株式会社ビー・トライブ様はゲームソフトの企画、開発をメインに事業展開しながら、「プログラム制作」「ＣＧ制作」などの事業にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。今回の移転は、事業拡大による移転プロジェクトとなりました。規模は127坪、プロジェクト開始から引き渡しまで約３か月のスケジュールの中で、お客様の夢を実現するために、様々なご要望を形にしてまとめ上げる、スピードかつデザインクオリティを求められるプロジェクトとなりました。

お客様からいただいたご要望として一番にあったのは、デザインにこだわりたいという点です。企業としての姿勢を新しいオフィスで表現したい。そんなまっすぐな想いをお持ちでした。
・「Delight」仕事を通して多くの人たちに喜びと感動を与え、笑顔があふれることに喜びと誇りを感じる。
・「Belief」人との出逢いを大切にしながら、共に信頼し成長できる企業を目指す。
・「Amazing」世界の人たちを驚かせるために、発想力・技術力の研磨を惜しまない。
このbeetribe様の会社の理念に触れ、お客様だけでなく社内の仲間も大切にしながら、一緒に成長し続けたいという強い意志に共感して、この想いを象徴するオフィスを何としてでも実現したいと強く思ったのを覚えています。
訪問されるお客様だけでなく、社内で働く方々にとって居心地良く、驚きがあるオフィスを作るうえで、エントランスが非常に重要であり、言葉がなくとも自然と空間が物語るように、質感に非常に気を使いながら、効果的に素材を選定し、コストという最大限の問題をクリアしました。

良いデザインはコストで左右されません。与えられた中で表現を可能にするのはアイディアです。アイディアとデザインのバランス感覚を研ぎ澄ませることで、必ずいい空間を作りあげることができます。何百種類の素材の中から、この素材でしか表現できないモノを厳選する行為自体は、安い、高いの問題ではありません。たとえ100円ショップで売られているモノであれど、それにとって代わるものがなければ、それは唯一無二のモノなのです。しかしながらその感覚は日々良い物を見続けなければ養えない感覚です。日々のスタッフの努力の結晶がここで表現できたと思います。
エントランスはさながらホテルのロビーを思わせる設えにしております。企業としてのお客様をお迎えするホスピタリティの表現だけでなく、エントランスという会社の顔をあえてゲーム会社という表現から昇華させ、ラウンジの設えを用意することで、いい意味で「ゲーム会社なのに！！」というギャップ＝驚きを作り出し、強烈な印象を与えることができるからです。それはただのアイキャッチ的な驚きではなく、空間に入る前の驚きと、入ってからの快適さという名の驚きの二つを用意し、機能的にもスマートな空間を作り上げました。
エントランスの電話台はオリジナルの流木を組み合わせて制作し、面白さと同時にアートとして空間にアクセントを加えるような装置にしました。何度も工場で打合せを行い、最後はbeetribe様にも工場まで足を運んでもらい、みんなで力を合わせて作り上げました。皆が同じ方向をむき、最高にいい物を作ろうという想いがこの電話台には込められています。エントランスの最後のピースとして納品された時に、「エントランスの空間が成立した！」と、感動したのを覚えています。

素材以外でこだわった点は、お客様がいらっしゃった時、内線電話をかけるとき、ソファで待つとき、会議室に入るとき、会議室で打合せするとき、すべての行為に対してのシーンを考えてデザインをしています。つまりお客様が空間に入られて、一連の動作をすることで初めてこのオフィスは最大限の効果を発揮するように組み立ててあります。人が空間に参加して初めて、オフィスとしての機能が成り立つのです。見た目のデザインだけでなく、どのシーンで何をどのようにお客様に伝えるかをしっかりと考えることが、デザイナーとしての最低限の役割だと思っております。
デザインは見た目がいいのは当たりまえのことで、企業価値を生み、あらたなシナジーを生み出せなければ、ただのデザイナーの自己満足でしかありません。今回のプロジェクトを通して、お客様のこだわったデザインの実現と、あらたな企業価値を生み出すお手伝いができたことを、心から嬉しく思っております。