部分返却・レイアウト変更・残留
損害保険業B社 様
東京都港区六本木Zビルに本社を置く大手損害保険業のB社から我々に相談が寄せられたのは、賃貸借契約の更新時期を控えて、更新すべきかどうか、コンサルティングを求めたからであった。我々は、WEO®マネジメントによって、まずは適正面積の検証からスタートした。
- 事業内容
- 損害保険業
- 従業員数
- 300名
- 面積規模
- 1000坪
- 契約形態
- 定期借家
課題抽出
- 賃貸借契約の更新に対する妥当性を確認したい
- 4フロアに分かれた働き方の利便性を把握したい
- 無駄なスペースを削減したい
WEO®の解決策
- 比較検討材料に移転と残留の両シナリオを作成して妥当性を確認
- 働き方を見直し、適正なオフィス面積を算出
- 現ビルオーナーに対して、フロア返却に伴う交渉
- 移転と残留の通勤コストシミュレーション
コスト削減メリット
- B工事区分の緩和とB工事期間の短縮によるコスト削減
- フロア返却に伴う不利益なしの再契約で締結
現入居ビル1000坪は4フロアで賃貸借しており、約300人の社員が働いていた。本案件で我々が着目したのは、入居フロアが複数にわたるという状況である。ヒアリングを重ねるなかで、我々は3フロア(750坪)が適正面積なのではないかという仮説を立て、検証したところ、1フロアを返却しても機能的なオフィスの構築が可能であるという結果が得られた。
この仮説は、実質的に「残留」を想定したシミュレーションである。したがって、3フロア(750坪)のオフィススペースを確保する一方、同ビル内で45坪の倉庫スペースを新たに賃借し、近隣の貸会議室を活用することを提案に盛り込んだ。
だが、これは一見、単純なようで、現実的にはリスクの高い提案でもあった。複数のフロアを賃貸借している場合、貸主(ビルオーナー)にはその一部のみ契約を解除されることを嫌う傾向があるからだ。オフィスの空室率という需給バランスの動向をしっかりと見据えて交渉に臨まなければ、契約更新(残留)という選択肢そのものを失いかねない危険をはらんでいた。
そうした状況をふまえたうえで、当然、我々は「移転」も並行して検討し、シナリオを作成している。近隣の750坪のオフィスビルを想定して、ビルオーナー側へのアプローチも進めていたのである。
そうした「両にらみ」の交渉が奏功して、結果的に、Zビルオーナーは1フロアの「部分返却」を承諾した。さらに、返却するフロアについての原状回復工事費用の査定や現ビル工事全体の工事区分交渉を行ったところ、B工事費用で大きなウェイトを占める間仕切り工事と電気設備工事をC工事とするという条件緩和を獲得した。また、イニシャルコストの比較だけでなく、ランニングコストも算出して、「移転」と「残留」のコスト比較を行った。以上のような材料をもとに、我々はB社の意思決定を仰いだ。
結果として、B社は「残留」を選択した。つまり、1フロアは返却し、3フロアについては契約を更新することにしたのだ。ただし、これはオフィスが狭くなっただけ賃料が安くなった、という単純なコスト削減の事例ではない。B社では、契約更新の時期に合わせてオフィスの全面改装を実施することにより、ラウンジ設備を導入して社員コミュニケーションの向上をはかり、会議室利用の適正化も実現したのである。オフィス改革は「移転」しなくても十分に可能なのである。