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事業承継型M&Aとは|現状やメリット・デメリット、流れを解説

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事業承継型M&Aとは|現状やメリット・デメリット、流れを解説

事業承継型M&Aとは|現状やメリット・デメリット、流れを解説

企業成長戦略を模索する経営者にとって、M&Aは有効な選択肢のひとつです。特に近年注目を集めているのが「事業承継型M&A」です。帝国データバンクの2024年調査によると、中小企業の後継者不在率は52.1%にも上り、多くの優良企業が事業承継の課題を抱えています。これは買い手企業にとって大きなチャンスでもあります。

今回は、買い手企業の視点から事業承継型M&Aの概要、メリット・デメリット、そして成功への道筋を詳しく解説します。

事業承継型M&Aとは

事業承継型M&Aとは、M&Aにより社外の後継者に事業を承継することです。

そもそも事業承継とは、企業の経営や個人事業の運営を後継者に引き継ぐことをいいます。M&Aは、企業または事業の買収や企業同士の合併を指す総称です。

事業承継の方法には、親族を後継者とする親族内承継、社内の従業員を後継者とする従業員承継、事業承継型M&Aがあります。

事業承継型M&Aは事業承継の形態のひとつで、親族や従業員以外の第三者に事業を引き継ぐことです。事業または会社自体を後継者に売却して、事業や企業を存続させる手法をいいます。

事業承継型M&Aの現状

事業承継の方法のひとつである事業承継型M&Aは増加傾向にあります。

帝国データバンクが2024年に実施した「全国企業『後継者不在率』動向調査」(全国・全業種約27万社を対象)によると、買収や出向が中心の「M&Aほか」の割合は20.5%でした。

調査開始以来、初めて2割を超え、事業承継型M&Aを選択する企業の割合が増加していることがわかります。

また、中小企業庁の「中小企業白書 2023」によると、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談者数と事業引継ぎ成約件数も年々増加傾向にあります。

事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継やマッチングを支援する公的機関です。利用数の増加から、中小企業でもM&Aなどの事業承継への関心が高まっていることがわかります。

出典:

帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)

中小企業庁「2023年度版 中小企業白書 第2章 新たな担い手の創出

事業承継型M&Aが増加している背景

事業承継型M&Aの増加の背景にあるのは、中小企業の後継者不足の深刻化です。前述の「全国企業『後継者不在率』動向調査(2024年)」には、後継者不在率は52.1%にも上るとあります。

2011年から2021年まで65%前後を推移していた後継者不在率ですが、2022年以降は60%を下回るようになり、改善傾向がみられました。しかし、半数以上の中小企業は後継者不在の問題を抱えており、後継者不足が解決していないことがわかります。

日本において全企業数の99.7%を占めるのは中小企業です。国力の軸にもなっている中小企業が後継者不足により減少すると、経済にも影響が生じる可能性が考えられます。

中小企業庁は、中小企業の事業承継の促進や事業承継税制の拡充を目的に事業承継・引継ぎ支援センターを設置しました。事業者の利用も増加しており、事業承継型M&Aが増加している理由のひとつとなっています。

M&Aにより経営資源の引継ぎを実施する中小企業者を支援するために、「事業承継・引継ぎ補助金」による資金面でのサポートも行われています。

M&Aにおける補助金の活用について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
M&Aに活用できる補助金「事業承継・M&A補助金」とは

出典:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)

事業承継型M&Aのメリット

事業承継型M&Aのメリットを、買い手側と売り手側それぞれの視点から紹介します。

買い手視点のメリット

事業承継型M&Aの買い手側のメリットは、ブランドや人材、技術などを短期間のうちに獲得できることです。

具体的には、資格をもつ人材や即戦力となる人材の確保、新たな分野のノウハウや技術の獲得につながります。

結果として、自社のシェアの拡大や新規事業への進出などに踏み込めるのも事業承継型M&Aを利用するメリットです。

売り手視点のメリット

譲渡企業であるM&Aの売り手のメリットとして、後継者問題の解決があげられます。個人事業主や中小企業にとって、後継者不足は事業承継の課題のひとつとなっています。

事業承継型M&Aを後継者問題の解決策として活用するメリットは、広く後継者を募れることです。親族や従業員に後継者としての適任者がいない場合でも、M&Aによって外部に後継者を求められます。

