少子高齢化、人口の極所集中に伴う地方の過疎化は日本における重要な論点の一つです。そんな状況の中、最近では「あえて田舎にオフィスを構える企業」が徐々に増えつつあります。リモートワーク、テレワークの視点から、地方創生の可能性をみていきましょう。
場所や時間に囚われない働き方として「テレワーク」が普及し、その後、それがさらに発展し「離れた場所にいる人たちがライブで一緒に仕事をする「リモートワーク」に発展していきました。また、テレワークやリモートワークといっても様々な種類があり、在宅型や雇用型、自営型など多様化が進んでいます。こうした働き方の多様化は、少子高齢化の日本においても特に過疎化や人口減少が激しい地域の、地方創生に必要不可欠な要素なのです。
そうした状況に対して、国も取り組みを始めています。それが、地方創生のためにリモートワーク、テレワークを普及させようとする総務省の「ふるさとテレワーク」です。このプロジェクトは地方にモデル地域を設けてテレワークを普及させていく取り組みで、全国15の地域で2015年の7月から実証がスタートしており、実際に地方へ1000人ほどの人が移住する流れで動いています。2020年には地方への転入者数を4万人増やすことにより、都市部への転入と均衡をとり、人口の極所化を防ごうというわけです。
地方創生におけるテレワーク、リモートワークにおいては、都市部からの仕事の外注や企業のサテライトオフィスの設置がカギとなってきます。例えば、モデル地域として指定されている北海道北見市の斜里町では、都市部にある企業が「大学隣接型」「職住一体型」など、様々なタイプのテレワーク形態ができるサテライトオフィスを整え、社員を派遣しています。また、福岡県糸島市ではランサーズと提携し、クラウドソーシングによる地方での雇用創出を推進する取り組みをしていたりと、各地域によって取り組みの仕方は様々です。
このように、まずは都市部の企業が中心となって雇用を生み出し、成功例を作ってある程度のパッケージ化をすることが急務といえます。それがゆくゆくは、他地域や地元企業へも応用ができるようになり、本当の意味での地方創生につながっていくのです。
このように、地方自体に仕事はなくても、リモートワーク、テレワークをすることによって地方にいながらお金を稼ぐことができる時代になってきています。そうした人が増えていくことにより、結果として地方創生につながっていくのかもしれません。