■ Before

■ After

小金井パーク・ファミリアは1976年6月竣工の築48年のビンテージマンションであり、2024年2月に大規模修繕工事を計画していました。マンション住人の半数以上が高齢世帯ということもあり、経年劣化箇所の改修だけでなく、次世代へ引き継ぐために資産価値を高めるデザインのアップグレードを検討されていました。敷地面積4464㎡127世帯と大規模であり、どこを直したらいいのか住民だけで決めることが難しいという経緯で、MACオフィスが2022年1月からプロジェクトに参加。完成まで約2年と長期のプロジェクトでしたが、一年に一度開催される総会で合意を取るため、月に一度の理事会にて理事会員の方々と管理会社の三井不動産レジデンシャルサービスの担当者様と共に議論を重ねながら内容を詰めていきました。
こちらのマンションは自治会の会場となっており、元々、夏祭りや餅つき大会の開催など地域とのコミュニケーション形成がなされていました。イベントで振る舞う食事の準備や洗い物などは自宅で行うため、それらの作業ができる共有スペースがあると良いと理事会員の方からお話しを伺い、長い間倉庫代わりとして使われていた管理人住居スペースを有効活用できないかと提案しました。既存の間仕切りを全て解体し大広間へと変更、キッチンを交換し、手すりつきの広々としたトイレに変更することで、住民のお友達やお孫さんを気軽に呼べる多目的ルームとして生まれ変わりました。今後は小金井パーク・ファミリアが周辺地域のコミュニティ醸成の中心地となり、人々の生活をより豊かなものにします。
外装は、マンションの「顔」の部分であるファサードとEVホールに絞ってデザインを施しました。ファサードは植栽の整備と、落ち着いたブラウンやベージュなどの色味に整え、EVホールにはアクセントとして大胆な木目柄と間接照明を入れることで効果的に「生まれ変わった」印象に変えました。従来の横型のポストでは最上段に手が届かず、踏み台を利用する必要があり、高齢者の住民の方が転倒してしまう恐れもありました。ポストを横型から縦型に更新し、見た目には大きな変化はないものの、機能的に不可欠な要素として工事内容に組み込みました。
総会の決議では、今回の取り組みに反対される方も少なからずいらっしゃいました。そのため決定に至るまでには複数回のアンケートや臨時の説明会を積み重ね、できる限り多くの方の意見を取り込めるように尽力しました。結果、多くの同意を得ることができ、無事に完工させることができました。なお、皆さまのご協力のおかげで、「マンション・バリューアップ・アワード2023」の工事・メンテナンス部門の佳作を受賞することができました。三井不動産グループがマンション再生事業として掲げる「経年優化」を体現するプロジェクトを共に経験することができ、MACオフィスのビル改修リノベーション事業の可能性を広げる素晴らしい経験になりました。