廃業を回避できるのも事業承継型M&Aのメリットです。長年営んできた事業を後継者に引き継ぐことになるため、雇用や取引先との関係を維持できます。結果として、取引先や従業員の生活を守れる利点があります。

事業承継型M&Aのデメリット

事業承継型M&Aにもデメリットがあります。買い手側と売り手側それぞれの視点から紹介します。

買い手視点のデメリット

事業承継型M&Aを実行する際には、売り手企業の事業用資産や株式の取得が必要です。つまり、まとまった資金を用意しておかなければなりません。

自己資金が不足する場合は金融機関などから融資を受けるなど、資金を調達する必要があります。

また、事業承継型M&Aにより、経営権は売り手側の企業から買い手側の企業へと移ります。注意しなければならないのは、経営権の移転により労働環境や会社の風土が変わることで従業員に不安が生じる可能性があることです。

結果として、人材が離れてしまうケースも少なくありません。

また、PMI(経営統合)がうまくいかないことにより、期待した相乗効果を得られず、想定していたよりもリターンを得られないリスクもあります。

売り手視点のデメリット

すべての条件を満たすような買い手が見つかる保証はありません。M&Aによって、経営方針が大きく変わるリスクがあります。

また、事業承継型M&Aで条件に合う企業が見つかったとしても、すぐに経営統合に結びつかないこともあります。

譲受企業は譲渡企業の経営状況や事業承継による利点などを踏まえてM&Aを決断するため、交渉が難航するケースも少なくありません。

そのためM&Aは、自社の経済環境なども踏まえて十分な時間を確保し、事前準備を徹底することが重要です。その際は、M&Aコンサルティングを活用するのもひとつの手です。

M&Aコンサルについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
M&Aコンサルティングとは|依頼できる内容や費用相場、依頼先を紹介

事業承継型M&Aの流れ

事業承継型M&Aは、おおむね下記の流れで行われます。

1.必要な準備事項を把握する
2.経営状況や経営課題を可視化する
3.事業承継のための経営改善を実行する
4.事業承継計画書を策定する
5.マッチング
6.事業承継の実行

事業承継型M&Aを実行するにあたり、準備事項の把握が必要です。そのためにも、M&Aの方向性や目的を設定し、必要に応じてM&Aアドバイザーに相談するなど、事業承継に向けた準備を進めておきます。

2~4については、事業の譲渡を考えている企業において必要なステップです。事業承継型M&Aを成功させるには、譲受企業候補にとって魅力的な企業や事業でなければなりません。経営状況や経営課題を洗い出し、譲受企業にとっての不安要素を取り除いていきます。

譲渡企業で事業承継計画書を策定し、事業承継の方向性や事業理念を明確にした後は、計画に基づいたマッチングを進めていきます。マッチングは、M&Aアドバイザーのサポートを受けて進めるのが一般的です。

マッチングにより譲受企業と譲渡企業の双方がM&Aに合意した後は、基本合意書の締結やデューデリジェンスのステップに移行します。譲渡企業の調査で問題がなければ、最終合意契約を締結してPMI(経営統合)へと進んでいく流れです。

まとめ

後継者不足の解決策のひとつに、事業承継型M&Aがあります。企業の外部に後継者を求める中小企業でも注目されている方法です。親族内や従業員に適任の後継者が見つからない場合は、事業承継型M&Aも候補のひとつといえます。

なお、事業承継型M&Aの買い手企業が直面する大きな課題のひとつが「オフィス統合」の問題です。買収した企業の従業員を自社オフィスに統合するか、あるいは新たなオフィスを構築するかなど、人員配置と業務効率の両立に悩むケースが少なくありません。さらに、異なる企業文化を持つ組織を統合するためには、コミュニケーションを促進するオフィスレイアウトの工夫も重要となります。なお、オフィスを統合しないケースでも、M&Aに際した組織体制変更にあたり、既存のオフィス戦略の見直しは急務です。

このようなM&Aや事業承継にともなうオフィス戦略については、MACオフィスの「WEOマネジメント」をご活用ください。WEOマネジメントでは、現在・中長期の事業計画に即した働く環境の最適化を計画立案いたします。完全成功報酬型・着手金無料で安心してご相談いただけます。

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