要素には、下記があげられます。
企業理念・行動方針 | 企業が掲げる理念や行動方針に共感でき、期待や誇りを持てるか |
仕事内容 | やりがいや自己の成長が感じられる仕事内容であるか |
マネジメント・評価 | 適正な業務指示や成果の評価が行われているか |
人間関係 | 上司や部下・同僚と良好な関係を築けているか |
職場環境 | 業務量や働き方がライフスタイルに合っているか、業務環境が整っているか |
待遇 | 成果やポジションに応じた給与水準が保たれているか |
福利厚生 | 手当や休暇、スキルアップ制度など、従業員が働きやすい制度が整っているか |
従業員満足度を向上させるために効果的な方法を6つ紹介します。
企業理念やビジョンへの共感を得るには、社員との認識のギャップを埋める必要があります。
ミーティングを通じてビジョンを共有する機会を設ける、企業理念に関する経営層と現場社員の対談内容を社内報に掲載するなどの方法が有効です。
また、企業の信条や行動指針を簡潔に記したクレドカードを配布すれば、目にする機会が増えることで意識されるようになり、価値観を共有しやすくなります。
福利厚生は、従業員満足度と深く関わります。新たな制度の追加を考慮しても良いでしょう。
福利厚生の例には、休暇制度の新設や資格取得のサポート、住宅や食事、健康診断の補助などがあげられます。
中でも従業員の満足度につながりやすいのが、休暇制度や住宅・食事の補助です。
休暇制度の充実は、ワークライフバランスの実現に大きく影響します。アニバーサリーやリフレッシュ休暇のほか、育児や介護などとの両立を視野に入れた制度なども、満足度の向上につながりやすいでしょう。
また、物価高騰が続く中、家賃や食費に関する項目も有効です。ランチ代の支給や、外部サービスの利用を導入している企業も増えています。
評価制度に公平性があるかも従業員満足度に大きく影響します。自身が適正に評価されていないと感じれば、満足度の低下につながります。
年齢・勤続年数を重視した評価は、終身雇用・年功序列を前提として成立する制度で、見直しが必要です。そのため近年では、年齢や勤続年数に関わらず公平に評価できる360度評価を導入する企業も増えています。
職場での人間関係は、仕事のモチベーションに大きく影響します。人間関係に関する不満は、会社や仕事に対する満足度の低下につながり、離職の要因となります。
人間関係の問題の多くは、コミュニケーション不足によって発生します。社員コミュニケーションを活性させるためには、社内イベントやランチ会の開催や社内SNSの活用、メンター制度の導入などの施策を導入する方法が有効です。
社内コミュニケーションの改善方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
「社内コミュニケーションを改善するメリットとは?おすすめの方法も紹介」
仕事のやりがいが感じられない状態では、達成感やモチベーションにつながらず、従業員満足度は上がりません。
社員にやりがいを感じてもらうには、定期的な面談が有効です。
1on1ミーティングを実施することで、部下が自身の成長を実感しやすくなり、やりがいを持って働けるようになります。また、1対1のコミュニケーションのため、ワークスペースでは持ち出しにくい相談のきっかけともなり、信頼感の構築にもつながります。
オフィスは社員が多くの時間を過ごす場所であるため、オフィス環境を整えることは、従業員満足度の向上につながります。
また、新しい発想の創出や生産性の向上には、快適で機能性に優れた働きやすい環境が欠かせません。
仕事に集中できるスペース、会議スペース、リフレッシュスペースなど、目的別のスペースが確保できているか確認しましょう。従業員が共有して使用する複合機やシュレッダー、資料置き場などの導線がスムーズであるかも重要です。
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従業員満足度の向上により期待できる効果は多岐にわたりますが、その中でも大きな効果を3つ紹介します。
従業員満足度が高ければ、仕事に対するモチベーションが高まり、前向きに仕事に取り組むようになります。積極的な行動が生まれ、高い成果と生産性の向上が望めます。
また、従業員満足度が高い職場では、従業員同士の人間関係が良好になり、自然とコミュニケーションが活発化します。その結果、業務の効率化やチームワークの強化も実現し、生産性の向上につながります。
さらに、円滑なコミュニケーションは従業員に「生産性の高い仕事ができている」という実感をもたらすため、仕事への意欲や満足感をさらに向上させる好循環を生み出します。
従業員満足度が高いと、会社に対する帰属意識もおのずと高くなり、人材の流出を防げます。また、能力のある従業員が定着することで、会社の業績向上が期待できます。社外への認知度が高まり、企業の魅力も向上するでしょう。
採用においても有利となり、リファラルを含めて人材を確保しやすくなり、採用活動にともなうコストを抑えられます。
従業員満足度が高い企業では、従業員が自社や自社の製品・サービスにポジティブな意識を持つようになります。
そのため、顧客に対してより質の高い商品やサービスを提供しようとする姿勢が強くなり、結果的に顧客満足度の向上につながります。
従業員満足度を犠牲にして顧客満足度を上げようとしても、モチベーションや生産性の低下により長続きはしません。従業員満足度があってこそ顧客満足度の向上が可能です。
従業員満足度の向上は企業にとって多くのメリットをもたらします。従業員満足度を向上させるには、さまざまな観点から社員が働きやすい環境を作ることが鍵です。まずは、社内制度やオフィス環境などを見直すことから始めてみましょう。