
業務効率化やワークライフバランスの向上が求められるなか、ワークプレイス戦略の重要性が高まっています。しかし、そもそもワークプレイス戦略とは何か、もしくは必要性を感じないという方もいるかもしれません。そこで今回は、ワークプレイス戦略の概要や考え方などについて解説します。
「ワークプレイス戦略」とは、組織を成功に導くために必要な労働環境の設計・戦術のことです。リモートワークができる環境を整え自宅をワークプレイスにする、活用しきれていない拠点を統合するなど、自社の経営戦略や状況に応じて働く場所の最適化を目指します。
なお「ワークプレイス」とは、その名の通り仕事をする場所を指しています。仕事をする場所というとオフィスを思い浮かべる方が多いと思いますが、「ワークプレイス=オフィス」ではありません。
オフィスとは、企業内の事務作業を行う場所を指す言葉です。一方、ワークプレイスはオフィスに限らず、自宅や出張先、カフェ、デジタル空間など、仕事をする場所すべてを含みます。
働き方改革の推進などによってオフィス以外の場所で仕事をする人々が増えたことから、オフィスと区別するためにワークプレイスという言葉が使われるようになりました。
ワークプレイスの最適化を図るためのワークプレイス戦略は、企業にとって重要なものです。仕事をする場所の快適さは生産性や従業員満足度に直結します。そして生産性や従業員満足度の向上は、企業の競争力強化にもつながります。
これといった戦略がないと、ワークプレイスはただ単に「コストがかかるもの」で終わってしまうでしょう。しかし、戦略的に活用すれば、ワークプレイスは企業価値を高めるツールになり得ます。
近年、IT化やDX、働き方改革の推進、労働者のニーズや価値観の多様化、新型コロナウイルス感染症などにより、企業を取り巻く環境が大きく変化しています。
さらに、急速に進む少子高齢化によって生産年齢人口が大幅に減少し、人手不足にあえぐ企業も少なくありません。
こうした社会の変化に対応し、優秀な人材を確保して企業を成長させていくには、生産性や従業員満足度を高めるワークプレイスの構築が欠かせません。
そのため、自社のワークプレイスを最適化して、従業員一人ひとりが快適に働き続けられる環境を整える「ワークプレイス戦略」の注目度が高まっています。
ワークプレイスを戦略的に活用するには、自社の現状を洗い出し、入念な計画を立てることが大切です。適切な戦略が立てられないと、かえって生産性が落ちたり従業員同士がコミュニケーションを取りづらくなったりするリスクがあります。
ここではワークプレイス戦略の基本的な考え方を、ステップごとに解説します。
ワークプレイス戦略にはさまざまなモデルケースがありますが、他社で成果につながっている戦略が自社に合うとは限りません。自社に合ったワークプレイス戦略を考えるには、定量データと定性データを収集・分析して自社の現状を把握することが重要です。
定量データとは、測定可能な数値の情報です。ワークプレイス戦略においては、既存のオフィスや拠点の面積に対する稼働率や在籍率、出社率、会議室利用率などがこれにあたります。
定性データとは、人間の感情や行動といった数値化が難しい情報です。アンケートの自由記述欄に書かれたコメントなどがこれにあたります。ワークプレイスについてのワークショップを開き、従業員の声を集めるのも効果的です。
また、データの収集・分析とともに経営層にヒアリングを行い、ワークプレイス戦略の目的や方向性も定めておきましょう。目的や方向性が曖昧だと、途中で内容がブレてしまいます。
自社の現状が把握できたら、その情報をもとに自社の課題や改善すべきポイントなどを洗い出しましょう。
丁寧に情報を分析すれば、「リモートワークの導入でオフィスがあまり使われていない」「従業員同士のコミュニケーションが不足している」など、さまざまな課題が見えてくるはずです。自社の課題や改善点が把握できたら、どのように取り組むのか方針を決定しましょう。
例えば、リモートワークの従業員が増えて使われていない座席が多い場合、その座席にかかっているコストが無駄になります。出社している従業員数に応じた面積のオフィスに移転すれば、固定費の削減が可能です。
コミュニケーション不足が課題なら、ワークスペース内のレイアウトを変更したりリフレッシュスペースを設置したりすれば、課題が解決するかもしれません。
どのようなワークスペースがあれば従業員が働きやすくなるか、生産性が上がるか、コストを削減できるかなど、さまざまな観点から考えましょう。
ワークプレイス戦略の方針が固まったら、ワークスペースを活用するための戦略を設計します。オフィス利用率や会議室利用率、サードプレイス利用率、リモートワーク率などを定め、その数値に合った立地や面積を考えましょう。
複数の拠点がある場合や、サテライトオフィスが稼働している場合などは、それぞれの場所をどう組み合わせて活用するかも考えます。
また、オフィスの移転やサテライトオフィスの導入を考えている場合は、移転先や契約する事業者の選定も行いましょう。
ワークプレイス戦略の実行には、それなりの費用がかかる場合があります。例えば、今よりも面積が狭く賃料が安いオフィスに移転すれば、これまでよりも固定費が下がります。しかし、仲介手数料や保証金、オフィスの改装費など、高額な初期費用が発生するでしょう。
そのため、初期費用やオフィスの賃料、サードプレイスの利用料などを算出して、イニシャルコストとランニングコストのシミュレーションを行う必要があります。
また、ワークプレイス戦略の施策による効果も算出し、損益分岐や投資回収時期の設定も行いましょう。
関連記事:「損益分岐点を算出するには固定費と変動費の分類が重要|損益分岐点を下げる方法も紹介」
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企業を取り巻く環境の変化によりワークスペースが多様化し、ワークプレイス戦略の重要性が増しています。ワークスペースの最適化は生産性や従業員満足度を向上させ、企業価値を高めるのにも役立ちます。
自社に適したワークプレイスを実現するためには、現状把握、方針決定、戦略設計の順に進め、費用と効果も算出した上で臨むと良いでしょう。
場合によっては、オフィスを移転させるといったソリューションも視野に入ってくるかもしれません。オフィスの移転について詳しく知りたい方は、ぜひ下記の記事もご覧ください。