企業の状態を数値化した決算書、いわゆる財務諸表は「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」の3つの書類から構成されます。社会人ならば最低限知っておきたい、これらの読み方のポイントを押さえておきましょう。
決算書の一つである貸借対照表は、企業の財政状態を表す書類です。資産と負債、そして資産から負債を引いた純資産の3つの項目で構成されています。この書類では以下の基礎を押さえておきましょう。
①流動比率(%)…(流動資産÷流動負債)×100
お金に換えることのできる資産と、支払わなければいけない負債の比率です。この数値が200%を超えているようであれば、短期的(1年間)な資金繰りは問題ないと考えてよいでしょう。
②当座比率(%)…(当座資産÷流動負債)×100
資産の中でもお金に換えやすいものを当座資産といい、それと流動負債の比率です。資金繰りの安全性となる基準の数値は120%程度とされています。
③自己資本比率(%)…(純資産÷総資本合計)×100
負債と純資産を合わせたものを総資本といい、この中で純資産の割合が高ければ高いほど借り入れなどが少なく健全な財務体制であることが分かります。目安は業界によって様々ですが、40%あれば状態は良好といえるでしょう。
決算書の2つ目、損益計算書は一言でいうと「経営の成果」が記された書類です。売上や利益、費用や損失が記載されたこの書類で押さえておくべき基礎ポイントは以下の通りです。
①ROA(Return On Assets)=総資産利益率…当期純利益÷総資産
会社が持っているお金を全てを使って、どれだけ利益を上げているのかを見る指標です。
②ROE(Return On Equity)=自己資本利益率…当期純利益÷自己資本
これは株主から預かったお金(資本)を、どれだけ効率的に使って利益を出しているのかを見る指標です。ROEは単に高ければ良いというわけでなく、業界ごとの目安や負債とのバランスが大事です。
決算書、最後の3つ目のキャッシュ・フロー計算書はお金の流れを記した書類で、押さえておきたい基礎ポイントは以下の通りです。
①営業活動(本業)
もっとも重要な指標で、本業からの収益を表す数値。この数値でマイナスになっている場合は、再建途上、もしくは企業経営がおもわしなくない状態です。
②投資活動(投資に関係する購入、売却)
設備投資や事業拡大を行ったためにマイナスに場合もあるので、背景を知ることが大事です。逆にプラスであっても人件費を削減して増えている可能性もあります。
③財務活動
(株式・社債発行) 営業活動と投資活動の合計がプラスの場合はマイナスとなり、合計がマイナスであればプラスとなります。
決算書には企業の状態が明確に数値化されているため、慣れてくれば数値を見ただけでその企業がどんな状態かイメージできるようになるでしょう。業界によって基準となる数値も異なるため、様々な企業の決算書に目を通し、読み方の基礎を体に覚えこませましょう。